Kaweco Perkeo(カヴェコ パケオ)

MAXの50周年記念HD-10Dを探しに、本通りの多山文具に行きました。入荷予定はあるものの、まだ入荷していないそうで、入荷したら連絡をもらえるように手続きしてきました。

店内を見回すと、TWSBI ECOが置いてありました。日本でだいぶ展開しているようですね。580DiamondやGO、Precisionなども取り扱ってほしいところ。

ガラスケースの中を見ると、何やら見慣れないカラフルなプラスチックの万年筆が置いてありました。カヴェコのパケオという万年筆です。インクの入ったサンプルがあるということで、試筆させてもらうことにしました。ニブはF。ABCDEFG、クルクル・・・あいうえお・・・。これはいい。「これください」。速攻で決断しました。色はブルーとホワイトの組み合わせを選びました。ブラックとイエローもよかったです。

色の名前は、オールドシャンブレーというらしいです。他には、ブラックとイエローのインディアンサマー、ブラックとレッドのバッドテイスト、ピンクとグレーのコットンキャンディがあります。

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パケオは20世紀の初め頃、販売されていた万年筆の復刻版らしいです。

ところで、カヴェコという万年筆メーカーですが、1883年にドイツで創業したメーカーです。1976年に一度廃業していますが、1995年にニュールンベルグにあるGutberler Gmbh(グッドバレット)社が商標を獲得し、ペンの製造販売を再開しています。

有名なペンにスポーツというのがありますが、1972年に開催されたミュンヘンオリンピックでは公式のペンとして使われたそうです。

このパケオは20世紀の初めに販売された万年筆の復刻版です。オリジナルがどのような万年筆か知りませんが、大きさや作りがカクノに似ています。

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それにしてもこの渋いブルーに乳白色の組み合わせはいい感じです。写真よりも実物はもう少し明るめの青です。下にある天冠を映した写真が一番実物に近い色に見えます。

ABS樹脂製の万年筆で、ニブはスチール(F)です。ニブの色はペンカラーによって、ブラックとシルバーがあります。

スポーツのニブもよく似ていますが、少し形状が違うようです。ペン芯の形状も異なるようです。

 

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キャップは8角形、ボディは16角形、グリップは3角形のエルゴノミックグリップとなっています。このグリップの形状は秀逸です。カクノやサファリも同じような3角形ですが、パケオの形状が一番手に合う感じがします。サファリも悪くないのですが、パケオのほうが太いので疲れにくそうです。

キャップはスライド式になっています。クリップはついていませんが、YouTubeにスポーツ用と思われるクリップを装着しているシーンが出ていましたので、取り付けることができるんだと思います。


Kaweco Perkeo(1080p)

ペンの重量はカートリッジ抜きだと12.4グラムでした(カクノは11.3グラム、実測値)。

プラスチック成型の品質は高いです。また、部品点数が多く、天冠部分にシルバーの素材を配置するなど造作の細やかさや作りこみがなされています。カクノは部品点数を6点に抑えることでコストダウンをして、1000円。パケオは2000円です。倍の価値があるかどうかは人によると思いますが、カクノより凝った作りになっているのは間違いないです。細かいところでは、ペンの首軸と軸をつなぐスクリューをねじ込むと、最後にあたかも締め終わったことを知らせてくれるように、コクッと軽いクリック感があります。このような工夫をすることで子供が力任せに締めこむのを防いでいるのかもしれません。

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下に首軸の写真を示しますが、ネジを開けると透明な樹脂部品が存在します。首軸だけで6個前後の部品が使われているものと思われます。透明な部分に切れ込みがあるのがわかりますね。この部分に軸の内側にある突起がはまり込むんです。ねじ込む側が一段高くなっているので物理的にもそれ以上ねじ込めないようになっています。こういう細かい設計を見ると、うれしくなりますね。設計者の知恵と心を感じます。

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中には空のカートリッジとブルーのカートリッジが入っています。いわゆるヨーロッパタイプですね。予備をひとつ内蔵できます。コンバーターも入るようです。

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ここで少し関係ないことを思い出しました。去年、ケルンに行ったとき、ショッピングモールの文房具コーナーに行ったのですが、たくさん万年筆が売っていました。そこで目にしたのは日本ではまず目にすることのない様子でした。なんと売っている万年筆にカートリッジが指してあるんです。たまたまいたずらでそうやっているのかどうかわかりませんが、日本ではまずありえないことです。やりたくてもできないようにパッケージなどで工夫しています。

カクノとの比較。

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サイズ感はよく似ています。パケオの方が少しずつ一回り大きい感じです。ニブはカクノと比べると幅広で短いですね。ミニTWSBIって感じです。

左がパケオ、右がTWSBI DIAMOND580、

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並べてみると雰囲気がよく似てます。飾りのデザインやロゴの丸の感じはそっくりですね。紙に当たる筆記側のペンポイントの形状はそっくりです。

