TWSBIは手軽に使いやすい万年筆です

改めてTWSBIの万年筆を振り返ってみます。

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TWSBIとの出会いは2017年の12月、台北市の小品雅集でした。その時買ったのが、このTWSBI DIAMOND 580です。

その後、DIAMOND ALとECOのスタブを買い足しました。

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TWISBIはインク吸引式の鉄ペンですが、大型のニブを実装していて、書き味が比較的柔らかです。

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数年使ってみて一番驚いたのはキャップの気密性の高さです。STUBは今ではあまり使わないので数ヶ月放置することもあるのですが、インクが減ったという感じが全くと言っていいほどありません。DIAONDも然りです。厳密には減ってるのかもしれませんが、よくわかりません。インクが大量に入っているというのもあり、ドライアップとは無縁です。ほとんど洗浄したこともありませんが、いつ引っ張り出してきても、書き出しからスムーズです。この気密性は驚異的です。

樹脂の材質も良く、傷がつきにくい気がします。

唯一の欠点はデフォルトのシリコーングリスがイマイチなのか、インク吸引ができなくなることがありました。私は全て一度分解し、フッ素グリースを塗布し直しました。その後は全くノートラブルで、今の所、分解清掃の必要性を感じたことはありません。

細字がしっかり細字なのも魅力です。

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外国の万年筆はFineでも結構太いものがありますが、TWSBIは漢字圏の台湾メーカーの万年筆だからか、細字がちゃんと細字です。感覚としては日本の万年筆とほぼ同じか、気持ち太い感じです。スタブには京の音の「秘色(ひそく)」を入れています。上の写真ではちょっと色が濃く見えますが、秘色は割と薄めの青です。薄めのインクの方が濃淡がはっきり出て万年筆らしさを楽しめます。

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私が買った当初はネット通販くらいでしか手に入りませんでしたが、最近は街の文房具屋でも購入できるようになってきました。

digistill.hatenablog.com

個人的にはALよりも普通のクリアの方が好きです。ECOもいい万年筆ですが、余裕があればDIAMOND 580がニブも大きめで高級感があります。コンパクトさを重視するならECOがいいと思います。重さも結構違います。

インクが入った状態で

580 AL 33グラム

580 30グラム

ECO 22グラム

です。

 

パイロットライティブの完成度が思った以上に高かった。これはもう和製サファリだ。

パイロットのライティブを文房具売り場でよく見るので、なんとなく気にはなっていました。先日、Twitterで透明軸のコンバーターを取り付けた写真を見て、かっこいいなと思い、買ってきました。

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LIGHTIVEというのはLIGHTとACTIVEから作った合成語のようです。

コンバーターには何種類かありますが、CON-70がおすすめです。インク吸入量は1.1 ccで、カートリッジより多いです。あと、ライティブに入れた時の見栄えがいいです。

自宅に使っていないCON-70があるのはわかっていたのですが、せっかくですから新品を新調しました。自宅にあるCON-70と比べると仕様がちょっと変わっていました。新しいCON-70は正確にはCON-70Nという製品名です。

まず、ピストンの材質と形状が異なります。

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旧型はナイロンかポリアセタールではないかと思われる白い樹脂です。現行はゴムっぽい黒い材料になっていて(材質まではわかりませんが)、形も違います。

上の写真にも写っていますが、現行品には棚吊り防止用と思われる金属の筒が内部の軸に装着されています。

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棚吊りというのは、コンバーター内部でン芯の方に空気が溜まり、インクが上方にへばり付く現象で、この状態になるとインクがペン芯に供給されなくなるのでインクがあるにもかかわらず、筆記できなくなります。これを防止するために、コンバーター内部に鉄球や筒を入れたりします。

ライティブのニブとペン芯はカクノやコクーン、プレラ、ペン習字ペンなどと基本的に同じです。

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パイロットのこのタイプのニブは長年多く生産されているため品質が非常に安定しています。これまでハズレに出会ったことがありません(カクノのEFは例外的にハズレだったと感じていますが)。細字のFはカリカリしますが、紙を引っ掻くような嫌なカリカリではありません。特筆すべきはMで、かなり滑らかです。下手な金ペンより安定感がある分、扱いやすく、気持ちよく書けます。用途に応じてFかMを選ぶといいと思います。どっちもかなりいいです。

