北星鉛筆 鉛筆屋のシャープペン W07、ボールペンW

北星鉛筆の鉛筆屋のシャープペン W07、ボールペンWをようやく手に入れました。

型番はそれぞれW07-600AZ、W-600DGです。600は価格で最後のふた文字は色の名前だと思います。ちなみに、色は小豆と濃緑です。

色はボールペンWが木目、灰、小豆、濃緑の4色展開、シャープペン W07が木目、薄灰、小豆、濃緑の4色展開となっています。どの色も甲乙つけ難く、どれもいい色でした。

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大人の鉛筆の北星鉛筆が販売するシャープペンシルとボールペンです。

手にするとほのかにインセンスシダー材の香りがして、鉛筆らしさを感じます。手に持った感じは大人の鉛筆そのもので、木の温もりを感じることができます。

小豆色と濃緑の塗装はユニやトンボの8900っぽいですが、艶消しで落ち着いた色合いになっています。

木材の両端が面取りされていて、木材が露出しているのも鉛筆っぽくておもしろいデザインだと思います。実用的には角が手に当たるのを防ぐ意味もあると思います。

シャープペンW07は芯径が0.7 mmで、デフォルトの芯はパイロットのネオックスグラファイトのHRF7G-20です。ボールペンWにはパイロットのBSRF-6M-Bで1.0 mm(アクロインキ)のリフィルが使われています。

しっかりしたパッケージで販売されていますが、包装材は全て紙でできています。

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重量はシャープペン W07が8.4グラム、ボールペンWが8.0グラムでした。軸の素材は鉛筆と同じインセンスシダーが使われているため、多少、バラツキがある可能性があります。

軸の太さは大人の鉛筆と同じ8 mmです。一般的な鉛筆は7 mmですが、1 mm大きいことで持ちやすさが向上しています。個人的には鉛筆も8 mmにして欲しいくらいです。

ペンの長さはどちらも約14 cmです。スマッシュと比較するとこんな感じ。

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大人の鉛筆との比較。

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割と小ぶりな感じです。

重心位置は以下の通り。

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低重心ではないですがペン自体が軽量なのと、両端の重量が重く作られているため独特な安定感があります。

少し細部を観察してみましょう。

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クリップはすごくきれいに成型されています。つかむ力も強すぎず弱すぎず適正で、紙一枚でもしっかりと固定可能です。

形状的にスタロジーのボールペンと同じクリップだと思います。

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シャープペンシルの口金はパイプ部分が口金と一体になっていて強度が高そうです。口金に相当する部分の長さは約1.3 mmです。

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また、パイプ部分の太さは約1.4 mmでした。グラフ1000フォープロ0.7のガイドパイプの太さは1から1.1 mm程度です。

材料の厚さを計算してみます。

JISで規定されている0.7芯の太さは069 ~ 0.73 mmとされています。ここでは簡単のために0.7 mmとします。また、パイプの内径は芯の太さより大きめに設定されてるはずですし、加工のことを考えるとプラス公差になっているはずですが、ここでも単純に内径0.7 mmと考えます。グラフ1000フォープロのパイプの外径は1 mmとします。

そうすると、シャープペン W07の材料の厚みは0.35 mm、グラフ1000フォープロは0.15 mmと計算できます。パイプ部分の材料の厚みは倍以上あることになります。口金と一体になっていること、パイプ自体が短いことを考えるとかなりの強度が期待できます。机から落とした場合の壊れにくさを考えるとかなり合理的な設計となっています。

ノックボタンは通常のシャープペンシルと同様に外して芯を入れることができますが、ノックボタンには穴が開けてあり、ここから直接芯を入れることが可能です。

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入口側には面取りがされていますが、逆側は0.7 mm芯がギリギリ貫通する程度の穴になっているので芯が飛び出してこないようになっています。このパーツだけでも相当細かい金属加工がなされていて驚きです。こういう構造なので消しゴムは実装されていません。

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口金が外れない仕様になっているのでチャックの材質はよくわかりませんが、ノック感がかなりしっかりしているので、おそらく金属チャックを使っていると思います。

20ノックで12 mmの芯が出てきたのでワンノックあたりの芯の繰出量は0.6 mmです。ぺんてるのシャープペンシルは0.5 mmのシャープペンシルのワンノックあたりの繰出量が0.5 mmに設計されています。0.7のグラフ1000フォープロの繰出量を調べてみると0.6 mmでした。ちなみに、0.3では0.25 mm、0.4では0.3 mm、0.9では0.7 mmでした。

まとめておきましょう。

0.3・・・0.25 mm

0.4・・・0.3 mm

0.5・・・0.5 mm

0.7・・・0.6 mm

0.9・・・0.7 mm

これは経験則で決められてものだと思いますが、おおよそ2回ノックした時にバランス良く筆記できるように設計されいるようです。つまり、2回ノックして筆記し始め、1回ノック分くらい、つまり、半分くらい芯が減った時にワンノックすると初期状態に近くなるというわけです。芯が太いほど繰出量が多いのは芯が折れにくいからだと思います。

私はこのぺんてるの繰出量はバランス良く設計された指標だと感じています。時々、1ノックあたりの繰出量がかなり多いシャープペンシルがあったりしますがそういうのは基本を押さえていない感じられて使う気がしなくなります。

先ほども書きましたが、シャープペン W07はワンノックあたりの繰出量が約0.6 mmになっていて、ちょうどバランス良く設計されていると思います。

クリップは脱着できるようになっています。下の写真をよく見ると、クリップは金属部品に金属の弾性を利用して固定されています。説明書にも書いてありますが、かなりガッチリ固定されているので、プライヤーのようなものを使う必要があると思います。試しに指で引っ張ってみましたがびくともしませんでした。

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ボールペンWのクリップとノックボタン。

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ボールペンWの口金。

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ボールペンの口金精度も素晴らしくガタつきはかなり最小限に抑えられていて、ほとんど感じないほどです。少しグリスを塗布してあげれば皆無レベルになります。

クリップから推測するに口金もスタロジーのボールペンと同じ工場で作っている可能性があります。スタロジーのボールペンの口金精度も相当高いのでそれと同等レベルに仕上がっています。

ただし、口金の設計は若干違っています。

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スタロジーは口金がオスネジでボールペンWはメスネジになっています。

シャープペンW07は筆記時にノック部品が金属スリーブと干渉する音が若干気になりました。その場合は、ノック部品の側面に薄くグリスを塗るといいです。気になる音はほとんどしなくなります。個人的にシャープペンW07にクリップは必要ないと感じるので、そのうち外すと思います。

ボールペンWも完成度が高いです。部品のひとつひとつを見ても設計に妥協がありません。ノック式ボールペンの中ではスタロジーのボールペンが頭ひとつ抜けていると感じていましたが、それと匹敵する完成度です。六角軸でこの性能が手に入るのはかなり貴重です。私の今後のメイン筆記具になるのは間違いないです。このような素晴らしい筆記具を手にすると、ワクワクします。

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