ステッドラーの770をロフトで買ってきました。
このシャープペンシルは34年ぶりに復刻したものです。初代770は製図用シャープペンシルとして1978年から発売され、1990年に廃番になりました。
カラーは芯径によって異なります。芯径には0.3, 0.5, 0.7, 0.9があり、全てブルー系のカラーになっています。私が今回購入したのは0.5 mmです。
価格は税込1540円です。
全長は公式サイトによると139.6 mmです。重量は実測で10.8 gでした。公式サイトと同じ数値です。比較的コンパクトで軽量なシャープペンシルです。
他のシャープペンシルと比較するとこんな感じです。
770は全体的に流線型のフォルムになっていて、最近のシャープペンシルとはデザインが異なります。
どちらかというと、ぺんてるのP200シリーズに似ています。
パッと見て特徴的だと感じたのはグリップ部分です。
ローレット加工された金属グリップなんですが、テーパー状になっています。一番太い部分がφ8.5 mm、細い部分がφ7.0 mmです。この形を作るには円筒を削り出してテーパー形状にする必要があり、一手間かかります。ローレット加工には円筒にローレット工具を押し付けてギザギザ形状を転写する転造ローレット加工という方法に加え、切削しながらギザギザ形状を作る切削ローレット加工という方法もあるようです。
ローレット加工を実際に見たことがないので、詳しいことはよくわかりませんが、例えば、転造で作るとしたら、テーパーのついた円筒にローレット加工をするためには、ローレット治具にあらかじめ角度をつけておく必要がありますし、薄肉の柔らかい素材が相手だと、中に補強のための軸を入れておく必要があるような気がします。
770の基本部品構成は普通のシャープペンシルと大差ないので復刻することの技術的な難しさはあまりないような気がします。しかし、このグリップ部分の加工にはそれなりの加工技術が必要とされるため、ハードルが高いと思います。
少し拡大して観察してみましょう。
ノック感は重めです。ノック音は心地よいです。メカの基本的な挙動は925-35シリーズに似ている気がしますが、軸素材が樹脂のためか、音は大きめです。
グリップは少し細く感じます。個人的にはシャープペンシルのグリップ径は10 mmプラスマイナス1 mm程度が理想的と感じていますので、その基準からするとやはり少し細いです。しかし、一番細いところが鉛筆の辺間の距離と同じ7 mmですので、実際にはそれほど細いわけではないとも考えられます。この辺は好みや気分、シチュエーション、また、ペン全体のバランスなどによって変わるところなので、実際に触ってどう感じるかが大切です。
私は技術系の職場で働いています。文房具に興味がありそうな人もいますが、そうでなさそうな人もいます。中には長く同じものを愛用しているんだろうなという人もちらほら見かけます。10年20年使い続けたようなテカテカの傷だらけの770がポケットにあったら、この人はただのおっさんではないな感が漂うような気がします。