最近、3つのゲルボールペンを手に入れました。
上の写真の上から
- uni ユニボールワンF 2021年9月21日発売 330円
- ぺんてる エナージェルブラックカラーズコレクション(限定) 2021年10月13日発売 330円
- サクラクレパス ボールサインiDプラス 2021年10月20日頃発売 350円
それぞれの特徴をまとめてみます。
ユニボールワンF
ユニボールワンFは既存のユニボールワンのリフィルを使っていますが、軸は全くの新作です。内部からペン先に向かって金属部品を配置しています。スタビライザー機構と呼ばれているだけあって、重量バランスが安定しています。また、口金の精度がよくペン先のガタつきもよく抑えられています。リフィルとペン内部の隙間も最小限に抑えられていて、これがペン先のがたつきを抑える効果が多少はあるのかもしれません。個人的にはもう少し革新的なガタつき対策ができるのではないかと思っています。
インクは程よい出方です。
軸にはラバーグリップがなく、表面仕上げがサラサラしているので若干ペンが滑りやすいと感じることがあるかもしれません。この点に関しては、少し使い込んでみることをお勧めします。手が慣れてくるのと、少しずつ樹脂の細かい突起が摩耗してくるのか、手への馴染みが増してくる感じがします。ルーペで観察する限り、顕著に摩耗している様子は観察できませんが。
エナージェルブラックカラーズコレクション
エナージェルブラックカラーズコレクションはクリップの塗装が異なるなど、若干違う点もありますが、形状的には従来のエナージェルとボディの設計とほぼ同じです。インクラインナップが黒だけで6色あるのが特徴です。エナージェルはリフィルの出来がよく、ゲルインクボールペンの中ではダントツで書きやすいです。ただ、インクフローがいいので若干線が太めになる傾向があります。
エナージェルのボディは少しデザインがやぼったいと感じていたのですが、全体が黒くなることで全く違うものに見えます。
口金がプラスチックなので低重心で安定しているということはないです。個人的には口金が金属であることが必ずしもいいことだとは思っていません。確かに、程よい重量があり低重心のペンは書きやすいです。ただし、ノック式の宿命で、特別な機構を設けない限り、口金とペン先の間には必ず隙間ができます。口金が金属だと少しのガタつきがカチャカチャ音に繋がります。口金が樹脂だと当たりが柔らかくなるため、カチャカチャする感じは抑えられます。エナージェルは口金の精度もいいので、ほとんどカチャカチャ音はしません。
ボールサインiDプラス
ボールサインiDプラスは既存のボールサインiDの口金を金属にしたようなペンです。従来品を持っていないので比較ができないのですが、軸の仕上げが滑りにくいマットな感じに仕上げてあります。
口金が金属なので、程よい重量感と低重心になっています。口金の精度はユニボールワンFに比べると低いです。そのためガタ付きを感じる場合があります。軸形状が円弧と直線を組み合わせたような形になっていて、握り方を意識すれば安定して持つことができます。ただし、これが私にとってはうれしくありません。ペン先のガタつきはノック式ボールペンの宿命です。しかしながら、大抵の場合、下の図のようにリフィルが口金の先のどこかに当たっています。当たっている側を上になるようにペンを持つとガタつきは感じにくくなります。ガタつきを感じた時にはちょっとペンを持つ位置を変えてあげればいいわけです。
しかしながら、ボールサインiDプラスのようにペンの持ち方を指定されるようなデザインだと微妙にペンを回転させることができず、結果的にガタつきの解消ができなくなります。
インクは若干ドライな感じですが、かすれたりはしません。程よいインクフローのため、線は割と細くかけます。精密な線を引くにはいい感じがします。
ボールサインiDプラスの最も優れているのはインクの耐水性だと思います。ユニボールワンやエナージェルのインクは水を垂らすと少しインクが浮くような感じがあります。筆記線は残るので実用上問題になることはあまりないと思います。一方、ボールサインiDプラスの場合、水を垂らしてもインクが一切流れません。まるで紙に定着しているかのようです。耐水性が必要な場合に選ぶのはボールサインiDプラス一択です。
総評
それぞれのペンにそれぞれの特徴があるので、甲乙つけ難いのですが、あえてランキングをつけるなら以下の通りです。
- uni ユニボールワンF
- ぺんてる エナージェルブラックカラーズコレクション(限定)
- サクラクレパス ボールサインiDプラス
最初の順番がすでに評価順になっていました。
ユニボールワンFは手にした時の感じが明らかにワンランク上です。あるいはそれ以上かもしれません。
エナージェルブラックカラーズコレクションは既存製品の色違いです。クリップの塗装に拘っているとはいえ、そこに100円アップの価値を感じる人がどれほどいるか。限定品でなく、価格据え置きならよかったと思います。
ボールサインiDプラスは3本の中でいちばん価格が上です。口金の精度は決して悪いわけではありませんが、口金がいちばんのポイントなので、もう少しだけ精度を追求して欲しいでした。
ペン先のガタ付きについて
ペン先のガタ付きはノック式の宿命です。これを最小限に抑えるにはリフィルと口金をテーパーで接触させるのがいちばんです。キャップ式のシグノがちょうどそんな形状になっています。
ただ、少し考えてみればわかるのですが、ノック式のボールペンは回転子という部品を使ってリフィルの抜き差しを可能にしています。その機構はここでは説明しませんが、ここでみるべきなのはその動作の様子です。
手許にノック式のボールペンがあったらペン先を見ながら何度かノックしてみてください。ペン先を出すとき、一度、出過ぎた位置から少し戻るような感じでペン先が固定される様子がわかると思います。こういう動作でペン先を固定するわけですから、リフィルと口金を接触したまま保持することは不可能です。回転子が動作するスペースがなくなるからです。
回転子は動作するけれど、ユニット全体をバネで押し付けるような感じでリフィルと口金を接触させることができれば良いわけです。
もしくは、ガタつき防止用ではないようですが、アクロ500のこの構造は有効なのではないかと思います。
この受け子を2〜3枚の板バネのようなもので受けるようにすればガタ付きはほとんどなくなるような気がします。
アクロ500は口金精度がいいせいもあるんだと思いますが、ノック式にもかかわらずほぼガタつきがありません。アクロ300含め、ノック式ボールペンの口金精度の良さはこのふたつがダントツにいいと思います。あと、スタロジーの油性ボールペンのガタ付きのなさも相当優秀です。