シャープペンシルとひとことで言っても、メモ、手帳、勉強、製図など用途は様々です。日本語を書くのか、英語を書くのか、はたまた数式をたくさん書くのかでも使いたいペンが違います。
シャープペンシルの特徴を決める要素にはどのようなものがあるでしょうか。ペン先スリーブの長さ、ペンの太さ、グリップの性状、剛性、クリップの干渉具合、重量、バランス、芯の太さ、芯の硬度、芯のブランド、etc.。
そんな中、数字や記号をたくさん書く数学や物理などにいいシャープペンシルのひとつがぺんてるのグラフギア1000です。
製図用なので金属スリーブが4 mmと長く、ペン先のデザインも細いので紙面の見通しがすごくいいです。また、製図用のかっちりしたペンが小さな記号を書いたり、図を描くのにいい感じです。
見た目の癖が強いので好き嫌いが分かれると思いますが、実際に使ってみると見た目と異なり素直で違和感がありません。クリップの形状が秀逸で、手への干渉が最小限に抑えられています。
グラフギア1000は芯径のラインナップも豊富で、0.3, 0.4, 0.5, 0.7, 0.9があります。万能なのは0.5です。0.3は細く書けますが、芯が折れやすいのと、芯が減りやすいのでノックの数が増えてしまうのが欠点です。それでは0.4というのはどうなんだろうということで、買ってきました。
口金のガタツキは基本的にほとんどありませんが、カチカチ具合には個体差があるようです。店舗で実際に試筆して、気に入ったのを買ったほうがいいです。
実際に筆記してみると、0.4 mmは折れにくくはありませんでした。片減りしても、0.5 mmよりも線がぼやけません。わざと片減りさせて筆記したものが下の写真です。
芯径0.4, 0.5, 0.7の片減り状態の筆記線の幅と、クルトガ状態の筆記線の幅を計算してみると、以下の表のようになります。ちなみに、筆記角度は60度としています。
芯径(mm) | 片減り状態筆記線幅(mm) | クルトガ状態筆記線幅(mm) |
0.4 | 0.46 | 0.23 |
0.5 | 0.58 | 0.29 |
0.7 | 0.81 | 0.4 |
減りの早さを評価するために、同一長さあたりの体積を比較してみましょう。0.5の体積を1とします。
芯径(mm) | 体積比 |
0.4 | 0.64 |
0.5 | 1 |
0.7 | 1.96 |
おおよそ倍々になっています。
なぜか。
芯径0.3, 0.4, 0.5, 0.7, 0.9という系列がそのヒントになっています。ここでそれぞれの芯径にルート2を掛けたものを計算してみましょう。
芯径d(mm) | d*sqrt(2) |
0.3 | 0.42 |
0.4 | 0.57 |
0.5 | 0.7 |
0.7 | 0.99 |
0.9 | ー |
0.3は0.4に近く、0.4は0.5に近い(実際は0.6)、0.5はずばり0.7で0.7は0.9と言えなくもない。つまり、0.3を初項とした等比級数に近い数列になっているようです。なので、芯径がワンランク上がると、体積比は倍(√2 * √2)になるわけです。
同様に線の幅は√2倍ずつ太くなっていくとも言えます。
ただし、厳密な等比級数になっていないので、ズレが生じます。
替え芯はぺんてるのAinシュタインの0.4が欠品だったので、uniのナノダイヤを買ってきました。
0.4のシャープペンシルというのはあまり一般的ではないですが、思ったよりも使いやすい芯径だと思いました。