英語の勉強

自分は英語の専門家でもないし、TOEICも受けたことがないのだが、英語には毎日のように触れている。というのも、仕事の調査で論文や文献を読むことが多いのだが、その多くが英語で書かれているからだ。そういうものは大学の研究室に入ってから触れるようになったが、最初はちんぷんかんぷんだった。高校時代は英語はそこそこ得意で、単文も1000から2000は覚えていたが(正確には覚えては忘れを3年間繰り返していたというか、繰り返させられていた)、数年の間にすっかり忘れてしまっていたのである。その後も体系的に英語の勉強をしたことはないのだが、論文だけは読み続けている。読んでいる割には進歩がないなと思うのだが、続けているとなんとなく読めるようになってくるんだな。


英語を読む上で心がけているのは、電子辞書の類いを使わないことだ。上司に英語のメールの内容を急いで要約してくれなんて言われた時にはインターネットの英語辞書を使うこともあるが、それ以外は基本的に紙の辞書しか使わない。紙の辞書のいいところは、単語を調べるときには必ず数回はスペルを頭の中で復唱する必要があるところだ。例えば、apparatusという単語があれば、該当単語に行き着くまでには、エー、ピィピィ、エ〜、(アパァー)、アール、エ〜、チィ〜、ユー、エス・・・なんて具合になると思うが、その時点で既に頭にはスペルが記憶されつつあるのだ。それでも同じ単語を同じ日に、何度か引き直すことも多い。でも、それでいいのだ。経験では間を空けて同じ未知の単語に3回出会うとなんとなく覚えられる。しかも、ある一つの事柄を調査するために論文を読んでいると、必然的に同じような単語が頻出することになり、割と短期間で専門用語は習得できる。
時には既に知っている単語も辞書で引き直すことも必要だと思う。知っている単語といっても全ての意味を把握しているわけではない場合が多いからだ。知っている単語を調べるときには心に余裕があるので、第二、第三の意味に目を通したり、例文や語法をチェックしてみたり、類語や反意語に目がいく。特に自分は語源的な事柄に興味があるので、そういうところも考えながら見るようになる。このように、むしろ知っている単語を調べる時の方が得ることが多いかもしれない。
最近は辞書に線を引くことを意識的にしていない。辞書は調べやすく書いてあるのでわざわざチェックする必要はないし、何よりも線を引くと覚えなくては・・・という意識になりやすいからだ。もちろん、単語帳の類いも作らない。そんなことをして覚えようとするとどうしてもapparatus=装置みたいな印象になってしまう。そういう風に英単語を単純な日本語に結びつけて覚えてしまうと、ニュアンス的なことが消えてしまうのだ。apparatusはあくまでもapparatusとして理解するのが理想的だ。つまり、apparatusとは要素が組み合わさり何らかの機能を果たすものと理解すれば、装置、器具という意味だけではなく、政治的な組織や人体の器官を意味する場合もあるということは割とすんなり受け入れられる。こういう単語は日本語には見当たらないわけで(多分)、そういう単語に一対一で日本語を割り当てるのは好ましくないと思うのだ。わからない単語が出てきたらその都度調べ、単語の持つ概念を理解することに時間を費やした方がいいと思う。


ただ、そういう英語の読み方だけではどうしても身に付かないことがある。それは英文法だ。単語の意味は全部知っているのに、英文法や英語的発想の仕方がわからないために、意味が把握しにくいことがよく起きる。例えば、よくありがちだが、次のような文章だ。
The pen is mightier than the sword.
なんとなく読むと、ペンは剣よりも強い、という意味になる。まぁ、聞き慣れた表現なので文法的な背景を知らなくてもどういうことかはわかりやすい例ではあるが、素直に意味を捉えたらちょっと意味不明な文章だ。これは「the+単数普通名詞」で抽象的な事柄を表すことがあるということを知らなければならない。そうすると次のような文章も理解しやすくなるだろう。
The sick man died under the knife.
「その病人はそのナイフのせいで死んだ」では意味不明だ。the knifeがsurgery、つまり外科手術のことを意味していることを知らなければ上の文章は理解できない。
繰り返し読めば前後の関係で文章が理解できるようになってくるものだが、英文法の知識があればもっと早く意味が把握できるのになぁと思うことは多い。そこで時々目を通すのがロイヤル英文法という本だ。分厚くて取っ付きにくそうな感じだが、丁寧に読むと結構おもしろく読める。このおもしろく読めるというのは大切で、ベンキョウシナケレバ・・・なんて感じで参考書を読んでも、ほとんど身に付かないと思う。我慢することが好きならばそうすればいいが、「あぁこれはいいものだ、おもしろいものだ」と思いながら読む方が健全だ。努力する必要があるとするならば、「これはおもしろいものだ」とどうやって自分を思い込ませるかに努力する方がいいだろう。


ちなみに、自分は英語をネイティブのようにマスターできればいいなとは思っていない。自分のように物心ついてから英語を学んだ人間は英語は知識として理解して行くしかないと思っている。そう開き直ることで英語の勉強がうまくいかない時でも、むしろ粘り強く勉強できるように思うのだ。こういう開き直りは自信につながる。根拠のない自信でも他人にひけらかさない限りは害はない。これを自分は「バカボン的勉強法」と言っている(言ってないけど・・・)。「コレデイイノダ」。でも、勉強すれば勉強する程自分が知らないということを自覚する謙虚さも必要だと思うのでお忘れなく。

ロイヤル英文法―徹底例解

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ロイヤル英文法問題集

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