高級コンパクトカメラ スペックまとめ

ちょっと気になるいわゆる高級コンパクトのスペックまとめ。機種はデジカメWatchの以下の記事に挙げられているものを選択した。
高級コンパクトデジカメ6機種を比較する:機能・操作編 - デジカメWatch
高級コンパクトカメラとなると富士フィルムのX100やライカのX1、リコーのGXRなどいろいろ選択肢はあると思うけど、省略している。また、ニコンのP300は開放F値がF1.8とXZ-1と同等の明るさを持っているが、撮像素子が小さめなので省略した。

機種名 メーカー 撮像素子サイズ(インチ) 素数 焦点距離(135換算) F値 シャッタースピード 重量 発売時期 最安値(価格コム、今日現在)
XZ-1 オリンパス 1/1.63型CCD 1000万画素(有効画素) 28mm〜112mm F1.8〜F2.5 60〜1/2000 秒 275g 2011年 2月18日 \40,335
PowerShot G12 キヤノン 1/1.7型CCD 1000万画素(有効画素) 28mm〜140mm F2.8〜F4.5 15〜1/4000 秒 351g 2010年10月 7日 \37,999
PowerShot S95 キヤノン 1/1.7型CCD 1000万画素(有効画素) 28mm〜105mm F2〜F4.9 1〜1/1600 秒 170g 2010年 8月26日 \30,980
COOLPIX P7000 ニコン 1/1.7型CCD 1010万画素(有効画素) 28mm〜200mm F2.8〜F5.6 8〜1/2000秒 約360g 2010年 9月24日 \30,642
LUMIX DMC-LX5 パナソニック 1/1.63型CCD 1010万画素(有効画素) 24mm〜90mm F2〜F3.3 60〜1/4000秒 233g 2010年 8月20日 \38,370
GR DIGITAL III リコー 1/1.7型CCD 1000万画素(有効画素) 28mm F1.9〜 180〜1/2000秒 188g 2009年 8月 5日 \34,988

上に挙げているカメラは比較的レンズが明るく、撮像素子が一般的なコンパクトカメラよりもひと回り大きいのが特徴だ。レンズは28mm以上の広角が実装されており、ズーム倍率は比較的抑えめだ。

一般的なコンパクトカメラに多く使われている撮像素子のサイズは1/2.3とか1/2.4が多い、一方、上に挙げたカメラでは1/1.7程度になっている。これは撮像素子の対角の長さなので、面積比を計算すると以下のようになる。
(1/2.4)^2:(1/1.7)^2
=1/5.76:1/2.89
≒1:2
つまり、いわゆる高級コンパクトカメラの方が倍ほど面積が広いことになる。さらに、高級コンパクトの場合、撮像素子が一般のコンパクトカメラよりも抑えめなので、撮像素子あたりの面積に余裕がある。技術的な詳細は省略するが、一画素あたりの面積が大きいと画質がよくなる傾向にあるらしい。
かつて、撮像素子のサイズが2/3型のコンパクトカメラが高級コンパクトの世界を席巻していた時期がある。オリンパスのE-10がそうであり、我が愛機のDiMAGE A1もそうである。その他にはソニーのF828もそうだった。これらの機種はいずれも高倍率の大きなレンズを実装しており、どちらかと言えば、レンズ交換のできない一眼レフのような感じであった。いずれも銘機である。
1/1.63型や1/1.70型の撮像素子は2/3型にかなりサイズが近い。2/3型の撮像素子の面積を100%とすると、1/1.63型、1/1.7型、1/2.4型の撮像素子の面積は以下のようになる。

面積%
2/3 100
1/1.63 86
1/1.7 77
1/2.4 39
1/1.8 70

最後に示した1/1.8型はかつて沈胴式レンズを実装する高級コンパクトカメラに多く用いられていたサイズであり、F1.8のレンズを有するオリンパスのC-3040、C-4040などに採用されていたサイズである。1/1.63型のCCDを実装するXZ-1はある意味レンズスペックそのままにひと回り大きな撮像素子を有するという意味で、C-#0#0シリーズの正統進化機といえる。、C-#0#0シリーズ以降、素子は小型化かつ高画素路線へシフトし、カメラはより小さく、高倍率にという路線へシフトしてしまった。素子の基本性能が向上したおかげもあるのだと思うが、レンズもどんどん暗く、性能の悪いものになっていった。明るい大口径レンズと大型素子を持つ高級コンパクトカメラを求める人も多かったと思うが、そういう機種は市場からほとんど消えてしまった。それと共に自分のコンパクトカメラへの興味もどんどん薄れていった。そういう時期を経て、現在、上のリストに挙げたようなコンパクトカメラが再び数を増やしてきたというのは感慨深いものがある。

それと同時に、最近ではレンズ交換式のミラーレス一眼レフなるカテゴリのカメラが出現した。高級コンパクトカメラの4倍ほどの撮像素子を持つため、性能に余裕がある。小さくてレンズ交換ができ、比較的安価なのだから隙がない。
では高級コンパクトカメラの存在価値はなくなったのかというと、そんなことはないと考えている。
カメラの撮像素子の大きさは表現を変える。撮像素子が小さいとレンズが小さくなる。F1.8もの大口径レンズを実装してもカメラがそれほど大きくならないのはありがたい。例えば、マイクフォフォーサーズオリンパスPEN E-PL2のキットレンズM.ZUIKO DIGITAL 14-42mmは135換算で28-84mmの焦点距離を持つことになるのだが明るさはF3.5-5.6と暗い。レンズの重さも112gだ。一眼レフ用のレンズとしてはかなり小型だが、本体と組み合わせると474g程になる。オリンパスマイクロフォーサーズ用のレンズはF2.8よりも明るいレンズがないため、せっかくのレンズ交換式でも選択の余地がないというのはちょっとさみしいところだ。
コンパクトカメラの場合、同じ画角でも焦点距離が短くなるため、ピントがあう範囲が広くなる。そのためボケ表現はしにくくなる。しかし、いいかえれば、絞らなくても被写界深度が深くなるので、スナップには好都合になる場合が多い。
また、一台でマクロ撮影から望遠撮影までを柔軟にこなせるのもコンパクトカメラのメリットだ。特にマクロ撮影が簡単にできるというのはコンパクトカメラの魅力だと思う。例えば、先ほど例に挙げたM.ZUIKO DIGITAL 14-42mmの最短撮影距離は0.25mである。一眼レフのレンズとしては比較的寄れる方だと思う(0.19倍(35mm判換算 0.38倍相当))が、XZ-1の場合、広角側で1cmまで寄れる。XZ-1のスーパーマクロの撮影倍率がどのくらいになるのかよくわからないが、換算焦点距離と被写体までの距離から推測するとM.ZUIKO DIGITAL 14-42mmよりも高いのは間違いないだろう(3cmが画面いっぱいに写るようなので、135換算でほぼ等倍に近いと言える)。
一眼レフの大きいレンズは性能の証のように感じるが、マクロは意外と弱いということは覚えておいたほうがいい。近接撮影をするなら一眼レフではマクロレンズという専用のレンズを使わなくてはいけないのだ。

RICOH デジタルカメラ GR DIGITAL III GRDIGITAL3

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