rotring Rapid Pro 0.5 mm(一般筆記にはrotring 600よりもバランスがいい)

どうしても気になってrotringのラピッドプロを入手してきました。芯径は0.5ミリです。最近は0.5ミリのシャープペンシルにHBという基本的な組み合わせが実は結構バランスがいいのではないかと考えています。

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ラピッドプロはロットリングの中でも一般筆記用に位置付けられており、製図用のシャープペンシルとは異なる点がいくつかあります。最もわかりやすいのはスリーブが3.5ミリしかないこと。製図用シャープペンシルのスリーブは一般的には4ミリですが、ラピッドプロは0.5ミリ短いです。とはいえ、ペン先は二段に絞り込まれているため、紙面の見通しはいいです。

この金属スリーブは筆記しないときには収納が可能ですので持ち運び時に危なくありませんし、落としても折れることがありません(当然、未収納状態で落としたら壊れる可能性があります)。持ち運ぶことを前提に設計がされているわけです。あたりまえですが金属スリーブのガタはあります。ただし、金属同士のすり合わせですから、設計上はかなり切り詰められています。ガタがあるといっても、手で動かせば動くという意味であり、カチャカチャとあからさまにスリーブが動くのを感じる人はまずいないでしょう。当然、音はしません。

力を入れると芯が引っ込む機能が実装されています。プラチナのプレスマンと全く同じ機能です。計りを使って芯が引っ込むときの重量を計測してみたところ、プレスマンは約500グラムで、ラピッドプロは320グラムでした。プレスマンの芯が動くストロークは0.5ミリほどです。320グラムとプレスマンよりも芯は動きやすいですが、通常筆記時にむやみやたらと芯が動くことはありません。製図の時に渾身の力を込めて筆記する人はいないでしょうが、通常筆記の場合、そういうモードは十分にあり得ます。デルガードやオレンズのような最新の方式ではありませんが、芯の折れにくさにはある程度貢献すると思います。

デザイン自体はrotring600とよく似ていて、フルメタルボディにローレット加工のグリップ、ボディは六角形です。ラピッドプロはボディの六角形の角が緩く、全体的に丸みを帯びています。これも長時間筆記を意識しているものと思われます。

ラピッドプロには芯の硬度表示窓がありません。これも一般筆記用だからでしょう。

似て非なるのはローレットのパターンです。下の写真を見てください。10倍のルーペ越しにスマホで撮影しています。適当に拡大縮小しているので、何倍という表現はできませんが、ピントが合っている部分の倍率は一定なので、上下の写真のスケールはほぼ同一とみてよいでしょう。

↓600のローレットパターン

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↓rapid PROのローレットパターン

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600もrapid PROも目の細かい優れたローレットなのですが、rapid PROの方が当たりが若干やさしい感じがします。

重量は実測で24グラム。rotring600の22グラムと比較すると2グラムほど重いです。それほど大きな違いは感じませんが、手にすると重いとわかるレベルではあります。24グラムというのはシャープペンシルで言えば結構重量級になります。人によるでしょうが、この程度の重量は筆記に悪影響を与えるとは思いません。

重心位置は筆記時のペン先(芯の先)から約75ミリ。個人的に重量バランスに優れていると思うS3やスマッシュは約70ミリなので5ミリほど重心は高いです。ちなみにグラフギアは約80ミリです。重心に関しては下のブログも参照してみてください。

 

digistill.hatenablog.com

 

下にいくつかのシャープペンシルとの比較を示します。

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rotring600との違いをまだ書ききれていないので、まずはそこから行きましょう。

上の写真を見れば明らかなように、ラピッドプロは600と比較するとかなりペン自体が大型です。グリップ部分も長く、太いです。もっとも外観や使い勝手で違うなぁと思うのが、クリップの位置です。通常筆記する場合、このクリップの位置はすごく重要です。手持ちのシャープペンシルの中で優秀と思う物をいくつか並べてみましょう。

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数値で示します。ペン先からクリップの先端までの長さを計測してみます。ペン先はあくまでも芯が出た状態の芯の先ですので1、2ミリ程度の誤差はあります。

  1. オレンズネロ 105 mm
  2. グラフ1000 104 mm
  3. ラピッドプロ 102 mm
  4. S3 98 mm
  5. SMASH 93 mm

こう並べるとSMASHの93ミリはかすんで見えますが上位のペンが優秀すぎるだけです。ちなみにドクターグリップ(フルブラック)は82 mmです。個人的には100ミリ前後ならかなり優秀な部類に入ると思います。ラピッドプロは当たり前のように100ミリ越えですから、ちゃんと考えて設計されていることがわかります。この数値だと私の手の大きさだとペンを回してもクリップが手に当たることはほとんどなくなります。あたってもごくわずかであり、気になるようなレベルではありません。

