今、Kindleで「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (文春文庫) 」を読んでいます。
ケンボー先生というのは三省堂国語辞典の編纂者の見坊豪紀先生のことで、山田先生というのは新明解国語辞典の編纂者の山田忠雄先生のことです。
三省堂国語辞典は現在第7版ですが、初版の発行年月日が2014年1月10日で、そろそろ改訂があってもおかしくないので購入を見合わせていたのですが、本を読み進めていくうちに欲しくなってしまい、買ってきました。
三省堂国語辞典は通称「三国(さんこく)」と呼ばれており、元々は中学生向けの辞書だったようです。
ケンボー先生と山田先生はもともと東大の同級生で、明解国語辞典という辞典を共同で編纂したようです。新明解国語辞典は語釈が主観的であるのに対し、三省堂国語辞典は簡潔で客観的な記述となっているようです。もともと同じ辞書を作っていた二人が、同じ出版社から全く性質の異なる辞書を出版するにあたっては何か事情があるようです。まだ17%しか本を読んでいないので詳しいことは分かりません。
岩波国語辞典はサイズがコンパクトで語釈が簡潔なので、よく最初に引くんですが、三省堂国語辞典は岩波国語辞典よりもひと回り小さいです。
積極的に新語を取り入れており、収録項目数は約82000(見出し項目は約76600)、ページ数も他の小型国語辞典と同じくらいですが、厚みも薄く、取り回しがいいです。
活字も比較的大きめで見やすいのもありがたいです。
集英社国語辞典ほどの数はないような気もしますが、所々イラストがあって、視覚的に理解が深まるような工夫がなされています。
本の中に書いてあることですが、三省堂国語辞典は生きた言葉を載せる方針のようで、どの日本語が正しいとか間違っているという立場を取っていないようです。そのひとつの例として、いわゆる「ら抜き言葉」を肯定的に捉えている部分があります。
明鏡国語辞典では「ら抜き言葉」として書かれてあり、岩波国語辞典でも一部の意味に限って「ら抜き言葉」「ら抜け言葉」が使われるとしています。複数の国語辞典を比較すると、結構いろんな発見があっておもしろいです。
三省堂国語辞典は中学生から使える辞書で取り回しがよく、語釈が簡潔ですごく使いやすい国語辞典だと思います。気に入りました。これからメインの国語辞典になりそうな気がします。明鏡国語辞典のような紙面の表現になればもっと親しみやすく使いやすい国語辞典になるんじゃないかと思います。次の版でどのような工夫がなされるか楽しみです。
「三省堂国語辞典のひみつ」という本もあるみたいなので、そのうち読んでみたいと思います。