安い万年筆と高い万年筆の違いのひとつはペン先の材質だ。中には何十万円もするような万年筆があるが、あれは軸の材質や装飾によるものだ。ここで言う高い安いというのは、1000円から数千円のものと、1万円から数万円程度の価格のことである。
安い万年筆のペン先の材質はだいたいステンレスである。場合によっては鉄という表記をする場合もあるようだが、正確にはステンレススチールのことである。ステンレスと一言で言っても、いろんな材質があるが、それは今回は取り上げない。
高い万年筆のペン先の材質は金だ。金といっても純金だとやわらかすぎるので、ペン先として使われるのは銀や銅、亜鉛などを混ぜた合金であり14金や18金が多く使われるようである。
なぜわざわざ高い金を使うかというと、まず第一に、インクの腐食性が問題になったかららしい。いわゆる古典インクと呼ばれるタイプのブルーブラックは鉄イオンを使って発色させている。3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸:もっしょくしさん)を使うタイプのインクで没食子インクとも言われるようだ。
このインクの液性が酸性のため、金属が腐食する。金は比較的腐食に強いため、他の金属よりもペン先として適している。また、金の柔らかさがペン先の独特のしなりを生む。また、ロジウムメッキが施される場合がある。これは金よりも腐食に強いのと、銀色になるので装飾のためと思われる。
手持ちの万年筆のペン先を示してみる。
左から
パイロット キャップレス-18金ロジウムメッキ
LAMY サファリ-ステンレス(塗装している?)
パイロット カスタム74-14金
パイロット カクノ-ステンレス
どのペン先が優れているかというと、それはケースバイケースだと思う。自分の場合、まだ万年筆を使い始めて時間が経っていないので、経験が浅いのだが、同じステンレスでも製品が異なると書き味が全然違うのはよくわかる。なので、最終的には好みだと思う。
サファリのがっしりしたペン先はメモ書きに適していると思うし、カスタムの適度にしなるペン先は落ち着いて文字を書ける気がするのだ。
また、ペン先(ニブ)にはサイズがあって、大きなサイズのニブほど高いし、しなりがあるらしい。
最後に、masahiro万年筆製造所のペン先に関する記事のリンクを下に貼り付けておく。
masahiro万年筆製作所の万年筆 |ステンレスペン先と筆圧について
ちなみに、今日の写真はXZ-1(二枚目の写真はiPhone6+)。1cmマクロは使いやすい。