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オリンパスE-P1に思うこと

だいぶ前からオリンパスマイクロフォーサーズ機に関してはモヤモヤとした思いがあって、今日、発表を迎えたわけだが、そのモヤモヤした感じはうまく言葉にならない。
はじめてデジカメを買ってから10年が経つのだが、この10年間、飽きもせずほぼ毎日のようにデジタルカメラの情報を追跡してきた。とは言っても、網羅的にチェックしたり、情報を別の形で体系的に整理しているわけではないのでおおよその感覚しかない。ただ、その中でもいくつか個人的に印象深いデジタルカメラというものがある。そのときそのときの好みが強く反映されているので、必ずしも一般的な評価と一致するわけではない。
気になるカメラはほとんど例外なく、初めてみたときに欲しいと思わせる「何か」があったように思う。なかでも印象的だったのはオリンパスのC-2000Z、ミノルタDiMAGE A1、エプソンR-D1富士フィルムのF10、リコーのGR Digitalなどだ。C-2000Zは200万画素に本格的なレンズと撮影機能を有していて、これでフィルムはなくなるなと本気で思わせてくれた。DiMAGE A1は撮像素子を動かして手ぶれを補正するという「フィルムでは絶対に不可能」な機能が衝撃的だった。エプソンR-D1は本格的なレンジファインダーカメラをデジタル化した、趣味カメラの理想型だった。アナログなギミックがすばらしかった。富士フィルムのF10は独自で開発した撮像素子を使うことでコンパクトながら今までの常識を上回る高感度画質を獲得した意欲作だった。リコーのGRDは伝説のGRをデジタル的にうまく解釈できていたように思う。ズームレンズがあたりまえのコンパクトカメラをあえて単焦点にしたのは英断だった――制約は創造の刺激になる場合がある。
では、E-P1とはどういうカメラなのか。
オリンパスデジタルカメラの理想を求めフォーサーズという規格を主導してきたメーカーだ。フォーサーズならではの高画質とコンパクト化を進めてきたはずだ。一方、他のメーカーはフルサイズのデジタル一眼レフをラインナップしはじめた。もちろん、主流はAPS-Cというフォーマットだ。フォーサーズでは勝ち目がないと判断したのか、オリンパスはボディ(と、レンズ)を小さくするためだけにさらに新しいフォーマットを作り出してしまった。
こういうことを言ったら失礼かもしれないが、E-P1の積極的な存在理由をメーカー自身がよくわかってないのかもしれない。
デジカメWatch オリンパス、「E-P1」の発表会を開催 によると、オリンパス

大きさ、複雑な操作、サイズ、重さなどがデジタル一眼レフカメラ伸び悩みの原因

としているのだが、それらに不満を感じている人は普通にコンパクトカメラを選んでいると思う。写真そのものにあまり興味のない知人を思い浮かべると、コンパクトカメラの画質が悪いと思っている人はそれほど多くないように思う。そもそもどうしたらボケを生かした表現ができるのかということすら知らない人は多い。おそらく絞りとかシャッタースピード、もしかしたら焦点距離による表現の違いや感度すら意識している人は少ないのではないだろうか。ノイズやホワイトバランス・露出の不安定さなどは、「うまく撮れなかった」の一言である程度納得してしまうだろう。「写ルンです」の画質に多くを期待しないのと同じで、過剰な画質は必ずしも魅力とはならない。E-P1がコンパクトと決定的に違うのは「画質」だろう。しかし、その画質に不満を持たない人々が、一体どれほどE-P1の画質を評価するだろうか。
もう一面から見てみると、画質を期待する人はわずかなコンパクトさにいかほどの魅力を感じるか疑問である。自分は小さなカメラが好きなのでコンパクトさの魅力は十二分に理解できるのだが、小さければ小さいほどいいのかといわれるとそうでもない。いつも持ち歩いているバッグの小さなポケットはF30でギリギリなので、ここに入らないカメラはもう小さいとはいえない。だったら、合計1キロ未満のカメラはどれもそれほど違いはない。画質にこだわる人はまず間違いなくレンズにこだわるだろうし、外付けのファインダーやフラッシュを持ち歩こうと思うような人が、可搬性に魅力を感じるとも思えない。
では、E-P1の魅力とはなにか。
K-7ではないが、プレミアムスモール的位置づけなら、自分はE-P1をもう少し評価したかもしれない。オプション品のラインナップを見ると、おそらくそういう方向性も持っているようだが、ターゲットがあいまいなのだ。E-P1は「大きさ、複雑な操作、サイズ、重さなど」に不満を有する人に対する答え、おそらく目的はデジタル一眼市場の底上げだ。ある一定の市場はあるように思うが、非常にニッチではないかと思う。底上げを狙うならもっと徹底的に便利なカメラにするべきだった。プレミアムを狙うなら、もっと違う方向性のデザインでなければならない。プレミアム感、おしゃれ感、ユーザーの底上げ、これらの要素をすべて中途半端に盛り込んだのがE-P1なのかもしれない。もう少し明確な思想を持たなければ、このシリーズが爆発的に売れることはないのではないだろうか。
あえて書くが、オリンパスのデジカメが低迷する理由がE-P1というカメラに現れてしまったといったら言い過ぎだろうか――かつて、自分はオリンパスのデジカメが一番好きだったのだ。

率直な言葉で言えば、第一印象としてこのカメラを強く欲しいとは思わなかった。
ちょっとうまく言えてないけど、現段階の正直な印象。
ただ、こういうコンセプトのカメラはこれまでになかったわけなので、その辺のことはこれからもう少しよく考えないといけないかもしれない。

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