海のすぐ向こうに島がたくさん見える光景というのはどうにも慣れない景色だ。
鹿児島の海はズドーンと海しかない。天気が良ければ竹島、硫黄島、黒島の島影がはるかかなたに見える。左には開聞岳。
子供のころは暇があれば海に行っていた。ここで波にさらわれたら、多分、日本海溝の底だなみたいな恐怖があった。
なにか目的があったわけでもなく、なにか結論めいたものもなかった。
外に出て、ブラブラしても田舎なので何もない。何もないから海に行く。ただ、それだけのことだ。
だから今も、海がそばにあれば、ただ単に海に行く。やはりそこには目的もなく、結論もない。
だからまた安心して海に行ける。
