1ヶ月ほど前、ステッドラーのREGがレギュラー品として再販されるということを知り、早速注文しました。SNSでは数日前から店頭に並び始めたという情報が出ていましたが、私の手元には今日届きました。

REGは2014年に廃盤になりましたが、私は販売したときに買っていて、持っていました。かなり昔のことで購入した時のレビューが残っていませんが、そもそも書いていないかもしれません。ただ、ここに持っていた当時の写真が残っていました。
digistill.hatenablog.com
実はREGはほとんど使ったことがないペンでした。
ブログにもこう書いてあります。
ステッドラーの925 85-07はダメだ。重すぎる上にグリップが滑りやすくおれ的には最悪なのだ。メカニカルなギミックとものとしての存在感はナンバー1なのだが、これで何かを書こうとは思わない
これを見ると、持っていたのは0.7 mmのREGだったようです。今回再販されるのは0.3と0.5なので0.7のREGは貴重です。
いつの間にかなくなって、もう手元にはありません。廃盤になった時もそれほどなにも思いませんでした。
しかし、再販するとなるともう一度、手にしたくなりました。

まず驚きなのが、価格です。かつては1260円だったものが、3630円になりました。
あとでも少し書きますが、REGというネーミングはレギュレーターという機構を実装しているところからきています。レギュレーターというのは芯の繰り出し量を変更できる機能です。
同じような機構を実装しているOHTOのMS-01が2000円ですので、さすがに1260円で売り出されることはないにしても、1000円くらい高い気がします。
何はともあれ、全体を少し観察してみましょう。



改めて見るとデザイン、加工、仕上げ、組み立て、全てにおいて完成度が高いと思います。
かつては、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという訳で、正直、何も思っていませんでした。無関心というのは、ジャッジするに値しないという意味で、マイナスレベルがもっとも高いと思います。かつてはそういう存在でした。
ちなみに、嫌いというのはマイナスのベクトルが異なり、害が伴うあるいは思い通りにならない時の感情ではないかと思います。何にしても嫌いという感情はよろしくないですし、価値基準は人によって異なりますので、主観的な物の評価としては好みか好みじゃないかが判断基準としては正しいと考えるようにしています。どれが好みか好みじゃないかは他人ではわからないため、私がブログでオススメと極力書かないのはそういう理由からです。ちなみに、客観的に評価する場合には、尺度や基準が必要になります。そういうお膳立てがあれば、良いか悪いかは言えるようになりますが、やはりそこに嫌いというのは入る余地がありません。
ノーマルの925 25 or 35はいまだに手に入れていませんので、限定版と比較してみます。

925 25は製図の道具として過不足がなく、洗練されている気がします。一般筆記用として使っても十分な魅力があります。
REGはどちらかというと一般筆記用っぽい感じです。元々ステッドラージャパンが日本向けに設計したペンらしく、そう言われればどことなく日本人の職人気質が見え隠れするような設計のような気がします。

重量は22.5 gでした。設計上は22グラムということになっていますが、芯の重量分が差になっていると思います。もう少し重いイメージでしたが、意外と軽いでした。22.5 gはシャープペンシルとしては軽くはないですが、一般筆記するのには問題ない程度の重量だと思います。
ペンの重量は重量バランスやグリップの太さ、ペンの長さなどで感じ方が変わります。
10 g程度だと軽快。例えばぺんてるグラフレットが10 g。
10 gと15 gの中間が、スマッシュの12.5g。
15 g前後が程よい重量感。例えば、ぺんてるのグラフギア500がちょうど15 g。
10 gと15 gの中間が、ぺんてるのオレンズネロが16.9 g、パイロットのS20が17.9 g。
20 gが重厚感を感じる重さ。例えば、パイロットのS10が19.3 g、ぺんてるのグラフギア1000が20.4 g。
22.5 gはグラフギア1000よりも気持ち重い程度で、特別重いという印象にはなりません。
ちなみに、OHTOのMS-01は27.3 gでかなりの重量級です。個人的には30 gを越えなければ、道具として逸脱した重さではないと思います。
グリップの直径はφ9mmで、シャープペンシルとしてはいい感じです。ちなみに、パイロットS10がφ9.8、プラチナ プロユース171がφ9.8、uniオレンズメタルがφ9.4です。ペンの重量やバランスにもよりますし、好みもありますが、シャープペンシルのグリップは10 mm ± 1~2 mmくらいが通常の許容範囲で、9 ~ 10 mmあたりが個人的な好みです。
REGの重心はグリップより少し上くらいにあり、比較的低重心でバランスがいいです。
さて、気になるローレットを観察してみます。
まずは外観から。

