夕学

年に1、2回参加する夕学五十講に参加してきた。今日の講師は福島智さん。全盲ろうの東大教授だ。
この先生はバリアフリーで有名だが、この先生の言うところのバリアフリーは住宅メーカーの便利なお家という意味とはちょっと違うようだった。
今、目が見えるように、耳が聞こえるようになるとしたら、そうしたいですかという想定の質問に対して、自分は多分ノーと言うような気がすると答えたのが印象的だった。大切なのはコンディションではなく、そこでどうプレイするかであるということだ。おそらく今の自分は過去と切り離された自分としてはあり得ないということだろう。言い換えれば、過去をひっくるめた今に十分満足できる何かがあるということだと思う。
また、バリアはなくならないと思うとも言っていた。バリアそのものは問題ではなく、それを破ろうとする力に意味があるのではないかということだ。「バリアを破る行為がコミュニケーションの本質であり、そこから人間関係が生まれてくる。人には本質的な部分に能力が付随しているものであり、ともすると能力に目が向きがちである。しかし、大切なのはその人の本質であり、その存在価値である。」こんなことも言っていたな。
また、弱い人を排除する社会は弱い社会であるとも言っていた。弱い人を特別視するのではなく、弱い人を受け入れるための社会や法という外枠舗装が大切である。さらにそこにある程度の競争原理を導入することが社会の活性を維持するコツなのではないかと言っていた。

社会や人のあり方の新しい視点を発見させてもらえたような気がした。なかなか有意義な話だったと思うのだが、今日は途中退席する人が目立ったのがちょっと残念だった。

ゆびさきの宇宙―福島智・盲ろうを生きて

ゆびさきの宇宙―福島智・盲ろうを生きて

さとし わかるか

さとし わかるか

連絡はこちらから