万年筆のパイロットらしさ

最初に購入した金ペンはパイロットのカスタム74でした。しばらくFMを使っていたのですが、筆圧を入れないと線が薄くなるのが感覚的に合わなくて苦手でした。2本目のパイロットの金ペンはキャップレスでしたが、こちらは最初から調整したものを通販で購入したのでデフォルトの状態がわかりません。

そして今回購入したカスタムヘリテイジ912です。これも調整なしがどういうものかはわかりませんが、調整したのはメーカーの人であり、デフォルトの味は損なわない程度に調整をしてもらいました。

しばらく書き込んでみて、なるほどパイロットらしいなと思い始めています。どの万年筆も筆圧を強くすると線が太くなりますが、パイロットの金ペンの場合、筆圧をほとんどかけないとかなり線が細くなる傾向にあります。

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上が筆圧をかけずになでるように書いたもので、下は少し筆圧をかけて筆記したものです。上のグルグルは最初少しカスレが出ています。調整をしてもらったからか、最初に購入したカスタム74で感じた疲れる感じはありません。むしろ、パイロットらしくておもしろいなと思う余裕があります。いろんな万年筆を使ってきたからそう思えるのかもしれません。

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実際に字を書くと、ちょっとメリハリのある線がおもしろいです。

ちなみに、キャップレスのFは実直。メリハリはほとんどなく、常に一定の線です。おもしろみはありませんが、安定感は抜群です。

一方、セーラーのプロフィット21はシャキンとした印象です。ニブの形状によるのか、ペンポイントの摩擦がニブ全体に響き、小気味よい音を立てます。

パイロットS20と(旧)レグノ

パイロットのS20とよく比較されるのがレグノというシャープペンシルです。店頭であまり見かけないのですが、たまたま見つけたので、簡単に比較してみました。

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グリップはレグノの方が少し太めでした。使っている木材はどちらも同じ樹脂含侵カバ材だと思います。レグノは定価2500円と若干高め。ペン先はレグノが一般筆記用で、S20は製図用(4mmのガイドパイプ)です。ちなみに、わたしがS20に興味を持ち始めた10年くらい前には一般筆記用のS20も存在したのですが、今はラインナップにないようです。

わたしが最も違いを感じるのはクリップ位置です。S20は手と干渉しにくいですが、レグノは普通です。ボールペンや万年筆はペンを回しながら使ったりしないので、クリップと手の干渉は考慮する項目になりませんが、シャープペンシルはペンを回しながら書くので重要なポイントとなります。

わたしとしてはレグノはS20と全く異なるシャープペンシルと感じます。

ちなみに、レグノには1000円バージョンのものが存在します。ペンの形が違うのに同じネーミングにしてあるのには若干違和感があります。

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究極のなめらかさ パイロット カスタムヘリテイジ912 WA(ウェーバリー)

4月14日に本通りの多山文具でペンクリニックが開催されました。

 

digistill.hatenablog.com

 

その時、試し書きさせてもらったカスタム743、カスタムヘリテイジ912のWAがすごく書きやすいと感じたのでをカスタムヘリテイジ912のWAを購入することにしました。743は15号のペン先を実装しており、ペンも少し大型です。実用的には742とかカスタムヘリテイジ912で十分と言われ、実際そう思います。残念ながら1万円前後であるカスタム74クラスの万年筆にWAはありません。ですから、WA狙いで安価に済まそうとすると、カスタムヘリテイジ912かカスタム742を選択することになります。

店頭在庫がなく、いったん入荷後、修理扱いで調整をし、納品するという段取りとなりました。ゴールデンウィーク前後のお届けになると聞いていたのですが、今日、店頭に届いたとの連絡を受けました。

マツダスタジアムでカープ対阪神戦を見てから、本通りの多山文具に行き、受け取ってきました。

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カスタムヘリテイジ912は10号ニブを実装するベスト型の万年筆です。ペン先はロジウムメッキがなされており、金属パーツもすべて銀色となっています。バランス型でいうとカスタム742と同一クラスの万年筆になります。

セーラーでいうとちょうどプロフィット21と同一クラスになります。

↓左から、カスタム74、カスタムヘリテイジ912、プロフィット21

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ペン先の形状はちょっと違いますが、ニブの大きさはプロフィット21と同じくらいです。

↓上がカスタムヘリテイジ912、下がプロフィット21

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先ほども書きましたが、上のカスタムヘリテイジ912がベスト型で、下のプロフィット21がバランス型と言われている形状となります。

