DA35mmF2.8 Limted―単焦点レンズとズームレンズに対する考察

夕方には雨がやんでいた。今日はちょっと用事があったので、広島駅のそばまで自転車で行ってきた。自宅に帰ってからK-7を持って散歩してみた。
外は真っ暗だったのでISO感度は3200か6400。撮影云々よりも、手にもって歩いてどんな感じがするか確認したかったのだ。K-7+DA35の組み合わせはメディア、電池込みで約965グラム。首に下げるとちょっと重く感じる。しかしながら、手に持ちながら歩く分には問題はないように感じた。
DA35は35mm換算で約52mm相当の焦点距離となるので、FM3AにAi Nikkor45mmF2.8Pを付けた時の感じに似ている。久々に単焦点で撮影してみて被写体との距離の撮り方がおもしろいと感じた。50mmというのは経験がないので、撮ろうと思う感覚と、ファインダーを覗いたときの画角にズレがある。被写体との距離にもよるが、自分の場合、だいたい数歩後ずさる感じだった。この足で距離を調整する感覚がFM3Aで撮影していたときのことを思い出させた。この感じはズームレンズにはないフットワークで、だんだん焦点距離に慣れてきて、感覚の距離感と画角が一致するようになってくると、非常に楽しくなってくる。ズームレンズの場合、足を動かす前にズームで画角を調整してしまいがちになるため、割り切りが難しく、窮屈な感じになってくるように自分は感じる。単焦点はズームの呪縛から開放してくれるのだ。


写真による表現効果を考えるなら、まず焦点距離ありきなのではないかという気がする。本来、焦点距離によって表現が異なるので、さまざまな焦点距離単焦点レンズがあるわけだ。焦点距離は単に被写体までの距離とそれが写る大きさだけの問題ではない。たとえば、広角レンズでは遠近感が強調され、望遠レンズでは遠近感が失われやすい。これは焦点距離による遠近感の違いで、パースペクティブを生かした表現とか、パースを生かした表現などといわれる場合がある。広角というのは文字通り、画角が大きく、望遠は画角が小さい。よって、広角レンズは距離に対する被写体の大きさの変化量が大きく、望遠レンズはその逆だ。手持ちのズームレンズで焦点距離を変え、手元のタバコの箱とかジュースの缶とかを撮影するとどういうことかよくわかると思う。(余談だが、小難しい理屈も大切だが、原理原則をまずは自分なりの解釈で理解し、具体的に試してその効果を確認しておくと、忘れにくい。理解が不十分な場合はそのつど自分の解釈を訂正していけばよい。)また、焦点距離はボケ方にも影響を与えたりする。
ズームレンズを使う場合に理想的なのは―まず撮りたいものが見つかる、自分が感じた様子を表現するにはどのような表現がいいかを考える、その表現に近い焦点距離を考え、選択する、焦点距離に応じた距離をとり、ファインダーで構図を整え、(適切な露出を選択し)、シャッターを切る―こんな手順ではないだろうか(デジカメの場合、デジタル的なパラメタ―ホワイトバランスなど―も決めなければならない)。ホントはズームレンズを使いこなすためには単焦点をよく知る必要があるのかもしれない。ズームレンズは便利なので、ついついファインダーを覗いてから、ジーコジーコ焦点距離をいじりまわしてしまう。これでは、撮ったというよりも、撮らされたという感じに近いのかもしれない。


DA35で便利なのは、やはりマクロレンズであるということだろう。無限遠からマクロ域までシームレスに撮影ができるので、コンパクトカメラよりも便利だ。しかし、最近接域になるとピントがかなりシビアになるし、コンパクトよりも被写界深度が浅いので、ピント位置はきちんと意識する必要がある。そうなるとAFよりもMFの方がてっとりばやい。DA LimitedはAF後にピントリングを回せば即座にMFレンズとして使えるので、便利だ。しかし、時々、ピントの見切りが悪く、いつまでもジーコジーコと動きが止まらないときがある。そういう時はダイアルで強制的にMFにしてしまった方がいい。
散歩のときに撮ったのはあまりいいのがなかったので、10円玉の近接撮影をしてみた。若干ピンボケ、手ぶれあり。
DA35の最近接撮影(等倍)はレンズから被写体までの距離(動作距離とかワーキングディスタンスとか表現するのかな)が数センチになるので結構難しい。等倍撮影をしたいなら35mm換算で100mm程度の焦点距離があったほうが便利だと思う。タムロンSP90(デジタル版)とかがいいかもしれない。焦点距離が長いとボケも大きく、マクロ撮影には便利だろう。最近SP60というレンズも発表されたのでそちらも気になるところだ。

連絡はこちらから