実験計画法

ある特性に関連する因子がたとえば5個想定されるとき、それぞれの因子を2段階に変化させるような実験を行い、最適な組み合わせを選び出したい。さて、どんな組み合わせで実験すればいいだろうか。すべての組み合わせで実験を行うとすると実験の組み合わせは2の5乗、つまり32通りである。それをたった8回の実験で済ますことができたらなんともステキではないか。
そんなことを実現するのが実験計画法であり、分散分析という統計学的手法だ。もちろん、楽をした分のしわ寄せは誤差に反映されるのだが、楽ができるのだからある程度は多めにみようというわけだ。
一度知ってしまえば、これを知らないで実験を行うことは愚かであるとすら思える便利な手法なのだが(もちろん、実験の内容にもよる)、何とも取っ付きにくい雰囲気が満載なのだ。
恥ずかしながら、かくいう自分もちゃんとは理解できていなかった。
こうなったら基礎の基礎から叩き直さねばならぬと一念発起したのが去年の12月20日。それからちょうどひと月が経過したが、その間に二冊の本を読んだ。
一冊目は「実験計画と分散分析のはなし」(大村 平、日科技連)。語り口調で所々にオヤジギャグ(?)が散りばめられており、最初から最後までわかりやすい。読み物感覚でザザッと読めるので、まずこれを連続で3回くらい繰り返して読んだ。この本はかなりオススメだ。これでわからなければどんな本を読んでもわからないだろうってくらい簡単なのに、実験計画と分散分析のココロはしっかり理解できてしまう。何より先にまずこれを読めと言い切ってもいい。
続いて読んだのが「よくわかる実験計画法」(中村 義作、近代科学社)。これは教科書風の書き方がなされており、「実験計画と分散分析のはなし」の手法とちょっと異なるスタンダードな手法で解説がなされている。ちょっと技巧的だが、「実験計画と分散分析のはなし」をきっちり理解していれば無理なく手法をトレースできるだろう。難しい統計のお話は最小限に抑えられており、ある程度は「そうなるもの」と割り切って話が進んで行くが、正直、初心者にはこういうスタンスでないとよく理解できないと思う。章毎に演習問題が数問ずつあるが、本文をきちんと読んでいれば、全問スムーズに解くことができる。大切なのは電卓を使って丁寧にきっちり解析を自分で進めて行くこと。簡単な関数電卓があった方が計算しやすい。
実際はエクセルや統計解析環境R等を使う方が実際的だと思うが、教科書レベルのトレースを行うときには電卓を用いて、いちいち手を動かしながら計算することをオススメする。一つ一つの計算はチマチマとしていて、場合によっては結構煩雑な計算になったりするのだが、手法をマスターする速度を短縮することができると思う。ゆったりとした気持ちで暇つぶしをする感覚で楽しんでしまうといいと思う。分散分析表がきっちりかけたときには心地よい爽快感を味わうことができる。

実験計画と分散分析のはなし―効率よい計画とデータ解析のコツ

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よくわかる実験計画法

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違いを見ぬく統計学―実験計画と分散分析入門 (ブルーバックス)

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