ボールペンのリフィル、古くないですか?

私のようにペンを次々買っていると、使わないで何年も放置されるペンがたくさん出てきます。先日購入したクーペのインキBRFN-10Fはもう半分くらいになっているので、お気に入りのボールペンを毎日使っていれば問題ないですが、何年も放置しているとインクが劣化します。

トンボのウェブサイトを見ると、油性インクの寿命はJISでは「製造日より15ケ月間経過しても良好に書き出せること」となっているようです。トンボの場合、24ヶ月を保証しているようです。とはいえ、油性ボールペンの寿命は長いので、適切に保存されていれば5年くらいは使えるとしています。*1

去年いただいたピュアモルトボールペンのリフィルの刻印を見てみると、製造したのが2015年3月でした。

このボールペンのリフィルはS-7Lというものです。

インクが古くても筆記は可能ですが、書き出しが渋くなる傾向にあるように思います。

実はこのリフィルは互換性が高く、ジムノックのリフィルや、スタロジーの油性ボールペンのインクなどが使えます。ちょうどスタロジーのリフィルがあったので交換してみました。

(下の写真は撮影のために、一度取り出したリフィルを再度入れて撮影しています。)

スタロジーのインクは低粘度油性です。ただ、あまり粘度を下げないようにしているようで、旧油性と新油性の間くらいのインクになっています。OHTOのなめらか系インクに近い気がします。

リフィルを新しくするだけでだいぶ書き心地が変わったように感じます。

実は最近、ドクターグリップ4&1のインクも全色新しいものに入れ替えました。ドクターグリップのインクは発色が良く、なめらかに書けるので好きなんです。ジェットストリームの4&1よりもちょっと重いですが、グリップはドクターグリップの方が0.5mmほど細いです。たった0.5 mmですが、グリップ形状も違うので、だいぶ違うものに感じます。

写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、筆跡が濃くなっているのが分かります。

4、5年オーダーになってくるとインクそのものに改良が加えられている可能性もあります。書き味が悪いなぁ・・・と引き出しにしまう前に、リフィルを新しくしてみるのもいいんじゃないかと思います。

 

 

 

 

ぺんてる Calme(カルム)単色ボールペン0.7

以前から気になっていたぺんてるのカルムを買ってきました。150円+税。

単色(0.5, 0.7)、3色、2色プラスシャープペンシルの3つのラインナップがあります。

今回購入したのは単色の0.7です。

ぺんてるの新油性インクはビクーニャインキと呼ばれていますが、ビクーニャインキを搭載したペンを購入するのは初めてです。

このペンの主な特徴はノック音が静かなことです。最近はペンのノック音が問題になることがあるそうで、こういう需要があるんだそうです。書き初めのワンノックくらいは許してあげてって思いますが。確かにカルムのノック音は静かですが、これでもカチャカチャやられたらやっぱりうるさいと感じると思います。

重量は10.4グラムで全長は143 mm、バランス係数([ペン先から重心までの距離 / 全長])は75 / 143 = 0.52です。低重心ではありませんが軽いペンなので特に問題はないです。

もうひとつの特徴は革調のロンググリップです。

材質はゴムっぽい素材(おそらく熱可塑性のエラストマー)で、しっとりとして強いグリップ力を発揮します。ボールペンで後ろの方を掴むことはありませんが、指先に当たる部分が全面的に柔らかいので独特なソフトさを感じます。

あまり大々的にアピールしていませんが、このペンの最大の特徴はペン先がほとんどブレないことだと思います。

ペン内部のペン先側を観察してみると、なんか工夫がなされているような様子が伺えます。

初めて使うビクーニャインキなので色々ぐちゃぐちゃと書いてみました。なかなか好印象です。改良を重ねたなめらか油性インキと書いてあるので、以前のインキよりも性能が上がっているんだと思います。

発色をジェットストリーム、アクロインキと比べてみました。

ビクーニャインキは若干筆跡が細いですが、なかなか優秀なインクだと思います。ジェットストリームは塗りつぶすとインクが赤っぽいのがよくわかります。アクロインキは黒々としています。ビクーニャインキは色相はなかなかいい感じですが、アクロインキと比べると薄い感じがします。ジェットストリームが人気知名度ともにナンバーワンだと思いますが、他社のインクもだいぶよくなっているので、性能的に大きな差はないと思います。

スタンダードな単色油性ボールペンだと、ジェットストリーム、ブレン、アクロボールあたりが有名どころだと思いますが、その中でもカルムは上位に食い込む実力があります。トータルバランスを考えると、私はカルムが一番好きかも。

 

 

 

 

 

 

 

パイロット 2020年限定 コクーンボールペン フリーダムブルーはコストパフォーマンス抜群のボールペンだった

コクーンはパイロットから発売されている筆記具のシリーズで、万年筆、シャープペンシル、ボールペンがあります。

コクーンというのはという意味です。ペンの外形が繭をモチーフにしているというわけです。

今回購入したのはアクロインキを搭載する回転繰り出し式の油性ボールペンです。2020年に東日本大震災義援金付きの限定品として発売されたもので、一本2000円です。通常品は1500円なので、差額の500円が日本赤十字社を通して寄付されるという仕組みのようです。2021年の1月にこのシリーズの義援金は既に505万7500円、支払われています。万年筆が4446本、ボールペンが5669本売れたそうです。限定品のカラーラインナップはラブレッド、ピースホワイト、リリーフグリーン、エナジーイエロー、フリーダムブルーで、今回私が手に入れたのはフリーダムブルーです。

