時々本棚から引っ張り出して読む本があります。片岡義男の「文房具を買いに」という本。片岡義男という作家のことは小学生のころから知っていました。わたしには10歳、8歳、6歳年上の姉と兄が居るので、少し年上の人が読む漫画や本、音楽に日常的に触れる機会が多くあり、その中に片岡義男の小説があったからです。
「片岡義男って文房具の本を出してるんだ」と何気なく手に取ったのがもう12年以上前のことです。
2005年の6月11日からまだ使い続けている「モールスキン(現モレスキン)」があるのですが、この本の1ページ目にいきなりモールスキンが出てきます。そこでググッと引き込まれ、片岡義男の文房具に対する思い入れやこだわりを読むうちに、文房具ってこんなにも魅力的な道具なんだなぁと思い始めました。ロディアとかリーガルパッドというのを知ったのもこのころだったと思います。
「万年筆インク紙」は2016年に出版された片岡義男の文房具本。まだ読んでいませんが、パラパラっとめくった感じではいい感じで文房具にあふれています。文房具はモノなのでモノの名前が具体的に出てきて欲しいです。概念的な話やイメージではなくて、むしろ科学的なレポートのようなものの方が好ましいくらいです。道具には果たすべき目的があるわけですが、仕事論や効率論に偏りすぎるのもおもしろみに欠けます。文房具というのは、身の回りの情報を整理したり、自分の中の概念を具体的な文字や絵として表現する道具です。成すべき目的は比較的シンプルですが、非常に個人的なツールであり、多種多様です。文房具の良しあしは効率や性能だけではなく、官能的な嗜好も多分に影響します。
この本は数ある文房具の中で、万年筆、インク、紙という3つを題目にしているところがまずおもしろいですね。ページをめくるといろんなモノの名前が出てきます。自分はカメラや文房具の形や性能を見るのが好きです。形だけで言えば、車の形も好きですね。小さなころから動物図鑑が大好きで、薬や家電製品の説明書を端から端まで読むのが大好きでした。なぜそれがおもしろいのか自分でもよくわからないのですが、とにかく全然飽きないんです。ですから、カランダッシュ、ラミー、ジェットストリーム、芯ホルダー、743のF、ツバメの無罫A5ノート、サファリ、ブルーブラック、コンヴァーター、こんな言葉があふれ出る文章は見ているだけでわくわくします。
この本には図や写真が一切ありませんが、今はインターネットで調べればどんなものかは即座にわかります。文章をきっかけに知らないものを調べるのもまた楽しい。
最後にいくつか手元にある文房具関連の書籍を紹介します。
普通の本の場合、帯とかはまず最初に外してしまうのですが、文房具の本は全部残っていますね。
ちなみに、片岡義男さんのウェブサイトはこちら。