もう20年以上も前に「菜根譚」という本を買った。なんで買ったのかはよくわからないけど、おそらく書店に平積みでもしていたのかもしれない。その時は、正直、数ページ読んだだけでおもしろいともなんとも思わなかった。
出張帰りに広島駅前のジュンク堂に行くのが楽しみの一つなんだけど、今日も1時間ほどぶらぶらしてきた。そこでたまたま「菜根譚」が平積みしてあった。何気なく手に取り読んでみると、どこを読んでもおもしろい。菜根譚はいろんな出版社から出版されているが、今日手にしたのは講談社学術文庫バージョン。書き下し文、本文、語義、口語訳が書いてある。さらっと内容だけ知りたければ、口語訳だけ読むだけでもおもしろい。ただ、語義を頭に入れつつ、書き下し文を声に出して読むと、口語訳にないキリッとした濃縮感のある形で迫ってくる。
順番に読む必要はないと思う。気が向いたところを開いて読むだけで十分おもしろい。
例えば、こうだ。
4 世俗に近づいても染まらない
「訳文」
権勢や利益、粉飾や華美というものは、これに近づかない者を潔白な人とし、これに近づいても、その弊風に染まらない者を、最も潔白な人とする。
また、世俗の権謀術策というものは、これを知らない者を高尚な人とし、これを知っていても、自分では用いない者を、最も高尚な人とする。
欲のようなものに踊らされず、知恵やたくらみは知らないよりも知ってたほうがいいけど、知ってても利用はしないのが高尚な人ってことか。
すごくストイックな考えで自分にできるかどうかは別として、こういう高尚な思想があるということは知っておいても損はないように思う。