今日、松山のハンズに行ったらジョッターの限定版がすべてあったので買ってきた。通常版でもよかったんだけど、実物を見てみると思ったよりもいい感じだったので、限定版にした。
箱がかっこいい。
開けるとこんな感じ。
限定版には4色あって、柄がいいと思ったのは赤と黒。赤いペンを持ち歩くことはないので、黒にした。
写真に撮ると結構派手な感じだけど、実物を手にするとそれほどアクが強い感じはしない。
ジョッターはかなり小型のペンで、パイロットのスーパーノックと比べてもだいぶ小さい。
手にしてみると何かに似てるなと思ったら、プラチナのプレスマンだった。万年筆だとハイエースネオといったところか。
見た感じはかなり高級そうだけど、手にするとどこか安っぽい。ノック音もかなり大きく、高級感は感じられない。設計や加工もどことなく古臭い。しかし、ペンの重量バランスはすばらしい。てのひらにすっぽりと収まりつつも、過不足なく手にフィットする。あたかもずっとそこにあったかのような自然さだ。軸のレーザー加工の微細な模様の凹凸が自然なグリップ感を生み出している。これに慣れてしまったらこれしか使えなくなるんじゃないかと思う。完成された機能美を感じる。
ノック付近に小さなFRANCEという文字が書いてある。フランス製ということだ。ちなみに、パーカーはイギリスのメーカーだ。
ペン先の精度はかなりよく、ガタツキはラミーのアルスターよりも少ない。かなり突き詰めて設計していることがよくわかる。無加工でも気になるようなカチャカチャ音はほぼしない。
筆跡はこんな感じだ。
ルーペで確認するとパーカーの筆跡が一番薄いが、これは筆圧の違いが大きいと思う。ラミーのアルスターはペンが太くフィット感が強いため力が入りやすいのだ。PILOTのペンはペン先が0.7 mmだから面圧が高くなり、結果的に細いけど筆跡は濃い目になるのだろうと思う。
パーカーもラミーもBICの1 mmボールペンと同じくらいかなと思いつつ、ペン先をルーペで観察するとどれも同じくらいの大きさのボールが嵌っていた。パーカーのリフィルを見てみると、1 mmと書いてあった。ラミーのリフィルには大きさは書いておらずM(中字)と書いてあるだけだ。
ジョッターは筆記距離を延ばすために今のような太いリフィル設計をしたらしい。今となっては同じ形式のリフィルが増えている。ラミーのリフィルも基本的には同じような形だ。ボールペンManiaxによると、パーカーのクインクフローの筆記距離は約3500 mで、ラミーのLM16は4500 - 8000 m(B/M/F、太さによる)ということらしいので、今ではラミーのLM16リフィルの方が筆記距離は長いことになる。一般的なゲルボールペンの筆記距離がせいぜい500 m程度であることを考えると、驚くほど筆記距離が長いことがわかる。これは油性ボールペンの利点のひとつであり、このことに関しては以前の記事でも述べたことがある。
定価ベースで考えると、パーカー クインクフローが864円、ラミーLM16が864円、サラサのJF0.7が86円、つまり、ちょうど10倍違う。筆記距離は3500, 4500-8000, 500 m、と10倍ほど違うのだ。1メートルあたりの単価を比べると、0.25円、0.19-0.11円、0.17円となる。まとめるとこんな感じだ。
価格(円) | 筆記距離(m) | 単価(円/m) | |
パーカークインクフロー | 864 | 3500 | 0.25 |
ラミーLM16 | 864 | 4500-8000 | 0.19-0.11 |
ゼブラJF0.7 | 86 | 500 | 0.17 |
こうみるとクインクフローとかLM16が特別に高いわけじゃないことがわかる。ちなみに、uniの楽ノックの0.7 mmリフィルSA-7CNは65円で筆記距離約1000 mなので、単価は0.065円/mとなり、こちらと比べるとクインクフローやLM16は2から4倍ほど高いと言える。
ジョッターを語るうえで、このリフィルのことについてはもう少し説明しておかなくてはいけない。その昔、ボールペンはよくペン先が壊れたそうである。故障の原因はペン先の一か所だけが紙と擦れるからである。そこで下の写真のような切り欠きをリフィルの後端に設置した。
この切り欠きのおかげでペンをノックするごとにリフィルが90°回転する、つまり、リフィルの擦れる量が単純に1/4になるわけである。ジョッターの特徴的な大きなノック音はこの機構のせいだろう。
これはいい買い物をした。