最近は道具としての文房具にはほぼ満足していて、特に不足はありません。
ただ、デザインや新しい技術には興味があります。
先日プレスリリースされたモノグラフライトは新しい技術に惹かれました。
ウェブサイトやプレスリリースによると、大きく以下の4つが特徴として挙げられています。
- 摩擦抵抗が業界標準より約20%低く、軽く滑らかな筆記感
- さらさらな超低粘潤滑油性インク採用
- 耐久性に優れた切削加工ニードルチップ
- 高密度テクスチャーグリップを採用
ちなみに、3月4日発売です。
0.28のペン先を持つジェットストリームエッジが話題になりましたし、パイロットのアクロボールシリーズにも0.3が登場しました。最近は新油性ボールペンの細字化が盛んです。今回のモノグラフライトもまさにその流れに沿ってリリースされたんだと思います。
ジェットストリームエッジは常用するペンではありませんが、メモ帳に取り付けて継続的に使っています。特に便利だったのは公的文書の書き込みです。公的文書はどう考えても十分な書き込みスペースを確保していないような欄がありますね。そんな時、0.28の細さは威力を発揮します。
モノグラフライトには0.5と0.38がラインナップされています。0.28程ではありませんが、常用するには十分な細さだと思います。ジェットストリームを使って、0.28, 0.38, 0.5の比較をしてみましょう。
こう見ると0.38と0.5の差があまりないように見えますが、実際に色々書いてみるとやはり違います。0.28のエッジは1枚目の写真に示したようにポイントチップと呼ばれる独特な尖った形状となっています。ボールの小ささもさることながら、ペン先形状が与える心理的な効果は小さくありません。
モノグラフライトで特に注目しているのもペン先です。5.2 mmの長いニードルチップは曲げ加工ではなく、切削加工で作られています。また、通常、滑らか系のボールペンのペン先にはバネが仕込まれていて、ボールを先端に押し付けるような構造になっていますが、モノグラフライトにはそのような構造がなく、スムーズな筆記ができるようです。
スムーズ過ぎるインクは滑りすぎて書きにくいと感じることがありますが、0.5以下の細さだとほどよく抵抗が増すため、滑りやすさを感じにくくなります。
ここでボールと紙の物性値を適当に選び、ヘルツ面圧の最大値と接触面の半径がどうなるか計算してみましょう。ちなみに、球体と平面が接触する場合、接触圧力は均一にはならず、ボールの頂点を中心として圧力分布が発生します。そのような接触をヘルツ接触と言いますが、ここではその最大値を観察します。
(物性値は実際のものを使っているわけではなくて、推測に基づき適当に決めているので、絶対値にはそれほど意味がなく、あくまでも相対的なものと思ってください。また、ペン先の構造やインクの影響は考慮しておらず、ボールが紙に接触したシンプルなモデルです。筆圧:実際は筆記時の印加重量は200グラムを想定しています)
ボール径(mm) | ヘルツ面圧(最大値:MPa) | 接触面の半径(mm) |
0.28 | 1240 | 0.027 |
0.5 | 842 | 0.033 |
0.7 | 673 | 0.037 |
グラフにするとこんな感じになります。
ボールペンのボールは潤滑状態で滑りますのでこれだけではなんとも言えませんが、最大の接触圧力は0.7と0.28では倍くらい違うのがわかります。
トンボの多色ボールペン、モノグラフマルチにはエアータッチインクという低粘度インクが使われていますが、このエアータッチインクはかなり書きやすいです。ですからさらに改良されたモノグラフライトの超低粘潤滑油性インクにも興味があります。
とりあえず0.5と0.38の青を注文したので、発売日以降届いたらレポートします。