デジカメWatch

シグマ、「DP1」の開発状況を発表
シグマのDP1はもう出ないんじゃないかと思ってたけど、公式発表があったようだ。
ニュースリリースの最後の一文を読む限り、よっぽどのことがない限り、いつか発売はされるだろう。
画質を全面に出したコンパクトカメラという意味ではGR Digitalと同系列のカメラだと思われるが、決定的に違うのはCCDがAPS-Cサイズであること。APS-Cというのは、一般的なデジタル一眼レフが多く採用しているCCDサイズだ。しかも、FOVEON X3というフィルター構成が一般のCCDと異なるCCDだ。特にCCDサイズが異なるというのはカメラにとってかなりの違いになる。
しかし、このコンセプトですべてがうまく行くだろうか。
GR Digitalと比べて気になるのはレンズの暗さで、一絞り以上暗い。CCDサイズが大きいがために、被写界深度は浅くなる。自分はフィルムでスナップ撮影するときには許せる範囲で絞り込んで撮影する。マクロ撮影とかモノ撮りならば画面整理のためにボケを使う意味があるだろうけれど、スナップは写らないといけないと思うからだ。コンパクトカメラがスナップに向いているのはCCDのサイズが小さいために被写界深度が深いからだと思っている。レンズが暗い上にCCDサイズが大きいというのは、ちょっと使いにくい。この大きさでAPS-Cでは手ぶれ補正もまず実装されることはないだろう。
DP1の決定的に悪いポイントはデザインだ。コニカのヘキサーRF(好きだったけど買えなかったカメラ)やコンタックスG#のようなレンジファインダーカメラに似ていなくもないが、一昔前のレンジファインダーカメラの方が遥かにちゃんとしたデザインだ。DP1のデザインではかなりしっかりしたストラップを取り付けておかないと、片手でスパッと撮影するのはかなり難しいと思う。
そもそも、コンパクトカメラに高画質が必要なのか。
カメラというのはものを写す道具なので何が写っているかわからないようなモノはカメラとは呼べない。最低でも写真らしくなければならない。どの程度写れば写真らしいかというのは人によって千差万別だろうが・・。
ただ言えるのはコンパクトカメラに商用写真程のシャープさと高解像度、正確な色再現性などは必要ない。そういうものを撮るときはコンパクトカメラではなく、しかるべき道具を使うべきだ。言い換えれば、しかるべき道具と同じ性能をコンパクトカメラに求めてもしょうがないということだ。
とはいえ、理想を言えばきりがないし、いろんな用途が想定されるのでいろんなコンセプトのカメラがあってもいいとは思う。
DP-1には興味はあるんだけど、楽しさが全然伝わってこない。
カメラを製造するメーカーならばより高画質を求める努力はするべきなんだろう。でも、これからはモノの提案だけで消費者は満足しないと思う。それでいったい何ができるのか、どういう楽しさを手に入れられるのか。そういうことをまず提案していかなければ、胸のすくような高画質も性能のための性能に終わってしまうのではないだろうか。開発者の笑顔が見えるようなモノじゃなければ、市場には認められないだろう。そういうものがあってこその高性能でなければならない。
グチグチいろいろ書いたが、DP-1には期待している。おぉ、これはいいぞと思わせるカメラになって欲しい。

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