ライティブのキャップには新仕様のインナーキャップが仕込まれていて、気密性が上がっているそうです。

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写真を撮ってみましたが、よくわかりませんね。

キャップを取り付ける際、途中から抵抗力が上がり、最後にカチッと固定されます。プレラにキャップを取り付ける時の感じにちょっと似ていますが、同じではないです。高級感はプレラの方があります。どこで見たか忘れたのですが、ライティブのインナーキャップにはバネが仕込まれている画像を見たような気がします。それが正しいなら、プラチナのインナーキャップ(スリップシール機構)に近い構造なのかもしれません。プレラのインナーキャップも似たような形状ですが、バネは入っていません。

さて、ライティブにCON-70を仕込んだ姿をお見せします。

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これは2200円の万年筆には見えません。CON-70が700円なので、この状態にするのに2970円です。

ライティブの各部材の重量を計量しておきます。

軸:6.57 g

キャップ:5.55 g

軸+キャップ:12.14 g

CON-70:4.40 g

軸+キャップ+CON-70:16.55 g

軸+キャップ+CON-70+インク:17.67 g

キャップを取り付けない時の重量、つまり、軸+CON-70+インク(上の写真の状態):12.0 g

ここでサファリの重量を調べてみます。コンバーターにインクを入れた状態で17.36 gでした。私はサファリを使う時にはキャップをポストしません。キャップを取り外した時の重量はちょうど10 gでした。

ここでライティブの全重量とキャップを外した時の重量を見てみてください。サファリとかなり似ていることがわかるはずです。

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上の写真はライティブといつも使っているサファリ(EF)です。ライティブが見劣りしているようには見えません。

インクはパイロットのブルーブラックです。

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私が好きなインクのひとつです。パイロットの万年筆にはブルーかブルーブラックを使うことが多いです。没食子インクではないので時間経過とともに黒くなるとかそういう性質はありませんが、染料インクにもかかわらず耐水性があります。耐水性といっても、水をかけたらかなり溶け出しますが、筆記線が完全に消えません。また、没食子インクのように沈澱が生じないので、扱いやすいインクと言えます。

首軸付近の段差が小さいのでグリップした時の違和感は全くありません。筆記感はかなりいいです。インクフローは適切で、パイロットのMニブの良さが十二分に感じられます。心なしかいつものMよりしなやかさを感じます。

線はFより当然太いですが、一般筆記するのに太すぎると感じることはありません。滑らかさを重視するならMを選択した方がいいですが、少しでも細書きしたいと思うなら、Fがいいです。Fは感覚的にゲルボールペンの0.5と同じくらいです。Mはそれよりちょっと太いですが、余程小さな書き込みをしない限り、太すぎると感じることはないと思います。

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上のノートは6 mm罫線です。

パイロットの鉄ペンの中で一押しはプレラですが、プレラはキャップをポストしないと全長が短すぎて書きにくいです。しかしながら、ライティブはキャップをポストしなくても違和感なく書けます。

私はサファリを使う時、ちょい書きの時は、キャップをそのまま左手に持っています。書き終わったら左手に握ったキャップにペン先を収納できます。書く時には左手の親指と人差し指でペン軸を押し出しておき、右手でサッと取ります。こういうことです。


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ライティブは控えめにいって、かなりいいです。

 

 

 

プラチナ ブルーブラック

プラチナの万年筆はいくつか持っていますが、現在、日常的に使っているのは主に3本です。♯3776センチュリー 中字、プロシオン 中字、キュリダス 極細です。プロシオンには純正の顔料ブルーを入れていますが、他の二本には純正のブルーブラックを入れています。

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数日放置したキュリダスのインクの色がかなり変わっていることに気が付きました。

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上:キュリダス、下:♯3776センチュリー

以前も書きましたがプラチナのブルーブラックは染料インクですが、いわゆる古典インクとか没食子(もっしょくし)インクと言われるものです。詳しい説明は省きますが、インクの成分が次第に黒く変化するインクです。本来、ブルーブラックインクとは書いてすぐは筆跡が鮮やかなブルーを示しますが、次第に成分が黒変し、ブラックっぽい色に変化するインクのことです。最近のブルーブラックインクの多くは、最初から黒っぽいブルーのインクことを指すことが多いようです。古典インクの良さは単に変化する色を楽しむというよりも、耐水性が高いことが挙げられます。染料インクは発色の良さや色の鮮やかさから使いやすいインクなのですが、耐水性は低いです。流水などにさらすとほとんど筆跡が消えてしまうものもあります。中にはパイロットのブルーブラックのように、古典インクじゃなくても比較的耐水性の高いインクなどもあるので一概に染料インクは耐水性が低いとは言えませんが。

