キュリダスのペン芯とインクフロー

キュリダスのペン芯を観察してみました。

下の写真は左がキュリダス、右がプロシオンです。

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大きさは違いますが、ペン芯の形状がよく似ています。

プロシオンのペン芯にはインク吸入口があるのですが、キュリダスには見当たりません。どちらもニブはサファリみたいに爪で固定するタイプです。キュリダスのニブはデスクペンに似ています。ラチナのデスクペンの実物をちゃんと見たことがないのでよくわからないのですが、ネットの画像から判断するともしかしたらペン芯の設計が違うかもしれません。

ちなみに、ニブの形状はこんな感じ。(左がキュリダス、右がプロシオン)

プロシオンのような六角絞り形状ではありません。

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プロシオンはスチールペンであるにも関わらず、金ペンのようなしなりが感じられるのですが、キュリダスのニブはいわゆるスチールペンらしい硬さです。EFのような極細ニブには合っていると思います。

キュリダスは使い始めた瞬間からすごく書きやすいです。プロシオンはしばらく使わないと書きやすいという状態にはなりませんでした。その原因はインクフローの少なさだと思います。

下の写真を見てください。これはティッシュペーパーに一瞬ペン先を触れさせて作ったインクのスポットです。上がプロシオンのM、下がキュリダスのEFです。

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現時点でもキュリダスのインクフローの方が勝っています。これが過剰かというとそんなことはなくて、割と普通のインクフローだと思います。

むしろ、プロシオンの方はインクフロー控えめといえます。もしかしたら、顔料インクを使っているせいかもしれません。ただし、ひとこと付け加えておくと、プロシオンのMはめちゃくちゃ書きやすいです。ペンポイントは滑らかで、程よいニブのしなりがあり、適度なインクフローによってにじみにくく、乾きやすいです。いい万年筆ってこんな感じだよなぁと実感できます。

最後にちょっと他のペンと筆跡を比べてみましょう。今回はサンプルとしてジェットストリームエッジを入れてみました。

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細さだけでいえば、ジェットストリームエッジの方が細いです。このサンプルではわかりにくいのですが、プレラのFも結構細く感じますが、実際に使ってみると、キュリダスのEFよりは太いです。また、しなりもプレラの方が感じますし、ペンポイントが大きいので滑らかさを感じます。プレラだけを使っていると、スチールペンは硬いなぁ・・・と思うのですが(嫌いではないです)、キュリダスEFを使った後にプレラを使うと、柔らかさや滑らかさを感じます。プロシオンのMは上の三つと比べると太く見えますが、実際は普段使いしやすい太さだと思います。

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特に万年筆を使うのが初めてで、最初の一本を選ぶならMから始めることをおすすめします。慣れたころにFを追加して、手帳にも万年筆使ってやろうというくらいになったらEFを検討するのがいいでしょう。ゲルの0.5くらいじゃないと使いにくいということなら、Fからはじめてみたほうがいいかもしれませんが。おすすめプランAとしては、プロシオンのM買って、キュリダスのF買って、手帳にも使うからEFも買って、金ペンも気になるから♯3776のMを買って・・・、でも、パイロットのも気になるな・・・、そういえば無印のもかっこいいし書きやすいらしい・・・、そういえばTWSBIってのも話題だなぁ・・・という感じでしょうか。万年筆は増殖していきます。

ところで、わたしは文房具、特に筆記具が好きで、気になるとどんどん買ってしまいます。コレクター的な収集癖も少しはありますが、基本的には文房具を集めること自体にはそれほど興味はありません。日常的に大量に何かを書くことをしているかというとそんなこともないです。むしろ、気持ち的には、これぞこの一本というものに集約してしまいたいという気持ちがあります。しかしながら、買った文房具はデスクの上のツールボックスに全部入れてあり、時々引っ張り出しては手にします。するとそれまで良さがわからなかったペンの魅力に気が付く瞬間があったりするんですね。自分でもなんでこんなことしてるんだろうって思うこともあるんですが、最近気が付いたことがあります。

ワインのソムリエっていますよね。ビールしか飲んだことがないソムリエはひとりもいないと思うんです。つまり、モノの良さがわかるためには経験が必要です。一本100円のボールペンでも、そこには多くの設計者やデザイナーの思い、先人の知恵が集結しています。ありとあらゆる部分に人の思想が反映されています。もちろん込められた熱量の違いはあるでしょう。そういう人の思いを感じ取り、あらゆる角度から評価して、自分の感覚と照らし合わせていく作業を楽しんでいるのではないかと思っています。

最後は余計なことをだらだら書いてしまいました。

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