プチプレミアムなゲルボールペンたち

今日はサラサナノを一日使ってみました。考えてみると、普及モデルをちょっと高級にしたようなプチプレミアムなボールペンが出揃ってきたなぁと思います。

  • サラサナノ 200円
  • ジュースアップ 200円
  • フリクションポイントノック04 250円
  • ボールサインiDプラス 350円
  • ユニボールワンF 330円

どれも200円から300円程度のボールペンで、口金が金属になっている点が共通しています。

重量も似ています。

  • サラサナノ 12.9 g
  • ジュースアップ 11.3 g
  • フリクションポイントノック04 11.9 g
  • ボールサインiDプラス 13.5 g
  • ユニボールワンF 14.1 g

あと、重心位置もペン先から65 ~ 70 mmであり、[ペン先から重心までの距離 / 全長]が0.45前後になっています。数字が小さいほど低重心ということになります。

上から、サラサナノ、ジュースアップ、フリクションポイントノック04、ボールサインiDプラス、ユニボールワンF

 

 

 

 

 

 

ゼブラ サラサナノ ダークブルー「どんなペンナノ?」

駅前の書店にふらっとよって、サラサナノを買ってきました。

サラサナノは一言で言えば、高級な0.3 mmのサラサクリップです。200円。

うるふわクッションという機構が実装されていて、筆圧に応じてリフィルが少しだけ動きます。この動きがショックアブソーバーとして機能し、0.3という極細のゲルボールペンにもかかわらず、カリカリとした筆記感を「うるふわ」にしてくれるという特徴があります。

口金が金属でできているため、ペン自体は通常のサラサよりも2グラム重い12.9グラムです。重心はこのくらいの位置になります。

比較的低重心です。

口金の精度もよく、実際に書いてみるとペン先が「乗る」感じがします。

さて、少し細部を観察してみましょう。

クリップはこんな感じです。ちょっとわかりにくいですが、左のサラサナノは2色の樹脂で整形されていて、透明樹脂にロゴが印刷されているのでロゴに影ができていてかっこいいです。

特徴のあるクリップも少し仕様が異なります。通常のサラサクリップのバネは板バネですが、サラサナノではコイルバネになっています。

クリップの使用感に大きな差はないですが、耐久性に差が出るかもしれません。

口金はこんな形状をしています。少しペン先がえぐれたような形状になっています。この形状のおかげで筆記面の視野が広がりすっきりとした印象を受けます。口金の重量は2.6グラムです。

簡単にバラせるところをバラしてみるとこんな感じになっています。

バネの形状が通常のサラサクリップと違います。

上:サラサクリップ、下:サラサナノ

簡易的な実験でバネの強さを比較してみました。

上の写真のようにノックボタンを正対させ、お互いに押し込んでどっちが早くノックされるかを複数回試してみました。100%サラサクリップの方が先にノックされる結果となりました。つまり、ノックする時の力はサラサナノが少し大きめです。とはいえ、感覚的には感じにくいです。

線の細さはこんな感じです。

上:サラサナノ。下:ジェットストリームエッジ(0.28)

上の線はペンを垂直にした時の線で、下の線は通常筆記です。若干ジェットストリームエッジ0.28の方が細いですが、実用的にはほぼ同等といってもいいでしょう。

天秤を使って簡易的に調べてみると、うるふわクッションは100グラム前後の荷重で動作していました。

ところで、実はサラサナノが発売されてすぐに店頭で試筆はしていました。

いくらバネで支持しても100グラムの筆圧は100グラムの筆圧だろう、こんなの子供騙しだよなぁ・・・と、購入には至りませんでした。

検証のため、今日は0.3のリフィルを通常のサラサクリップの軸に入れてみたり、サラサナノの軸に0.5のリフィルを入れて、普通のサラサクリップと書き比べてみたりしました。すると、明らかに差を感じました。最初に書いたように、うるふわクッションがあるとペン先が「乗る」ような感覚を受けます。

それを模式化するとこんな感じです。

縦軸にペン先にかかる力をとり、横軸に時間をとります。ペン先が紙にあたると、当然、ペン先に力がかかります。うるふわクッションなしを鋭く立ち上がっている方の線だとすると、うるふわクッションは丸みを帯びた方のような感じがします。

硬いペン先が紙面に当たると一瞬にしてペン先に力がかかります。上のグラフはペン先をトンと紙の上で叩いたようなイメージになっていますが、実際に筆記するときを書くとこんなイメージでしょう。赤い線で描きます。

ちょっとぐちゃぐちゃになってしまいましたが・・・・

鋭い方は一旦ピークを迎え、少し力が落ち着いた状態で筆記が開始されます。一方、うるふわクッションの方はピークを迎えたままおもむろに筆記が開始されます。この時の落ち着いた力がいわゆる筆圧です。

