NHKスペシャルをみた

NHKスペシャルでがんの話を立花隆がしていた。立花氏は2年前に自身が膀胱がんになり、現在でも定期的に検査を続けているという。
この番組をみて、自分が持つがんというものに対するイメージがだいぶ間違っているんだなということを知った。最近ではマイケル・クラークというスタンフォード大学の先生が「がん幹細胞説」というものを唱えているということだ。つまり、がんは生命そのものだというのだ。だから、がんの機能だけを止めるというのは非常に難しいらしい。
京都大学のiPS細胞で有名な山中先生も同じような考え方をしているようである。トカゲのしっぽなどは切断されても再生するが、再生能力が強い状態というのはがんになりやすい状態だというのだ。進化した生物は生殖能力を獲得し、子孫を残すまでがんになるわけにはいかない。だから、再生能力を犠牲にしたというのだ。人間の指は切断しても再生しないのはそのせいだという。なかなかおもしろい説だと思った。考えてみると、生きることは小さな再生の繰り返しだ。だから、誰でもがんになる可能性はあるということなのかもしれない。
がんという「仕組み」は必然的な「生命の行為」なのではないかと感じた。
現代の人間は二人に一人ががんにかかり、三人に一人ががんで死ぬそうである。
ならば、死というものをもう一度ちゃんと考えてみる必要があるだろうということで、鳥取県の「野の花診療所」という場所の取材をしていた。そこの徳永進という人が次のように言っていた。
「人間は死の直前まで笑うことができる」
「命は死をはらんでいるからすごい」
人間は皆、死ぬまで生きる力を持っているというのだ。


立花氏は次のように締めくくっていた。
「死ぬまでちゃんと生きることががんを克服するということではないでしょうか」
ちゃんと死ぬためにはちゃんと生きなければならないということだろう。


自身ががん患者であったという立場で、がんというものを科学的に知り、人の命、生き方というものをちゃんと取材して出てきた結論には説得力があった。
「死ぬまでちゃんと生きることががんを克服するということではないでしょうか」

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