TWSBI DIAMOND580は至高のスチールペンである

しばらくTWSBI DIAMOND 580を使ってみて、確信した。

「TWSBI DIAMOND580は至高のスチールペンである」

自分は小さいものに何かが詰まった感じが好きである。必ずしもスケール的なものだけではなくて、価格とかそういうスケールも入る。わかりやすく言えば、「お値段以上、ふふふー」である。カメラも一眼レフよりもコンパクトが好きだし、一眼レフもより小さく、レンズは単焦点が好きだ。あるいはズーム倍率がすごいレンズなんてのも好きだ。高くてでかくて高機能かつめちゃくちゃよく写るなんてのにはあまり魅力を感じない。あたりまえすぎるからだ。できるけど、あえてこのためにやらないとかそういう特定の目的に特化したストイックさに惹かれる。小さくてまぁまぁの値段で単焦点だけど、そこそこよく写る。ストリートで使うことを考えたらこうなったみたいな。例えばリコーのGRが好きなのはそういうことだ。

万年筆界?ではニブに金合金を使ったいわゆる金ペンがスチールペンよりも格上とされているふしがある。でも、果たしてそうだろうか。当然金合金は高い。結果的にペンが高い。また、万年筆の醍醐味であるペン先のしなやかさをより感じられるのも金ペンだ。高くて、しなやかでよく書ける、そんなのは当たり前すぎておもしろくない。ただ、金ペンってのはペン先が柔らかいがために必ずしもよく書けるとは限らないことも多々あるのだ。事実、評判のいいパイロットのカスタム74はあまり好きじゃなくて、ペンクリニックで調整してもらい、もうカスタム74とは言えない状態になってしまっている。

カクノやコクーン、プレラ等、パイロット製のスチールペンは非常によく書ける。FやMなら万年筆ならではの滑らかさが味わえるし、それなりのしなやかさがあり、万年筆の良さを十分に味わうことが可能だ。ただ高いだけの何かが欲しいなら、それはそれで正しい。しかし、ミニマムな万年筆の良さを感じたいだけなら、プレラのFで十分だ。

パイロット 万年筆 プレラ 色彩逢い 透明ブルー 細字 FPRN-350R-TL-F

パイロット 万年筆 プレラ 色彩逢い 透明ブルー 細字 FPRN-350R-TL-F

 

 

そんな中、台湾で手に入れたTWSBIである。

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なにかのパクリじゃないかという意見もあるが、自分はそうは思わない。似てるように見えるけど、全然違うものだ。あくまでも形式を周到しているだけに過ぎないのではないかと思う。

一度手にして使ってみると、そんなことはどうでもよくなる。あまりにも良すぎるのだ。TWSBIの580は書き味に破綻がない。どう書いても安定してよく書ける。パイロットのスチールペンなども同様によく書けるんだけど、TWSBIの良さはそれを上回っている。良さはペン先だけではない、グリップの太さや重心も心地いい。グリップ付近の段差も最小限で違和感がほとんどない。コクーンなどはこの段差が大きくて角張っているのでいまいちなのだ。その点、プレラの方がコクーンより優れている。所有している万年筆の中で最も書き味がいいのは、ペリカンのM400を押しのけて、パイロットのキャップレスなんだけど、それに匹敵するか、あるいは上かもしれない。控えめに言って、神ってる。

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至高のスチールペンに巡り合いたい、そう考えていたんだけど、TWSBI580でひとつの臨界点を迎えたように思う。

M400などはニブがしなやかで、書き心地がよく、ペンバランスも最高で、かなりのポテンシャルの高さを感じられる。しかし、書き味に若干まだ粗さのようなものを感じる瞬間があり、もう少し使い込むか調整が必要なんじゃないかと感じている。

あるいは、ラミーのサファリは常用万年筆としてのポテンシャルが高い。TWSBIを東の雄とすれば、サファリは西の雄だ。全く性質は違うけれど、手放せない一本である。

万年筆は道具なので、壊れたり失われたりするリスクがある。気に入れば気に入るほど、リスクに備えておかねばならない。つまり、TWSBIの他の万年筆も欲しくなるというわけだ。春にまた台湾に行く予定なので、その時は、580ALとMiniあたりを買ってこようかなぁ。

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どれだけ自分を納得させても、終わりは来ないのであった。

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