重量と価格さえ気にならなければ、かなりいい一般筆記用のシャープペンシルだと思います。rotring600はお絵描き用、ラピッドプロは一般筆記用ということで使い分けができると思います。わたしとしてはグラフギア1000は一般筆記に使える製図用シャープペンシルという位置づけでしたが、立ち位置は完全にかぶっていると思います。どちらも優劣付けがたいので気分によって使うことになるでしょう。LAMYのサファリとはあまりにも性質が違うので単純比較はできません。サファリのいいところは軽くて壊れにくい点でしょう。ラピッドプロは壊れにくい工夫はされているもののやはりヘビーで精密なシャープペンシルという気がします。ポケットにラフに差し込んで使おうという気にはなりません。

若干気になるのは、筆記時にエンドキャップと軸の内部が振動でビビり音が出ることがあること。これは例のUV樹脂処理でなんとかなる可能性がありますが、とりあえずはスコッチテープをグルっと一周巻きました。

 

ロットリング ラピッドプロ シャープペンシル ブラック 0.5mm S0949350

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ロットリング メカニカルペンシル 500 0.5mm ブラック 1904725 正規輸入品

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クラフトデザインテクノロジー 定規(15センチメートル)

プラスチック製の定規が手もとに見当たらなくなっていたので、蔦屋書店で買ってきました。クラフトデザインテクノロジーというデザインメーカーの製品です。製造元はサンスター文具のようです。

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蔦屋に行くとこのメーカーの製品があるのですが、どこかで見たことのある製品がリメイクされたりしているのですが、デザインがシンプルでモダンな感じにアレンジされていてなかなかいいです。

この定規はメモリの打ち方がちょっと変わっていますが、もの自体はよくあるなんの変哲もないアクリル樹脂製の15センチ定規です。樹脂自体は結構厚くしっかりしています。長さを測るとき、視差による誤差が少なくなるように文字の印刷は背面に施されています。写真に示しているように、右からでも左からでも計測できるように文字を添えてあるのはちょっとした工夫だと思いました。厚みがあるので机の上にベタ置きしても取りにくいと感じることはありません。

見た目はシンプルですが、考えておくべきことはそれなりに考えたうえで作られていると思います。

www.craftdesigntechnology.co.jp

 

クラフトデザインテクロノジー アクリル定規 15cm SUPH1-002BK

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Pelikan M400の穏やかなる凄味

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はじめて手にしたM400は手放しで書きごちがいいというペンではありませんでした。書き心地という前に、ペン先が食い違っていましたから。しかし、その奥底には金ペンの懐の深さのようなものを感じることができるものでした。しばらく書くうちに、書き心地はかなり改善されたものの、どこかしっくりこない部分が残っていました。

だからこそ、今日のペンクリニックで見てもらおうと思ったんでしょうね。

夜、M400の試筆を続けてみました。

いいペンを手にすると、自然と筆圧が抜けます。軽く握り、ふわりとペン先を紙に触れさせ、移動させると、まるで飛行機雲が空を二つに分けるように明確な線がそこに現れます。ペン先から出てくるインクを紙の上に置いていくようでもあります。紙の凹凸がペン先から穏やかに伝わってきて、はじめて文字を書いているんだなと知覚します。ぷっくりと丸いペンポイントが生き生きとし始めます。

あぁ、これがM400というものなのか。

ペンクリニックに行ってきました

先週の土曜日の発熱はB型インフルエンザでした。症状がインフルエンザっぽくなかったので、病院に行くのが遅れ、熱が少し長引いてしまいました。水曜日には熱が下がり、丸二日発熱が見られなかったので、今日は大阪に出張です。

タイミングよくなんばCITYのペレペンナさんで仲谷さんのペンクリニックをやっているのを発見し、仕事の合間にペンを見てもらってきました。

ペレペンナ PellePenna

どのペンを見てもらおうか迷ったのですが、無料で見てもらえるのは2本までなので、次の2本にしました。

1本目はセーラーのプロフィット21長原改。BからF~FM相当に削ってもらったものですが、直後から少しざらつく感じがあり、これが特徴かなと思っていたのですが、少しずつザラツキがひどくなる感じがあったので、最近、使用を中止してインクを抜いていました。2本目は特になかったのですが、ペリカンのM400のコンディションを見てもらうことにしました。