昔のREGもこんな感じのローレットでした。
実際に手にしてみても同じような感触です。ただ、好みとか考え方が少し変わったのか、これはこれでいいのではないかという気がします。ローレットとしてこれでいいかと言われれば、微妙ですが、こういうローレットがあっても良いじゃないかという印象です。少なくとも使いたくないとは思いませんでした。
感触はOHTOのMS-1のローレットによく似ています。
さっき書きましたが、REGには芯の繰出量を調整できるレギュレーター機能が実装されています。ノックパーツの下にあるギザギザのところを回すと、0.1 ~ 2.0 mmの範囲で調整できます。
かなり昔に書いたイラストですが、シャープペンシルは下のような構造になっています(机の横にずっと貼っています 笑)。

このイラストを観察すると、シャープペンシルをノックすると芯が押し出される機構が理解できます。
まず、芯チャックがチャックリング内に配置されていて、芯をガッチリホールドしています。
ノックするとチャックリングごと先端に押し出されます。
この時、同時に芯も押し出されます。
口金内の段にチャックリングが当たると、チャックリングから芯チャックが押し出されるような格好になります。芯チャックはチャックリングがないと開くような設計になっていますので、チャックリングの保持がなくなると、パッと開き、芯を離します。ノックするとチャキッという音がしますが、それがこの瞬間です。
ノックを戻すと芯チャックが後退します。その際、芯は芯戻り止めという摩擦の大きい材料があるため、そこにとどまります。
芯チャックがチャックリング内に収まると、ふたたび芯チャックが芯をホールドします。
ノックをして戻すときに、先端から出た芯が少し戻る様子が確認できると思いますが、それが芯チャックがチャックリング内に入り、ホールド力が復活した瞬間です。若干その後も引き戻されるため、芯が内部に戻ることになります。
以上の流れを考えると、チャックリングの初期位置と口金内のチャックリングが引っかかる段差との距離が芯の繰出量を決めていることが理解できると思います。厳密にはチャックリングと芯チャックの関係性もありますが、簡単のために下の矢印部分だけで芯の繰出量が決まっていると考えます。

では、芯の繰出量を可変するにはどうすれば良いか。
矢印の左端の口金の位置は変えられません。そうなると、右端の位置を左右に動かせば良いわけです。つまり、内部機構全体を左右に動かせるような設計にしてしまえば良いわけです。
原理的にはそれほど難しいことではありませんが、これを限られたスペースで実装するにはそれなりの工夫が必要だと思います。それを実際にやっているのが、REGやMS-01です。
擬似的にこれを体感したければ、シャープペンシルの口金を少し緩めてノックするといいです。緩める量に応じて繰り出される芯の量が増えることを体感できます。この場合、矢印の左端をずらした結果、繰出量が増えたということになるわけです。緩めすぎるとチャックリングが外れないので、芯が出たり入ったりするだけになります。

10回ノック法(10回ノックして芯の長さを測り1/10にする)で調べてみるとデフォルトの繰出量は0.9 mmに設定されているようです。このノック量は個人的にはちょっと多めだと思います。ぺんてるの場合、0.5のノック量は0.5に設定されていますが、このくらいがバランスがいいと思います。
レギュレーターを動かした感じはかなり滑らかです。かつてはもう少しゴリゴリした感じだったような気もします。ノック感もかなり上質です。ノックを動作する時のガタ付きも最小限ですし、チャックが外れた時の音も程よく、ノックを戻した時の芯戻りも少なく、しっかりと設計がなされていることがわかります。
ちなみに、どのペンもそうですが、ノック音の評価はペンをどう持っているかによって異なりますので注意が必要です。音そのものも官能的には重要ですが、持ち方まではペンの方で規定できません。むしろ、ノックした時の感触や振動感、芯の挙動などでどの程度の設計がなされているかはわかります。
REGの繰出量表示はMS-01よりもわかりやすいです。

実際に書いてみると、ガタ付きやブレが皆無で剛性感が非常に高いです。振ったりしても部品が揺れるような挙動は一切ないです。クリップ位置が低いので若干手に当たりやすいですが、クリップの先端が滑らかな曲線で処理されているため違和感は少なめです。
道具としてのシャープペンシルということなら、他の選択肢もたくさん考えられます。ただ、改めてみると、設計の良さ、加工の仕上げや組み立てなどがハイレベルで、モノとしての魅力に溢れています。
これを限定品でなくレギュラー品として復活させたところにステッドラーの良心を感じます。また、口金やノックパーツ、替字消し(5個入り)もそれぞれ、495円、605円、440円で用意されています。これだけ替えパーツがあれば一生物といってもいいくらい長く使えると思います。