カシオ 関数電卓 fx-JP900CW

カシオの新型関数電卓が発売され、8年ぶりにラインナップが一新されました。

私はフラッグシップモデルのfx-JP900CWを購入しました。

パッケージは紙製です。あと、関数電卓といえば分厚い取説が特徴的ですが、簡易的なマニュアルがあるだけです。取説は基本的にはスマホで参照することを前提にしていると思います。セッティングメニューを表示するとQRコードが表示されるので、スマホがあればいつでも取説を参照できます。

丸いキーが印象的で、従来モデルよりもすっきりしたイメージになりました。

重量は旧型のfx-JP900が131.44グラム、fx-JP900CWが122.41グラム、9グラム軽量化されています。

キーが丸いとどことなくブラウンの電卓っぽさが出てきます。

キーはどの方向から押しても軽くスムーズに動作します。適度な打鍵感もあり、すごく打ちやすくなりました。

キーの表示が少し歪んでいるキーがあったので、試しに回してみたら、結構簡単に回りました。

自分好みの角度に調整できるのはいいですが、使っているうちにぐるぐる回るかなぁ・・と思ったりしました。抵抗感はありますが、決して力が必要なわけではない程度の固定力です。

液晶の解像度やコントラストは前モデルと大差ない気もしますが、白黒のツートーンではなくて4段階のモノクロ階調で表示されるので、表現力が高くなりました。また、フォントも視認性が良くなりました。

上の写真は左がfx-JP900CWですが、sin(π)の表示が薄くなっているのがわかるでしょうか。入力中の関数が濃く表示されるのは使い勝手がいいです。

カバーはスライド式ではなく、使用状態で気になるガタつきはありません。

個人的には開閉式のカバーが好きなんですが、可動部分が多いと壊れやすくなる上にコストやサポートの手間がかかるので、メーカーとしては悩ましいところでしょう。

実行する計算にもよると思いますが、計算速度は2倍ほど早くなりました。

使い勝手に関しては賛否両論あるかもしれません。

メニュー類が整理されていますし、一つのキーに3つ以上機能が割り振られていないのは、普段使いの利便性を上げるのに役立つと思います。

デメリットとしては、キーに割り振っていた機能がメニューの奥深くに入ってしまったことです。多くの人は困らないと思いますが、特定の機能を多用する人にとっては不便になることもあるかもしれません。

メニューも以前はキーバインド、つまり、1、2、3・・・とキーを押せば割り振られた機能にアクセスできましたが、fx-JP900CWはカーソルで選んでOKボタンを押さないといけません。ある程度は慣れで解決できる部分もあります。例えば、HOMEキーを押すとメニュー選択画面に移ります。表計算モードからHOMEボタンを押すと、表計算モードが選択された状態でメニューが表示されます。その状態からもう一度HOMEキーを押すと、基本計算のところに選択が移動します。つまり、[HOME][HOME][OK]と押せば、どの状態からでも基本計算に移ります。以前のモデルだとMENUを押してからカーソルで移動するか、1を押すことになります。1を押せばキーストロークは少ないですが、MENUキーと1キーが離れているため、むしろ、[HOME][HOME][OK]の方が簡単です。

個人的にはfx-JP900CWの方が合理的な気がします。

例えば、直交座標を極座標に変換する機能を使うとします。旧機種だと[SHIFT] [+(Pol)]で機能を呼び出せます。 fx-JP900CWでは[CATALOG][↓][↓][↓][→][↓][↓][OK]これでやっとPolが呼び出せます。

しかしながら、なんとなくメニュー構造さえ頭に入っていれば、このようにたどり着けます。

一方、旧機種では直交座標を極座標に直すときにはPolという機能を使うということがわかっていないといけません。

さすがにここまでキーストロークが多いとどっちが便利かは分かりませんが、私はこのような機能を使うことはほとんどないので、普段使う機能がすっきりとまとまっている方がいい気がします。

難しいことはパソコンでもできますから、関数電卓に求められているのは、手元で簡単に関数計算ができることと、やろうと思えばある程度高度なこともできてしまうことなのかもしれません。

本当に使い勝手がどうなのかは、しばらく実用してみないとなんとも言えない部分もあります。

印象的だったのは(-)キーがなくなったことです。関数電卓には負の数を入力するための(-)キーがあります。シャープの関数電卓では引き算の-と負号の-は明確に分けられていますが、カシオは従来から(-)の代わりに引き算の-を使っても特に問題ありませんでした。引き算に符号の(-)を使うのはNGです。つまり、引き算の-は以前から上位互換みたいな感じで使えるんです。ですから、こんな変な計算もできてしまいます。

若干残念だったのは、これです。

これ、一項目はx^2のシグマで、二項目はxのシグマの二乗なんです。二項目はxと2の間にカーソルが入れますが一項目は入れません。意味が違うのに表示が一緒なんですね。これは改善して欲しいところです。

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