趣味の文具箱 vol. 44「インク沼へ、ようこそ!」

趣味の文具箱の最新号を買ってきた。特集は「インク沼へ、ようこそ!」だ。ペーパークロマトグラフの実験はおもしろい。移動相が水なので、極性の強い物質はすべて移動してしまっている。色の分離が目的ならメタノールとかとの混用溶媒を使えばもう少し色は分離できるかもしれない。耐水性の評価ならこの本誌の実験の方が参考になるだろう。個人的にはLab測定がおもしろかった。ただし、一覧表からはL値が省かれているので、一覧表でLabをすべて示してほしかった。最もインクの乗る量でL値は変わってしまうと思うのでその辺の条件もある程度は整えたいところだ。測色には紙の影響もあると思われるので、その辺の影響度も確認してほしいところだ。中心部の拡大図には座標が書き込んでおらず、データが読み取りにくいのも改善してほしい。ある程度の色傾向はわかるのでインクを選ぶ際の参考にはなる。

全部じゃないけど、手元にあるインクのいくつかを比べてみた。

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例えば、山栗はa: +3, b: 14.3なので、黄色と赤寄りの茶色っぽい色ということが理解できる。また、月夜はa: -5. b :-21.5, 青墨はa: -10.2, -20.8だ。青墨のb値は月夜とほぼ一緒だが、a値がより緑よりの値を示している。肉眼で見るとどちらかというと月夜の緑っぽさの方が目立つんだけど、これはL値が青墨の方が低く、より黒っぽく見えるからだと推測される。さっきも書いたけど、趣味の文具箱のデータからはL値が省かれているのだが、L値が色を記述するうえで大切であることがこの例からよくわかるだろう。一覧表ですべてのデータを示してほしいところだ。

 

趣味の文具箱vol.44 (エイムック 3909)

趣味の文具箱vol.44 (エイムック 3909)

 

 

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