個人的にはキャップをポストしたほうが書きやすいでした。

筆記線の比較。

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カクノのMよりも細く、Fよりも太い感じです。

なめらかに筆記でき、紙へのひっかかりはありません。インクフローはインクを入れた直後から良好です。ニブそのものの柔らかさというのはそれほど感じませんが、ペンポイントが太いこともあり、悪くないです。ペン先を紙に軽く接触するだけで鮮明な線が描けます。

字が汚いのでその辺は参考になりませんが、このブログを書くためのメモをパケオで書いたものです。紙はA5のMD用紙です。

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このペンは線の太さが絶妙にいい感じです。グリップや重量バランスにも優れており、インクフローも適切です。紙へのひっかかりなどもなく、非常になめらかな筆記感が味わえます。

カクノもいいペンです。しかし、カクノと比べて倍の価値があるかと尋ねられたら、わたしはそれ以上ですと迷いなく答えます。

 


Kaweco Perkeo Fountain Pen Review (Giveaway ENDED)

 

 

カヴェコ パケオ万年筆 インディアンサマー F(細字)
 

 

 

カヴェコ パケオ万年筆 コットンキャンディ F(細字)
 

 

 

カヴェコ パケオ万年筆 バッドテイスト F(細字)

カヴェコ パケオ万年筆 バッドテイスト F(細字)

 

 

鉄ペンより金ペンがエライのか

鉄より、金が高い。誰でも知ってます。万年筆のペン先も当然金を使ったもののほうが高いです。鉄ペンの場合、鉄といっても、ステンレスです。

まず初めに偉さの基準として、ニブの価格差を見てみます。14金の価格は約2500円/グラム、ステンレスの価格は高く見積もっても0.2円/グラム。とあるサイトによると、モンブラン149のニブの重さが1グラムほどということなので、ここは大きく見積もってニブは1グラムとしましょう。そうすると、素材費の差は2500円ということになります。

また、おおよその傾向として、金ペンの方が作りが豪華です。また、同じ金ペンでも、価格はピンキリということを考えると、万年筆の価格差は軸の作りの差の影響も小さくないんでしょう。

昔のインクは腐食性が強く、そのため耐腐食性の高い金合金がニブに使われたそうです。私の経験から言うと、鉄ペンが腐食したことは一度もないです。実用上、腐食性による金ペンの優位性はないと思います。

感覚的なところで言えば、鉄ペンの方が紙へのあたりがソフトで書き心地がいい傾向にあります。しかし、最近は鉄ペンでもニブの設計などを工夫して、ソフトタッチなものも出てきています。私の知る範囲で言うと、TWSBIのDIAMOND580とプラチナのプロシオンがそうです。

ペン先を観察してみましょう。

↓左から、ペリカンM400、セーラー プロフィット21、パイロットカスタムヘリテイジ912、パイロット プレラ、TWSBI、プロシオン

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左半分が金で、右半分が鉄です。

TWSBIとプロシオンは、プレラと比べるとニブが大振りです。この大きさが柔らかさに一役買っているのかもしれません。また、TWSBIは幅広で平面っぽいですし、プロシオンは幅は狭いですが平面的な設計になっています。

では金ペンを見ると、TWSBIやプロシオンよりでかいです。プレラとの比較で考えると、でかいから柔らかいんじゃないかとも思えます。

ちなみに、ここに挙げた金ペンは柔らかいといっても、しなるような柔らかさではないです。そもそも万年筆はしならせて書くような道具ではないと思いますが。

TWSBIやプロシオンを使っていると、金ペンっていったい何だろうという気がしてきます。

キャップレスは金ペンですが、筆記感は結構シャープです。しかし、カクノやサファリ、プレラとはちょっと違って、シャープの先に腰の柔らかさのようなものを感じます。だから、長時間使っていても疲れにくいです。このあたりの特性が金に起因するものであるならば、金にもそれなりの理由があるのかもしれないです。

パイロット カートリッジインキ ブルーとキャップレスの魅力

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基本的に青系のインクが好きなんですが、少し前から使っているパイロットの純正ブルーが気に入っています。以前はブルーブラックを使っていたのですが、勉強に使ったり、メモ書きに使ったりする色としてはブルーのほうがしっくりきます。

↓適当な光源の下で、iPhoneで撮影しているので、色の再現はでたらめですが、相対的な雰囲気は伝わるかと思います。

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で、このインクを主に使っている万年筆はキャップレスです。

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このキャップレスは好きすぎて、以前はあまり持ち歩かなかったのですが、最近は普段からよく使っています。

