クルトガダイブは芯の露出量が自動で調整されますが、書くたびに芯が繰り出されているわけではありません。クルトガダイブでは1画ごとにパイプを短くすることで芯の露出量が調整されます(メカニズム的にはエラーが起きなければ2画ですが)。
下の写真のように、芯の繰出量を調整調整するためのメモリがついています。それでは少し量的な関係を見てみましょう。
メモリの位置をMIN、MID、MAXにしたときのガイドパイプの繰り出し量を計測したところ、それぞれ3.5, 4, 5 mmでした。
また、書く時の挙動を観察すると、クルトガダイブは一定の割合でパイプを短くし、3 mmになるとワンサイクルつまり440画筆記するまでパイプの動きは止まります。
パイプが短くなる速度を変化させる意味はないので、一定だと仮定します。先ほど調べた関係を一次式にしようとしても、うまく合いません。MAXの時に5 mmだというのが正しいとして、切片3、傾き2/5の一次式だと推測します。すると、各調整メモリの位置とパイプが飛び出す長さの関係は以下のようになります。
下の表の2列目は1行目がパイプが一番短くなった時の数値で、2行目以降はワンサイクルが終わった時に飛び出すパイプの長さです。表としてはあまり適切な書き方じゃないかもしれませんが、そういうことだと思ってもらえるとありがたいです。
調整メモリ位置 |
パイプ長さ(mm) |
|
3 |
1(MIN) |
3.4 |
2 |
3.8 |
3(MID) |
4.2 |
4 |
4.6 |
5(MAX) |
5 |
つまり、MINのときは3.5 mmではなく、3.4 mm、MIDの時は4 mmではなく4.2 mmだったと考えれば、計測結果ともよく一致していることが理解できます。
このことより、クルトガダイブの一番下にあるパイプ繰り出し用のギアの段差は2 mmであると推測されます。
これは何を意味しているかというと、例えばMINの時は440画で芯を0.4 mm消費すると想定しているわけです。上の表にそれぞれの想定芯消費量を書き込みましょう。また、それぞれを440で割って一画あたりの芯の消費量という形でも表現しておきます。
調整メモリ位置 |
パイプ長さ(mm) |
1サイクルの想定芯消費量(mm) |
1画あたりの想定芯消費量(μm) |
|
3 |
|
|
1(MIN) |
3.4 |
0.4 |
0.9 |
2 |
3.8 |
0.8 |
1.8 |
3(MID) |
4.2 |
1.2 |
2.7 |
4 |
4.6 |
1.6 |
3.6 |
5(MAX) |
5 |
2 |
4.5 |
もちろん、芯は軸方向に均一に減るわけではないので、芯の消費量はあくまでも軸方向に平均的な値として減ったらということを前提にしています。
シャープペンシルの芯が一画でどのくらい減るとか考えたこともありませんでしたが(正確にいうと、考えたことはありましたが、あまりにも検証が面倒くさそうでやろうという気にはなりませんでした)、今回の観察で平均的な消費量は一画あたりおおよそ0.9 ~ 4.5 μm(0.5 mm芯、クルトガ機構下において)であるという発見がありました。
一般的な芯の長さは60 mmです。また、残芯の量を15 mmと仮定すると、使える芯の量は45 mm。このことから芯1本あたり10000 〜 50000画筆記することが可能です。
私の場合、4とか5じゃないと芯の露出量がなくなることがあったので、10000画程度かなと思います。この場合、クルトガダイブの自動芯繰り出しは23サイクルほど発生することになります。