タイムテーブルを作るときをイメージしてください。
セッションAが13:15分から90分その後5分休憩を挟んでセッションB。それぞれの時間を表示すると?
13:15から90分だから14:15分に30分足して・・・えっと、14:45分。キリのいい数字なら誰でも計算できます。ただこれが、中途半端な数字だったりしたら、ちょっと難しくなるんじゃないでしょうか。
そんなとき、電卓の時間計算機能が役立つわけです。
例題として、「13時15分に90分を足すと何時何分になるか」を計算してみましょう。
時間計算は一般電卓でも計算できる機種があります。下の写真はSL-310Aの画面ですが、13:15に90分を足した結果です。
キーストロークは以下の通り。
- [13]--[時間計算]--[15]--[+]--[0]--[時間計算]--[90]--[=](11ストローク)
[13]などの数字はそれぞれ2ストロークと数えると、合計11ストロークです。
次に、EL-501Jでやってみましょう。
その前に、60進法について少し復習します。
我々が普通使っている数字は10毎に桁が繰り上がる10進法ですが、60毎に桁が繰り上がる60進法というものがあります。
なじみがあるのは時間ですね。1秒から始まり60秒になると桁が繰り上がり1分と呼び、60分を1時間と呼ぶ決まりです。
一般にはあまりなじみがありませんが、角度も60進法で表現する場合があるようです。この場合も時間と同じで1度の1/60を分と呼び、そのさらに1/60を秒と表現します。
60進法の表現にこのようなものがあります。(記号に関しては色々流儀があるようですが)
1°15′30″
これが時間なら1時間15分30秒と読みますし、角度なら1度15分30秒と読みます。
EL-501Jを使って時間計算をする場合には60進法と10進法を相互に換算する機能を使います。そのために使うのが[→DEG]キーです。
「12°39'18"05(60進数)」を10進数に変換するためのキーストロークは以下の通り。
- [12.391805]--[→DEG]
- 結果「12.65501389」
これを時間的に読み替えると、12時間39分18.05秒は12.65501389時間みたいな感じになります。角度の場合は12度39分18.05秒は12.65501389度となります。
この機能を流用することで時間計算を達成することができるわけです。
それでは例題の「13時15分に90分を足すと何時何分になるか」をやってみましょう。
- [13.15]--[→DEG]--[+]--[0.9]--[→DEG]--[=]--[2ndF]--[[→DEG](→D.MS)](14ストローク)
まず、上のキーストロークの赤い字まで打ち込んだ結果を示します。
[13.15]--[→DEG] はこうなります。13°15' → 13.25。
[0.9]--[→DEG]はこうなります。0°9' → 1.5。この場合、本当は[0.90]--[→DEG]と打つべきなんですが9の後の0を省いても90だと解釈します。これは左から桁を見てると考えればわかりやすいです。9分を入力したい場合には[0.09]と打つことになるので、90分との区別はできます。
さてここで[=]を押すと[+]演算が実行され13.25+1.5の結果14.75が返されます。これをあえて読むと14.75時となりますね。これを再び60進数に直しているのが[2ndF]--[[→DEG](→D.MS)]の部分になります。
これを実行するとこうなります。
これを14時45分と読み替えて、時間計算が完了したことになります。
これは分かってないと何のことやらって感じですね。ただ、これは標準入力方式の関数電卓のスタンダードなやり方だと思います。
一般電卓よりもキーストロークも多いですし、60進数と10進数をちゃんと意識していないと意味不明です。また、表示されているのが60進数なのか10進数なのかがわかりませんので、見間違う可能性もあります。
それではfx-JP900での計算を見てみましょう。fx-JP900には60進数を入力するための専用キー[°'"]キーが存在します。
よって以下のようなキーストロークで下の写真のような結果が得られます。
- [13]--[°'"]--[+]--[0]--[°'"]--[90]--[°'"]--[=]
これは10進数の表現形式なので、この状態から
- [°'"](11ストローク)
と入力すると、以下のような結果が得られます。
これは素晴らしいですね。10進数と60進数の違いが明確に表示されています。入力方法も直感的です。
実は、シャープのEL-520Tは時間入力がもっと楽です。
EL-520Tにも60進数を入力するための専用キー[D°M'S]キーが存在します。
下の写真を見て、fx-JP900との違いがわかりますか?
13と90の後に60進数を示すキーがありません。fx-JP900はこの記号を省略するとエラーになりますが、EL-520Tでは省略可能です。よって、キーストロークは以下のようになります。
- [13]--[+]--[0]--[D°M'S]--[90]--[=]
格段にキーストロークが少なくて済みます。
ここから60進数にするためには以下のように打ち込みます。
- [2ndF]--[D°M'S(←→DEG)](10ストローク)
fx-JP900のように専用キーがないのでセカンドファンクションを呼び出す必要があります。
結果は以下の通り。
最後にfx-991MSの例を示します。
カシオの関数電卓なので基本的にはfx-JP900と同じで、キーストロークも同じです。しかし、興味深いのはfx-JP900では10進数の表示を介せずにいきなり下のように60進数の結果が得られますので、キーストロークは10で済みます。
時間計算はEL-520Tが若干有利といったところでしょうか。他の性能を考えなければfx-991MSも善戦しています。
EL-501Jは使い方に若干習熟が必要なので時間計算にあえて選ぶ機種ではありませんが、こういうこともできると知っていて損はありません。使い方さえわかっていれば、実用的には最新の機種と大差はないでしょう。