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ベスト型はキャップと軸の端面が平坦になっているのが特徴です。また、クリップもパイロットの玉が付いたタイプではなく、普通のクリップとなっています。

筆記時には若干カスタムヘリテイジ912の方が長くなるようです。キャップをしたときはプロフィット21の方が長いです。重量はどちらも25グラムですが、カスタムヘリテイジ912の方が若干リアヘビーに感じます。太さもよく似ていますが、書く時の感じは結構違います。

インクは月夜にしました。早速書いてみると、試し書きした時とほぼ同様の滑らかさが感じられました。

通常の筆圧の線幅を比較してみます。

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上の写真の一番下は結構筆圧を込めて書いた例です。

スチールペンとの比較になりますが、WAはMと同じくらいの太さです。筆圧を抜くともう少し細い線も書けます。

筆記角度や筆圧による線幅の動きは少なめですが、筆記時のペン先の開きを観察すると、軽く筆圧を掛けるとペン先が開く様子が確認できます。ペン重量だけで筆記できるくらいのペン先の開きにしてもらいましたので、ほとんど筆圧を掛けることなく線を引くことも可能です。フローは適度に抑えられています。パイロットらしさを残した調整になっていると思います。試筆した743よりも線は細めです。指定した通りに調整されているので、大したものです。

しばらく筆記してみました。

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6 mm罫線のノートにも書いてみましたが、まったく問題なく書けます。通常筆記なら、Fよりもこのくらいの太さの方が長時間の筆記が楽だと思います。ほんとに小さく書きたいときや手帳などへの書き込みにはFがいいと思います。

手持ちの万年筆で一番滑らかさを感じられるのはTWSBIのMですが、カスタムヘリテイジ912WAは少し書きごたえのある調整になっています。紙の繊維に引っかかる感じは一切なく、紙の表面粗度を手先に感じるような調整です。MDコットンだと少しザラザラした感じを受けますが、マルマンのニーモシネだと、ヌメヌメとした滑らかさを感じます。ロディアだとその中間くらい。紙が平滑すぎると書き味が良すぎて、おもしろみに欠けるとすら思えます。

筆記していて不安定な感じや、気に入らない点は今のところ全くと言ってないです。

この書き味を支えるのは、独特な形状のニブです。

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ペン先が若干反っているのがわかるでしょう。この角度のため、少しペンを寝かせて書いた時のような状態が保てるのです。持つ角度による筆記線の太さの変化はほとんどありません(垂直に近くすれば細くなりますが)。また、FA(フォルカン)などと違い、筆圧による筆記線の幅の変化は最小限です。通常筆記時の筆圧内ならほとんど変化がないと言っていいくらいです。しなりや線幅の変化を楽しむような万年筆ではないです。

ちなみに、細字設定のWAというのは存在しません。

 

パイロット万年筆 カスタム ヘリテイジ912 ブラック ウェーバリー(WA) FKVH-2MR-B-WA

パイロット万年筆 カスタム ヘリテイジ912 ブラック ウェーバリー(WA) FKVH-2MR-B-WA

 

 

PILOT S20 0.5 ダークブラウン

買おう買おうと思いつつも手に入れていないシャープペンシルがありました。パイロットのS20です。お気に入りのシャープペンシルのひとつがパイロットのS3なのですが、S20はそれの高級版といった位置づけです。形もよく似ています。

色はもともとダークブラウンとディープレッドの2色展開でしたが、少し前にブラック、ブラウン、マホガニーの3色が追加され、全部で5色展開となっています。どれもいい色なので迷ったのですが、無難に渋いダークブラウンを選びました。ブラウンは明るい色ですが、木目が目立ってきれいだと思います。

↓上がS20、下がS3

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S20は軸の材質が樹脂を含侵させたカバ材です。形はS3によく似ているのですが、グリップ部分が少しくびれたような形状になっています。重量や重量バランス、グリップ形状など、総合的に評価して、S3よりも使いやすいです。ガイドパイプは固定式で、剛性感が高く、すごくいいと思います。

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グリップ部分がくびれておりので人差し指の腹がよく収まります。また、人差し指の付け根あたりにあたる部分も少し細くなっているため、細長い楕円を包み込むような安定感があります。重心は銀色のリングの少し下あたりで、筆記時に必要以上のモーメントが発生しません。

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S20はペンユニットが金属でできているようです。S3もS20もチャックは金属製で、本格的な仕様となっています。手持ちのS5は相当古いので、樹脂のネジ部に欠けがあります。