このブログで何度も言っていますが、キャップレスの書き味は最高です。ちなみに、太さはFです。筆跡に万年筆らしさはあまりないですが、これは線が細いのでしょうがないです。筆記角度に関して言えば、どんな角度でもストレスなく書けます。ひっくり返して裏書しても全く問題なく筆記が可能です。さすがにニブを横にすると書けませんが。筆記角度の許容量はボールペン以上です。また、ボールペンと異なり筆圧は必要ありません。ペン先が紙に触れている状態を保てば筆圧ゼロでも線が描けます。紙に触れたら応力をゼロに保つのは難しいだろうという突込みはなしで、、あくまでも感覚的な表現と思ってください。また、押し書きや素早い〇、左から右への筆記など、万年筆が苦手とする書き方をしても途切れなくきれいに線が描けます。

筆記感はなめらかで、引っ掛かりは皆無です。ほんとにペン先が割れているんだろうかと不思議に思うくらいです。それに加えて、18金のニブのしなやかさが加わり、紙あたりはまろやかです。線の安定感やペンポイントのなめらかさだけなら、カクノやプレラでも十分に感じられます。しかし、この紙あたりの柔らかさというか、まろやかさというのは金じゃないとなかなか出ません。特段ペン先をグニグニと変形させる必要はありません、通常筆記する際、紙にトンとペン先を置いた時の雰囲気が全然違います。

クリップの位置やペン重量、ペンバランスに難ありと感じる人もいるようですが、私はそれに関しても80点以上のスコアを付けます。クリップのおかげでかなりホールドしやすいと感じます。

しばらくペン先を出したままにしておいても、インクは乾きにくいです。ペン先を収納すればまずインクが乾くということはないです。どのくらい大丈夫なのかわかりませんが、少なくとも書き出しにかすれたという経験は一度もありません。

少し前から、マットブラックが気になっているんですが、最近はデシモに興味が出てきています。細さはEFがいいですね。キャップレスは30グラム程度と少し重いのですが、デシモだとキャップレスより10グラムほど軽いです。

マットブラックならMかな。 

パイロット 万年筆 キャップレスデシモ FCT-15SR-B 極細字 ブラック

パイロット 万年筆 キャップレスデシモ FCT-15SR-B 極細字 ブラック

 
パイロット 万年筆 キャップレス FC18SRBMM マットブラック

パイロット 万年筆 キャップレス FC18SRBMM マットブラック

 

 

レイメイ ペンパス シャープタイプ

めったに使わないけど、時々必要になるもの、それはコンパス。

最悪、フリーハンドでも円は描けますが、きれいに書くのは無理です。そういうわけで買ってきました。製図用ではなく、小学生が使うようなやつです。

レイメイ ペンパス シャープタイプ

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キャップがついていて、ペン先と針を隠すことができます。亜鉛ダイキャストで割とずっしりしています。

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最近のコンパスはシャープペン方式なんてのがあるんですね。30 mmの専用芯が8本ついています。0.5 mmなのでなくなったら普通の芯を折って使うことになると思います。

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脚が2本連動して動くため、常につまみが真ん中に位置します。こういうタイプのコンパスは初めて使いましたが、使いやすいですね。つまみにはエラストマーが貼り付けてあるので、滑りにくいです。

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シャーペンの芯ですし、少しガタもあるので、きっちりとした直径の円を描くのはそれなりに難しいです。

ところで、開く際に少しゴリゴリするなと思って、分解してみたところ、銀色の金具にだいぶバリがありました。

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砥石でバリが出ている面を磨き、グリスアップしたら、かなりましになりました。

分解することで、左右均等に開く仕組みもわかりました。

歯車を利用すればガタなどはほとんど出ないようなものになるのでしょうが、ちょっとコストが上がりそうですね。

 

サクラ クラフトラボ 003を見てきました

先日、紙屋町のLOFTに行ったらサクラクラフトラボの003が展示してありました。

発売前からどういうペンなのか気になっていたので、さっそく手にしてみました。

craft.lab.craypas.com

真鍮でできたゴールドが55グラム、アルミでできたシルバーが30グラムと、なかなかの重量です。30グラムというと、ちょうどキャップレスと同じ重さです。

長さは11センチ。11センチというと、キャップを外したプレラより長く、ボーテックスより短い感じです。

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太さがあるのでそれほど短さを感じませんでしたが、プレラ、ボーテックスは細くて軽いこともあり、キャップなしでは少し書きにくく感じます。

003にはクリップがありません。ポケットに入れてラフに持ち歩くというイメージのようです。しかし、そこで頭をよぎるのは、なくしたブラスペンシル。小さくて持ち運びやすい筆記具は、間違いなく無くしやすい筆記具の運命をたどります。出張や外出の時に限って、普段と違う行動をするので無くしやすいです。記憶をたどると、いつの間にか身の回りから消えたペン類は少なくないです・・・

これに8000円を出すかというと、正直、今のところ微妙ですね。むしろ、001の良さが改めて認識できた気もしました。

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