会社で時々以前居た会社の関連技術に関して意見を求められることがある。今日もそんなことがあったのだが、うまく答えられなかったので、以前の会社の上司に電話してみることにした。
関東にある某国立大学の自分の指導教官のところで働いているはずだったが、名簿に名前がなかった。氏名でググってみたら、某私立大学発のベンチャー企業の社長になっていることがわかった。電話番号を調べ電話してみた。
最後に会ったのは2年以上前なので懐かしい。大学時代にお世話になった人が絡み合って、研究やら商売やらをやっているらしく、おもしろそうだなぁと感じた。
上司の近況や、自分の近況を報告しあった後、質問を聞いてもらった。話が始まると、京都のベンチャー企業に居た頃の二人になったような気がして、懐かしかった。上司と言ってもそれほど歳は変わらないのだけど、上司は部長で自分は学位を取ったばかりのペーペー、さらに自分は非常にちゃらんぽらんな考え方だったので、当時は相当戒められた気がする。それでもプライベートでお世話になったり、仕事でも面倒を見てもらった。幸か不幸か同時期に二人とも会社を離れることになったのだが、最後の日、「今日までは**部長だったけど、これからは**さんと呼んでくれ」と言われたことをよく覚えている。
その後自分は某大企業の研究所に就職したこともあったのだが一向に研究に身が入らない日が続いた。いくつかの選択肢のうち、今の道を選び、今日に至っているわけだが、最近になってようやく研究とは何かが少しわかってきたような気がしている。ある意味、学生時代の本道からは外れてしまっているが、今の会社は比較的自由にいろいろやらせてくれるし、尻を叩かれることもない。もちろん今後はそういうわけにも行かなくなってくると思うが、ここ2、3年じっくりと自由にいろんなことを考えたりする時間が持てたのは、貴重な経験だったと思う。おそらく、大学等で研究を続けていたら、今の自分のような状態にはなっていなかったと思う。むしろ研究環境としては恵まれていない故、いろんなことに対する飢餓感があり、知的な欲求もどん欲になって行った気がする。まだまだ勉強することは多いが、最近は少し手応えを感じることも出てくるようになってきた。
ひとしきり上司としゃべった後、こう言われた。
「だいぶ社会人らしくなったなぁ」
この人は「社会人なんだから」とかって言葉が好きで、実は自分はそう言う言葉が大嫌いだった。でも、そういうところがその人の良さでもあることは気がついていた。その昔は毎日のように戒められていたが、長い月日を経て、お世辞でもほめてもらえたのが素直にうれしかった。
おれはほめればのびる子なので、みんなもっとどんどんほめて欲しい。w