バネがあっても100グラムの筆圧は100グラムのバネの張力と釣り合うため、うるふわクッションが実装されても筆圧を軽減する作用があるとは思えません。しかしながら、過渡的に発生する衝撃力のピーク値を緩衝する作用はあると思います。地面に直接落下するより、トランポリンの上に落下する方が足が痛くないのと同じです。手の力によって振り下ろされたペンが一気に硬いところに叩きつけられるか、バネの作用でゆっくりと力を分散させながら叩きつけられるかの違いです。物理的な落下を考えると、上の尖った山と緩やかな山の面積は力積に相当しますので厳密には同じ面積で描かないといけないんですが、うまく描けていません。

これが私のうるふわクッションに対して感じた感想です。

ところで、サラサナノのリフィルはサラサと基本的に同じ大きさなので、サラサナノの軸にはいろんなリフィルを入れることができます。例えば、エナージェルとか。有名どころだと、ジェットストリームの単色ボールペンのリフィル(SXR-系)が入ります。試しにSXR-38を入れてみたところ、ペン先のガタつきがほとんどない状態になりました。うるふわクッションも普通に動作しました。

サラサナノの軸はジェットストリーム用の軸としてかなり優秀だと思います。

 

 

 

 

 

 

奇跡的にブレない(ユニボールワンFの軸にモノグラフライトのリフィルBR-KNEを入れると最高のペンが出来上がる)

ユニボールワンFが油性ボールペンだったらいいかもと思って、純正以外のリフィルを試してみました。

手持ちのリフィルで全く問題なかったものを3つ紹介します。

  1. ブレン NC-07
  2. アクロボール BRFV-10
  3. モノグラフライト BR-KNE、BR-KNR

まず、ブレンのNC-07。最後の07は0.7という意味で、その他の芯径も入ります。厳密には油性インクではなく、エマルジョンインクですが、書き味が低粘度油性に似ているので、油性カテゴリとして扱います。

ペン先はこんな感じ。

違和感ないです。ブレは純正リフィルとほぼ同等で気になりません。

次にアクロインキBRFV-10です。

一見、マッチしそうにないですが問題なく使えました。

若干、リフィルの繰出量が多いですが問題ないです。気になる時はちょっとリフィルを切ればいいと思います。

最後はモノグラフライトのBR-KNEとBR-KNRです。KNEは0.5 mmでKNRは0.38のリフィルです。

この組み合わせはペン先のブレが純正よりも少なめです。特に0.5のKNEは全くといっていいほどブレません。KNEとKNRのリフィル形状はほとんど同じに見えますが、実は0.5のKNEの方がほんの少しだけリフィルが太いようです。どちらもノギスで計測すると6 mmです。しかしながら、KNRは軽く軸に入りますが、KNEは軸に入れる時に微かに抵抗があります。KNEのリフィルは1本しか持っていないので個体差かもしれませんが、少なくともKNRは全て細めでした。

ちなみに、ペン先はこんな感じ。

消炭(ブラック)に入れるとシャープな感じがよく似合います。イチオシの組み合わせです。

モノグラフライトのリフィルはニードルチップで視界が良く、インクは低粘度なので書きやすいです。モノグラフライトは純正軸もブレが少なくていいですが、ユニボールワンFに入れた時の方が重量感やバランスが良く、好みです。この組み合わせを体験してしまったら、下手なペンは使えなくなるかもしれません。禁断の組み合わせかも。

ちなみに入りそうで入らなかったリフィルは以下の通り。

  • ジュースアップ LP3RF12S4
  • エナージェル LRN4TL
  • ジェットストリーム SXR-38
  • サラサクリップのリフィル

ユニボールワンFはスタビライザーのせいで内部が若干狭いんだと思います。

意外なところだと、シグノ307のリフィル(UMN-307-05)は入りました。シグノRT1のリフィルなども入るそうですが、どちらもゲルインクなのでリフィルに思い入れがない限りは特に入れ替えるおもしろさはないでしょう。

ボールサインiDのリフィルが入ったという報告もあるようですが、手持ちのiDプラスのリフィルは入るもののノックができませんでした。

 

 

 

抜群の安定感 パイロット クーペ(アクロインキボールペン)

ここ数日、S20を使っていて、アクロインクの黒々としたヌラヌラのインクが気に入りました。

特に目的もなくロフトに入り、ボールペンコーナーを見ていたら、パイロットのクーペが目につきました。これまで特に気にしたこともないボールペンでしたが、手にした瞬間、スッと手におさまる感覚が新鮮でした。

口金とリフィルのガタつきを調べてみると、ガタつきをほとんど感じない仕上がりになっていました。ノック式なので隙間はありますが、リフィルが根本でしっかりと固定されている感じです。

ブラック、メタリックレッド、メタリックブルー、パールホワイト、シャンパンゴールドの5色展開していますが、私が購入したのはメタリックブルーという色です。

ノック時の全長は約145 mm、重量は25 gです。重心位置はこの辺りです。

若干重めのペンですが、比較的重心が低いので安定感があります。

グリップにある点々は塗装みたいな感じでちょっとだけ盛り上がっています。これ自体にグリップ感があるとは思えませんが、アクセントになっていて、触り心地がいいです。

キャップレス絣の仕上げにちょっと似ています。

キャップレス絣の軸

クーペのグリップは直径φ10 mmからφ11 mmくらいになっています。

ペンのグリップは10 mm前後が好きなのでちょうどいい感じです。

私はそれほど衝動買いをしませんし、物を買うときはペン一本でもかなり調査して、納得してから買います。しかしながら、クーペに関しては、見てから買う決断をするまでにほとんど時間はかかりませんでした。細かく分析してみると、そう思うだけの要素が揃っていると思います。