さて、上の違いは単にペン芯のインクが濃縮されたからなのか、酸化してインクの色が変化したのかどちらでしょうか。あるいは両方が同時に起きているのかもしれません。

ちなみに、まだドライアップする感じではないです。インクが蒸発しにくいタイプの万年筆とはいえ、古典インクを入れている万年筆は頻繁に使ってあげた方がよさそうです。

 プラチナのブルーブラックは安くて性能が良くて、しかもリザーバー付き(インクを入れる際に楽になる部品)なので使い勝手もいいです。

ちなみに、プラチナのブルーブラックの色の変化は穏やかです。すぐに黒くなってくるという実感はあまりないと思います。色の変化を楽しみたい場合は、クラシックインクシリーズがいいと思います。YouTube動画などを見ていると、みるみるインクの色が変化する様子がわかります。わたしは使ったことはありません。

***

今回の話とは全然関係ありませんが、以前、ベンチャー企業でインクジェット用の特殊な顔料インクの開発をしていたことがあります。インクってなんでこんな高いんだ??と思うかもしれませんが、少なくとも顔料インクに関しては粉砕したり、不純物を取り除いたりと結構手間と時間がかかります。界面活性剤の種類や配合でできてくるインクの性能が結構変わったりするので、開発もそれなりに手間がかかります。あくまでも自己流でやっていたので、メジャーなインクの開発とはだいぶ異なることをしていた可能性もありますが。

 

今一番使っている万年筆

今、自宅で一番使っている万年筆はキャップレスの細字です。

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このキャップレスは引っかかりやざらつきが全くありません。また、筆記角度やねじれの許容度が高いです。ペン先を持って、カリカリ書いても、少し後ろを持ってサラサラ書いても気持ちよく書けます。インクの出もいいですので、筆圧は必要ありません。

また、結構筆圧を高くして書いても、ショックを感じることがありません。軟調の万年筆ではないので、ペン先を押しつけて、線の強弱を楽しむようなペンではありませんが、18金のニブは筆記時のペン先が紙に当たる時のショックを吸収しますので、ソフトな感触で書くことができます。

細字なので万年筆らしい優雅さには欠けるかもしれませんが、万年筆の良さを感じるには十分な万年筆だと思います。

見た目がちょっと普通じゃないですが、万年筆としては非常に魅力あるペンです。

10000円のスチールペン先ではなく、15000円以上の18金ペン先のものがオススメです。

 



今日はプラチナ キュリダスの発売日

一カ月ほど発売日が遅れていましたが、いよいよ今日が発売日です。先行販売以外の販売店でも購入できます。SNSなどを見ると、昨日くらいから徐々に販売が始まっているようです。

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私は先行販売でEFを手に入れて、使っています。アーバングリーンにしましたが、今も気に入っています。センチュリー3774も、ローレルグリーンという濃い目の緑です。

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一見黒に見えなくもないですが、ほんのり緑です。緑といってもいろんな緑があると思いますが、プラチナの緑は普段使う道具として違和感のない緑です。また、緑の文房具は使っていて落ち着きます。

EFは線幅が細く、カリカリしています。変な引っかかりなどは全くありません。他の線幅も一通り試しましたが、キュリダスのニブの出来はかなりいいです。使用中にニブを出したまま放置しても数分程度ならペン先は乾きにくいです。

今のところ、不具合らしい不具合もなく、普段使いしやすいスチール万年筆としての完成度は高いと思います。

ノックの量が多すぎるとか、収納時のペン自体のサイズがでかいとかというのはありますが、実際的にそれかまデメリットになることはないでしょう。少なくともねじ式のキャップよりも楽です。ペン自体の大きさは持ち運ぶスタイルやペンケースのサイズで判断すればいいと思います。私の使っているペンケースはそれほど大型ではないですが問題なく入ります。

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手帳やメモなど、普段使いするならEFが便利でしょう。ただ、ノートや勉強ならFもありです。メモやアイディア出し、宛名書きなどは、Mがいいと思います。特にMの滑らかさはなかなかの気持ちよさでした。

あぁ、街で見かけたら買ってしまいそう、、

 

 

 

プラチナ万年筆 万年筆 キュリダス アビスブルー 中字 PKN-7000#50-3
 

 



 

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