鉄ペンより金ペンがエライのか

鉄より、金が高い。誰でも知ってます。万年筆のペン先も当然金を使ったもののほうが高いです。鉄ペンの場合、鉄といっても、ステンレスです。

まず初めに偉さの基準として、ニブの価格差を見てみます。14金の価格は約2500円/グラム、ステンレスの価格は高く見積もっても0.2円/グラム。とあるサイトによると、モンブラン149のニブの重さが1グラムほどということなので、ここは大きく見積もってニブは1グラムとしましょう。そうすると、素材費の差は2500円ということになります。

また、おおよその傾向として、金ペンの方が作りが豪華です。また、同じ金ペンでも、価格はピンキリということを考えると、万年筆の価格差は軸の作りの差の影響も小さくないんでしょう。

昔のインクは腐食性が強く、そのため耐腐食性の高い金合金がニブに使われたそうです。私の経験から言うと、鉄ペンが腐食したことは一度もないです。実用上、腐食性による金ペンの優位性はないと思います。

感覚的なところで言えば、鉄ペンの方が紙へのあたりがソフトで書き心地がいい傾向にあります。しかし、最近は鉄ペンでもニブの設計などを工夫して、ソフトタッチなものも出てきています。私の知る範囲で言うと、TWSBIのDIAMOND580とプラチナのプロシオンがそうです。

ペン先を観察してみましょう。

↓左から、ペリカンM400、セーラー プロフィット21、パイロットカスタムヘリテイジ912、パイロット プレラ、TWSBI、プロシオン

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左半分が金で、右半分が鉄です。

TWSBIとプロシオンは、プレラと比べるとニブが大振りです。この大きさが柔らかさに一役買っているのかもしれません。また、TWSBIは幅広で平面っぽいですし、プロシオンは幅は狭いですが平面的な設計になっています。

では金ペンを見ると、TWSBIやプロシオンよりでかいです。プレラとの比較で考えると、でかいから柔らかいんじゃないかとも思えます。

ちなみに、ここに挙げた金ペンは柔らかいといっても、しなるような柔らかさではないです。そもそも万年筆はしならせて書くような道具ではないと思いますが。

TWSBIやプロシオンを使っていると、金ペンっていったい何だろうという気がしてきます。

キャップレスは金ペンですが、筆記感は結構シャープです。しかし、カクノやサファリ、プレラとはちょっと違って、シャープの先に腰の柔らかさのようなものを感じます。だから、長時間使っていても疲れにくいです。このあたりの特性が金に起因するものであるならば、金にもそれなりの理由があるのかもしれないです。

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