ちょっとオプトに似ているなと思って並べてみたところ、軸のラインがそっくりです。しかしながら、オプトの方が全体的に太めです。重量もオプトの方が9.2 g軽く、15.8 gです。。

ペン先とクリップを観察してみましょう。

ペン先は特別高級感はありませんが、精度良く作られています。

クリップの張力は適切で、形もいいです。ノックボタンはノックしても張力が働くタイプなので、ノックしてもガタガタと動きません。クリップ付近にリング状の装飾が施してあり、いいアクセントになっています。

控えめのロゴがなんとなくレトロでかわいらしいです。

リフィルはBRFN-10F(アクロインキ)です。S20と同じです。

筆記時にペンを振っても部品が動く音が全くしません。ペン先のガタつきもほぼ皆無なのでアクロインキの滑らかさがよくわかり、上質な筆記感を味わえます。

高級感があるとかそういう意味ではなく、設計が合理的で隙がありません。ここまで完成度が高いペンはありそうで、なかなかないです。名作といってもいいと思います。なんといっても驚きはこのクオリティが1000円程で手に入るってことです。

同価格帯のアクロ1000と比べるとスタイリッシュさに欠けるので目立ちにくいペンだと思いますが、重量バランス含め、実用的なデザインが素晴らしいです。

油性ボールペンのインク溜まりは書く条件によって変化する

油性ボールペンの悪い特徴のひとつにペン先のインク溜まりがあります。いわゆる、ダマとかボテとかいうやつです。先日、S20を購入した際、アクロインキはボテが出やすいと書きました。しかしながら、いろいろ確認しているうちに油性ボールペンのインク溜まりは書く条件によって変化するということに気がつきました。

三菱鉛筆のウェブサイト(参考リンク)に参考になるようなことが書いてありました。

ここでは以下の4点をインク溜まりの原因として上げていました。

  1. 筆圧が弱い場合 や 筆記する紙が薄い場合
  2. 直線を引く場合
  3. ペンを寝かせて書く場合
  4. ゆっくりと筆記する場合

ボテができるメカニズムは簡単です。油性ボールペンでは回転するボールがリフィル内からインクを引き出しながら、紙にインクを付着させますが、紙に付着できなかったインクは再びリフィル内に引き込まれます。その際、引き込まれるインクが多すぎるとインクがペン先の端面に溜まってきます。溜まったインクがある程度溜まると、紙にボテが発生するわけです。

インクが100%紙に転写されればボテは出ないわけですから、上の4つは合理的です。言い換えると、

1 ボールと紙の接触面積を増やすためには、紙の厚みを増やすこと、下敷きを使うこと、ある程度高い筆圧で筆記することなどが考えられす。

2 一定方向にペンを動かすとインクの溜まりが育ってしまうので、あらゆる方向に筆記することが好ましいです。

3 ペンを寝かせてしまうと、これまたボールと紙の接触面積が減る原因となります。

4 ゆっくり書きすぎても余計なインクが引き出される可能性が出てきます。

1に関連しますが、紙の質でボテの出方は変わります。手持ちの紙で比較的安定して書けたのは普通のキャンパスノートでした。キャンパスハイグレードのウェブページにキャンパスノートと筆記具との相性一覧があり、普通のキャンパスノートは油性ボールペンとの相性が良いと書いてあります(参考リンク)。

これに加え、インクの製造年月日も関係あるのではないかと考えました。新しいインクを手に入れるため、ヨドバシカメラの通販でリフィルを取り寄せてみました。

パイロットのリフィルには製造年月日が書いてあります(参考リンク)。上の写真を見ると、このリフィルは2022年の1月に製造されたものです。比較的新しいものが入手できました。

比較してみると、古いインクよりもボテが出にくいと感じました。もちろん、筆記角度を小さくして筆圧軽めで線を引っ張るような書き方をするとボテは出ます。

パイロットのウェブサイトによると(参考リンク)、油性インクの使用期限は3年が目安らしいので、書き味がおかしいと感じたらリフィルを新しくしてみるといいかもしれません。

 

参考リンク

ペンの先にインクが溜まる|よくあるご質問|三菱鉛筆株式会社

キャンパスハイグレード - 文具紹介 - コクヨ ステーショナリー

替芯の製造年月はどこを確認すればわかりますか? | よくあるご質問 | PILOT

https://www.pilot.co.jp/support/6997817f2ac2aae4e1d4cab62bb89e45ae71b829.pdf

https://www.pilot.co.jp/support/6997817f2ac2aae4e1d4cab62bb89e45ae71b829.pdf

 

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