万年筆は水性のインクを使っているため、長時間キャップを外したままで放置しておくと、インクが乾いて書けなくなります。
万年筆のキャップは何分くらい外しっぱなしだとアウトなんでしょうか。
結論からいうと、万年筆やインクの組み合わせによります。水の蒸発という現象を考えると、気温や湿度にも依存すると思います。
万年筆によっては2、3分も放置すると掠れるものもあります。
手持ちの万年筆だと、パイロットの万年筆は比較的インクが乾きにくいイメージがあります。そこで、今回、パイロットのカスタムヘリテイジ912で放置実験をしてみました。私の912のニブはウェーバリー(WA)です。
実験を行う前に、インクは新しいインクに入れ替えました。インクはパイロットのブルーブラック(30 mlボトル)です。このインクを開封したのは2022年の4月17日です。
インクを入れ替えた後はペン芯にインクがたっぷり保持されていると思うので、しばらく筆記しました。
実験は試筆が終わった直後を0 minとして、その後、1, 5, 10, 15, 20, 25分後に1 min, 5 min, 10 min・・・とだけ筆記して、また放置するという作業を繰り返しました。0分を起点に考えると、0, 1, 6, 16, 31, 51, 76分時間が経過しているという意味です。書く文字数が少ないので、後半になるほどインクにとっては厳しい条件になっていると思います。
室温は20℃、湿度35 %で、実験の間の変動はほとんどありませんでした。
万年筆は下のような状態で放置しました。
筆記に使用した紙はコクヨ キャンパス 計算用紙です。
早速、実験結果を見てみましょう。
0 minは当然問題がありません。
1 minは書き出し及び筆跡が少し濃くなっている気がしました。
5 minは1 minより筆跡が少し濃くなった感じがありました。
10 min後では書き始めの線に滲みがみられました。
パイロットのブルーブラックは経験上、インクの濃度が濃くなるとこのような滲みがみられるようになります。余談ですが、カートリッジインクなどで滲みが気になるようになったりした場合、そのインクは水分が揮発している可能性が高いです。
15 minになると描きはじめだけでなく、全体的に滲みがみられるようになってきました。インクがだいぶ濃縮されているんだと思います。
また、写真では少しわかりにくいですが、書き出しに掠れがあり、明確に一瞬、書けないなという感じがありました。
20 minでは初期のインクフローが悪くなったこととで書きはじめの線が細くなりました。
さらに25 minになると明確に掠れが出るようになり、2の途中までうまくインクが出てきませんでした。
ここで放置実験は終了です。
25 minと筆記した直後に、ぐるぐるとしばらく筆記してみましたが、特に異常は感じられませんでした。
というわけで、今回の万年筆とインクの組み合わせの場合、20分くらい放置しても問題がないことがわかりました。5分前後の放置なら特に気にすることもないように思います。
76分の間に数文字しか書かずにこの程度なら、優秀と言えるんじゃないでしょうか。
ただし、最初にも書きましたが、結果は万年筆とインクの組み合わせに強く依存します。今回の組み合わせは手持ちの万年筆の中でも比較的乾きにくい組み合わせです。自分の万年筆がどのくらい放置してもオッケーなのかは自分で確認した方がいいです。
ちなみに、キャップレスやペリカンのM400も乾きにくい印象があります。キャップレスは純正のブルーブラック、ペリカンは純正のロイヤルブルーです。いずれもインクが少し水っぽいような印象なので、インクに寄るところが大きいのかもしれませんが、詳しくはよくわかりません。
今日の一枚
雪が降ったある日、ゴミを出したついでにiPhone 14 Proで写真を撮ってみました。
iPhoneもこんなにボケるのか〜と感心してたら、いつの間にか、ポートレートモードになっていました。だから、このボケはiPhoneが一生懸命計算した結果なのです。