何度も書いていますが、S3, S20で特筆すべきはクリップの位置と軸設計です。

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軸の最上端に短いクリップが固定されており、手と干渉しにくくなっています。上端の軸が細くなっているため、クリップの飛び出し量が最低限に抑えられています。クリップの先端は軸側に沿うように湾曲しており、これも手との干渉を抑えるのに一役買っています。この部分の設計はわたしの知るすべてのシャープペンシルの中で最も優れています。

メリットでもありデメリットでもあるのは、プラスアルファの機能がほとんどないこと。口金も収納できませんし、芯を折れにくくするような機能もありません。そのためペン先の取り扱いには十分な注意が必要です。しかし、機能がシンプルであるため、剛性や重量設計など、基本設計に集中できたのだと思います。筆記時のことだけを考えれば、手持ちのシャープペンシルの中で最も優れていると言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、わたしは使い終わっても極力シャープペンシルの芯を戻さないようにしています。最悪、落とした時、芯が折れることで少しでもペン先への負担を減らしたいからです。もっとも机の上から落とすくらいの衝撃になると、焼け石に水でしょうが。ペンケースやペン立てに収納するときには芯で汚れたりするので、使い分けも必要です。

ところで、なんとなく手元に何本くらいのシャープペンシルがあるのか集めてみました。

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32本ありました。探せばもう少し出てくると思います。正直、もうあまり使うことはないかなというものも何本かありますが、どれもそれなりにお気に入りです。

あえていくつかピックアップすると以下の通り。

  • ロットリング rapid PRO
  • パイロット S20
  • ぺんてる ケリー
  • ぺんてる グラフギア1000
  • ぺんてる オレンズ各種
  • プラチナ プレスマン
  • プラチナ オレーヌ+
  • 無印良品 最後の1mmまで書けるシャープペンシル(旧型)

 

パイロット シャープペンシル エストゥエンティ ダークブラウン 0.5mm HPS-2SK-DBN5

パイロット シャープペンシル エストゥエンティ ダークブラウン 0.5mm HPS-2SK-DBN5

 

 

ロットリング ラピッドプロ シャープペンシル ブラック 0.5mm S0949350

ロットリング ラピッドプロ シャープペンシル ブラック 0.5mm S0949350

 
ぺんてる シャープペン 万年CIL(ケリー) 0.5 HB キャップ式 XP1035AV ブラック
 
ぺんてる シャープペン グラフギア1000 PG1015 0.5mm

ぺんてる シャープペン グラフギア1000 PG1015 0.5mm

 
ぺんてる シャープペン オレンズメタルグリップ XPP1005G-B 0.5 レッド

ぺんてる シャープペン オレンズメタルグリップ XPP1005G-B 0.5 レッド

 
プラチナ プレスマン シャープペン 速記用0.9mm芯2B 2105010

プラチナ プレスマン シャープペン 速記用0.9mm芯2B 2105010

 
 
無印良品ABS機械鉛筆0.5?MM???書き込みに最後1?mm
 

 

 

キーボードのテカリ、万年筆の汚れには

コストコに売っているアクアクリーンというクリーナーですが、これがものすごく万能でずっと使い続けています。アルカリ性なので、キッチンの油汚れなどはめちゃくちゃきれいに落ちます。意外なところで、万年筆のインクで手が汚れたときにも効果的です。万年筆のインクは石鹸で洗ったくらいではなかなか取れませんが、アクアクリーンで完ぺきではないものの結構落ちます。ただし、皮膚が完全に脱脂されるためオススメはしません(手が荒れます)。実は、万年筆の洗浄にもこれを使います。これまたどういう影響があるかわからないので、オススメはしませんが。

キーボードって使っているとキートップがテカってきます。摩耗によるものはその限りではありませんが、手の脂が一因だったりします(ちなみに、手のひらには皮脂の分泌腺はありません)。アクアクリーナーをキッチンタオルにしみ込ませ、キーボードをやさしく拭きます。するとものの一瞬でキーボードのテカテカがなくなり、サラッと仕上がります。ただしこれは水溶液ですし、樹脂や印刷にアルカリ水溶液が影響を与えないとは言い切れないのでオススメはしません。ただ、クリーニング効果は半端じゃないです。

 モノもそうですが、こういう行為も決してオススメはしません。あくまでもひとつの事例として読んでいただければと思います。特に人体に用いるのは注意が必要です。

 

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