実は仲谷さんには広島のペンクリニックの時に会っがことがあります。詳しいことは言わずにペンを渡したのですが、ルーペでペン先を見ると同時に「これはペン先が開きすぎてますね」と言われました。わたしもルーペで観察していたので、そのことはわかっていましたが。「これだとね、右と左のペン先がバラバラに動くでしょ、そして、この部分が当たることがあるからザラツキを感じることがあるんですよ」と、図解しながらどういう症状かを教えてくれました。時々ルーペで観察しながら、ペン先の寄せをしてくれたのですが「あれっ、これは長原ジュニアのものだね?」と言われました。「そうです、広島でやってもらったんですよ、その時、仲谷さんには一度お会いしています」「長原さんの調整にちゃんと合わせておいたから」そういいながら、さらに少し調整し、ラッピングペーパーのようなもので当たりを取ったりしてくれました。

「書いてみてください」、そういいながらペンをわたしに渡してくれました。書いてみると、流石のひとこと。というより、ここまでよくなるものかと感心するほどの書き心地になりました。ザラツキや引っかかりは皆無になりました。ただ、単純にツルツル滑るとかそういう感じではなく、適度な摩擦感もあります。

手持ちの万年筆だと、キャップレスのFやTWSBIのFと同じくらいの筆記幅でしょうか。下の写真の三文堂というのがTWSBIのことです。

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書き比べてみて、TWSBIのポテンシャルの高さを改めて感じる結果となりました。ペン先の滑らかさや安定感という点だけで言えばむしろ金ペンを凌駕しています。DIAMOND580はニブも大型なので鉄ペンとはいえ柔らかさも感じられます。しかし、金ペンと比べるとやはりそれは鉄のそれです。それがいいか悪いかは基準を決めないと言えませんが、鉄と金では書き心地が違うのは確かです。金には独特のしなりとなめらかさのようなものがあります。いうなれば鉄はピシっとシャープ、金は奥深さといった感じでしょうか。

2本目はM400。

「こちらは特に問題は感じていないんですが、コンディションを見てもらえませんか。あえて言えば、線を縦に引くときや、時々引っかかりのようなものを感じることがあるんです」

「それでは、そこに縦書きで名前を書いてみてください」

差し出されたロディアにわたしが名前を書くと「わかりました。外国製の万年筆は基本的に押し付けて連続した線を書くことが前提になっています。日本語は付けては上げての繰り返しですし、撥ねたり、掃ったりとアルファベットの筆記にはないモードがたくさんあるんですね。あと、個人個人の筆記角があります。このペンは基本的には全く問題ありませんが、少しだけあなたに合わせて角を少し取っておきますね。書けば角はもっとスムーズになりますから、書くほど書きやすく変化してくると思いますよ」

そんな感じで作業時間はものの1,2分でした。

「書いてみてください」

「ほほぅ、いいですね」

「その程度の試しでいいですか?」

「はい、いいです」

時間があまりなかったからというのもありますが、気になるザラツキが全くといっていいほど消えていました。まさにシルキータッチ。もともとM400は最近になってだいぶ書き味がいい方向に変化しつつあったのですが、一気に頂点に近い位置まで上り詰めた感じになりました。万年筆ってここまでの感じになるんだという驚きに近いものを感じるほどです。これで使い込んだらもっと書き心地が良くなると思ったら、大切にしなきゃなって気持ちになります。

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ちなみに、9月には広島の福屋でペンクリニックするそうです。

rotring600

風邪をひいてしまいました。39℃くらいまで熱が上がりましたが、今は平熱と微熱を繰り返しています。明日から7日間、4か所くらい連続出張するので今日中に体調を整えたいところです。

体調がいいときを見計らって、rotring600を使ってみました。一般筆記よりも絵を描いたりするのに使いやすいです。絵心はないですが、図面の素案のようなものはよく描きます。rotring600を描いてみました。計測しながら描いてないので、バランスは直感です。

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グリップの下の部分って丸くなってるように思ってたんですが、小さな直線で構成されていることに気が付きました。

rotringの製図シリーズには800, 600, 500, 300があります、これに一般筆記用のtikky, rapid, rapid proがあります。先端がスタイラスになっている800+という製品もあります。800はフルメタルボディで回転によりペン先を収納することができます。600はフルメタルボディですが、ペン先は収納できません。500は一部樹脂でできており、300は樹脂製です。

600の口金部分は750円程で単体で入手できるようです。

 

ロットリング メカニカルペンシル 600 0.5mm ブラック 1904443 正規輸入品

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