夕学五十講

今日、仕事が終わってから夕学五十講を聞いてきた。夕学五十講といっても、サテライト版で広島は中継だ。
講師は今世界で最も有名な研究者の一人山中伸弥だ。氏はiPS細胞を生成する技術を開発し、注目されている。
一刻を争う競争の最中の現在、山中先生のこのような教養講座をリアルタイムで聞けるのは奇跡に近いともいえる。実際、このような申し入れは99.9%断っているらしい。
iPS細胞のお話を山中先生から直接教わっているという貴重な体験にちょっと興奮気味だった。中継はほんとによくできており、途中からは中継であることすらあまり意識していなかった。
iPS細胞って無限に増える性質を持っているらしい。素人ながらガン細胞にそっくりだなと思っていたら、本人もそれを危惧しているという。iPS細胞を移植した人がガンになってしまう夢を見るくらい本人も恐れているらしいのだ。安全性だけでいえばES細胞の方が安全であるが、ES細胞は受精卵からしか作れないので、常に免疫抑制剤の投与が必要になる欠点があるらしい。
iPS細胞の話を聞いて思ったのは、ものすごいことがホントにできるもんなんだなぁと感心すると同時に、そんなにうまい話があるわけがないという漠然とした不安のような疑問を持った。
また、こういう忙しい分野の第一線の研究者というのは大変だなぁということだ。金や名声だけではない何か強い信念がないとできないだろうと思った。
印象的だったのは、iPS細胞の是非を問われたときの答えだ。「iPS細胞を治療に使うことはもしかしたら人間を破滅に向かわせることになるかもしれない。でも、目の前に治療すれば生きることができる人がいるならば、その人を助けたいと思うのが医者として当然のことである。正直、iPS細胞の是非は非常に難しい問題だ。」

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