片岡義男の「万年筆インク紙」を読んでいて次のような文章が目に留まりました。
「バランスにはふたとおりある。その物じたいのバランスと、それを人が手に持って字を連続的に書くときのバランスだ。」(pp. 101 - 102)
そこでふと、先日撮影した写真のことを思い出しました。
この写真です。
↓写真1
この写真が示してあるのは物のバランスです。
では「人が手に持って字を連続的に書くときのバランス」とはなんなのでしょうか。仮に、下の写真のようにペンを持ったとします。
↓写真2
ここで位置1と位置2の中間から若干位置2寄り、この写真だとちょうど位置3ですね。これを「書くときのバランス」と呼ぶことにし、ここにペンの重心位置を合わすようにペンを握ってみることにしました。
写真2で持っているのはグラフギアですから、もう少しグリップの中央を持つことになります。
筆記具の種類や姿勢、書くものの種類(メモなのかノートなのか履歴書なのか)、心理状態など様々な要因でペンを持つ位置は微妙に変わります。これを人の状態と呼びましょう。人の状態が変化すると、最適と感じる書くときのバランスも変わるのではないかと思います。一方、物のバランス位置というのは物に固有のものです。どの筆記具が最適と感じるかは、「書くときのバランス」と「物のバランス」の組み合わせによって決まることになります。
と、今回はここまでで考えを止めておきます。
追記、P122くらいまで読み進めると、ペンのバランスに関して結構突っ込んだ意見が書いてあってなかなか興味深いです。