駅前の書店にふらっとよって、サラサナノを買ってきました。
サラサナノは一言で言えば、高級な0.3 mmのサラサクリップです。200円。
うるふわクッションという機構が実装されていて、筆圧に応じてリフィルが少しだけ動きます。この動きがショックアブソーバーとして機能し、0.3という極細のゲルボールペンにもかかわらず、カリカリとした筆記感を「うるふわ」にしてくれるという特徴があります。
口金が金属でできているため、ペン自体は通常のサラサよりも2グラム重い12.9グラムです。重心はこのくらいの位置になります。
比較的低重心です。
口金の精度もよく、実際に書いてみるとペン先が「乗る」感じがします。
さて、少し細部を観察してみましょう。
クリップはこんな感じです。ちょっとわかりにくいですが、左のサラサナノは2色の樹脂で整形されていて、透明樹脂にロゴが印刷されているのでロゴに影ができていてかっこいいです。
特徴のあるクリップも少し仕様が異なります。通常のサラサクリップのバネは板バネですが、サラサナノではコイルバネになっています。
クリップの使用感に大きな差はないですが、耐久性に差が出るかもしれません。
口金はこんな形状をしています。少しペン先がえぐれたような形状になっています。この形状のおかげで筆記面の視野が広がりすっきりとした印象を受けます。口金の重量は2.6グラムです。
簡単にバラせるところをバラしてみるとこんな感じになっています。
バネの形状が通常のサラサクリップと違います。
簡易的な実験でバネの強さを比較してみました。
上の写真のようにノックボタンを正対させ、お互いに押し込んでどっちが早くノックされるかを複数回試してみました。100%サラサクリップの方が先にノックされる結果となりました。つまり、ノックする時の力はサラサナノが少し大きめです。とはいえ、感覚的には感じにくいです。
線の細さはこんな感じです。
上の線はペンを垂直にした時の線で、下の線は通常筆記です。若干ジェットストリームエッジ0.28の方が細いですが、実用的にはほぼ同等といってもいいでしょう。
天秤を使って簡易的に調べてみると、うるふわクッションは100グラム前後の荷重で動作していました。
ところで、実はサラサナノが発売されてすぐに店頭で試筆はしていました。
いくらバネで支持しても100グラムの筆圧は100グラムの筆圧だろう、こんなの子供騙しだよなぁ・・・と、購入には至りませんでした。
検証のため、今日は0.3のリフィルを通常のサラサクリップの軸に入れてみたり、サラサナノの軸に0.5のリフィルを入れて、普通のサラサクリップと書き比べてみたりしました。すると、明らかに差を感じました。最初に書いたように、うるふわクッションがあるとペン先が「乗る」ような感覚を受けます。
それを模式化するとこんな感じです。
縦軸にペン先にかかる力をとり、横軸に時間をとります。ペン先が紙にあたると、当然、ペン先に力がかかります。うるふわクッションなしを鋭く立ち上がっている方の線だとすると、うるふわクッションは丸みを帯びた方のような感じがします。
硬いペン先が紙面に当たると一瞬にしてペン先に力がかかります。上のグラフはペン先をトンと紙の上で叩いたようなイメージになっていますが、実際に筆記するときを書くとこんなイメージでしょう。赤い線で描きます。
ちょっとぐちゃぐちゃになってしまいましたが・・・・
鋭い方は一旦ピークを迎え、少し力が落ち着いた状態で筆記が開始されます。一方、うるふわクッションの方はピークを迎えたままおもむろに筆記が開始されます。この時の落ち着いた力がいわゆる筆圧です。
バネがあっても100グラムの筆圧は100グラムのバネの張力と釣り合うため、うるふわクッションが実装されても筆圧を軽減する作用があるとは思えません。しかしながら、過渡的に発生する衝撃力のピーク値を緩衝する作用はあると思います。地面に直接落下するより、トランポリンの上に落下する方が足が痛くないのと同じです。手の力によって振り下ろされたペンが一気に硬いところに叩きつけられるか、バネの作用でゆっくりと力を分散させながら叩きつけられるかの違いです。物理的な落下を考えると、上の尖った山と緩やかな山の面積は力積に相当しますので厳密には同じ面積で描かないといけないんですが、うまく描けていません。
これが私のうるふわクッションに対して感じた感想です。
ところで、サラサナノのリフィルはサラサと基本的に同じ大きさなので、サラサナノの軸にはいろんなリフィルを入れることができます。例えば、エナージェルとか。有名どころだと、ジェットストリームの単色ボールペンのリフィル(SXR-系)が入ります。試しにSXR-38を入れてみたところ、ペン先のガタつきがほとんどない状態になりました。うるふわクッションも普通に動作しました。
サラサナノの軸はジェットストリーム用の軸としてかなり優秀だと思います。