コクーンの限定品が前回発売されたのは2015年でした。気がつくと限定色が出てくるシャープペンシルなどと違い、コクーンは滅多に限定色が出ません。

コクーンの通常色は7色展開されています。ブラック、ホワイト、シルバー、ブルー、ボルドー、チタン、メタリックグレーです。今日、店頭でそれぞれの色を手にしてひとつ気がついたことがあります。ホワイト以外の色はマットな塗装仕上げになっていますが、ホワイトは光沢仕上げになっています。マット仕上げの方が見た目的にはかっこいいのですが、私はグリップ力が劣ると感じます。マット塗装の方は手にした時にちょっと不安定な印象を受け、知らず知らずのうちに手に力が入るので少し疲れる感じがします。先日購入を見送ったのも、そういう違和感が若干あったんだと思います。

しかしながら、光沢仕上げのホワイトを手にした瞬間、おっ、これは悪くないなと直感しました。よし、白を買おう。そう思いながら店頭をぶらぶら観察していたとき、この限定色を発見しました。ボールペンはピースホワイトとフリーダムブルーの2色が2本だけ売れ残っていました。それを手にすると、光沢仕上げであることに気がつきました。手にするとやはりしっとりとしたグリップ感があります。筆記具は基本的に、黒か青を買うことにしているのでちょうどいいのが売れ残っていたわけです。

重量は31.4グラム、全長はリフィルを出した状態で約144 mmでした。重心位置は76 mmなので、バランス係数([ペン先から重心までの距離 / 全長])は76 / 144 = 0.53です。ペン先から重心までの距離が65 mmから70 mm程度で、バランス係数が0.5を切るくらいだと、低重心だと感じることが多いです。

リフィルはアクロインキのBRFN-10F-Bです。S20やクーペ、ドクターグリップのリフィルと同じです。ボール径は0.7です。

このリフィルは非常になめらかに書けるので好きです。

上の写真は左がグリップ側、右がクリップ側です。リフィルが入る部分には精度の高いパイプが配置され、リフィルが不用意にガタつかないようになっています。

ペン先とクリップのあたりを観察してみましょう。

クロームメッキの質が1000円クラスのペンよりもちょっといいです。ベースの部品の仕上げがいいのかもしれません。

クリップはシリーズで共通だと思います。

それほどコストをかけた仕上げではないですが、程よく剛性があり上質です。クリップとしては申し分ありません。パイロットの場合、この辺の設計は絶対に外さない安心感があります。

塗装の感じはクーペに似ています。コクーンのラメがちょっと細かく感じます。この仕上げはパイロットの筆記具によくあるもので、小慣れた技術が使われているんだと思います。

ここで少し、2015年の限定軸との比較をしてみましょう。

上から、2020年限定フリーダムブルー、2015年限定マーブル黒、通常色メタリックグレー

2015年の限定色は万年筆しか出ていません。マーブル模様が綺麗です。この塗装だったら+1000円出してもいいです。

ついでにペン先です。

マーブル模様のアップも示しておきましょう。

次に筆記した時の感想です。

まず、回転繰り出しの感触は上質です。スッと動き、最後は滑らかなクリック感と共にペン先が固定されます。戻すときは少し元に戻すように回転させると後はバネの力で初期位置まで戻ります。

コクーンは全体的にはちょっと太めのペンに見えますが、グリップする部分は直径11 mmほどです。この場合のグリップ位置というのは先端から40 mmほどのことを示しています。諸条件によって最適と感じるグリップの太さは変わると思いますが、おおよそ10 ± 2 mm程度が私は使いやすいと感じます。条件にもよりますが10 ~ 11 mmの範囲が最適と感じることが多いです。お気に入りのクーペもグリップ部分は11 mmです。

筆記するとクーペよりも重心が高いのがすぐにわかります。

クーペはペンを持った時にできる親指と人差し指の輪の中心に重心があります。一方、コクーンは重心が手に当たるくらいの位置までずれています。クーペは重量がコクーンよりも5グラム軽い25グラムです。書き心地はクーペは軽快コクーンは重厚です。上手な位置に重心を持ってくると、あたかもペンが手に吸い付くような安定感を感じます。万年筆っぽい持ち心地です。クーペもかなり好きですが、コクーンも悪くないです。優劣をつけるのは難しいです。

なんとなく似た書き心地のボールペンがあったなぁ・・・と思い、確認してみたら、これでした。ジェットストリームプライム回転繰り出し式シングルの限定版(ノーブルブラック)です。

重量はコクーン:31.4グラム、ジェットストリーム:30.4グラムで、1グラム差。

重心位置は下の写真の通りよく似ています。

軸の太さは違いますが、全長もよく似ているので筆記感が似ています。

ジェットストリームプライム回転繰り出し式シングルの限定版(ノーブルブラック)は表面が自己修復塗料が塗ってあり、塗装面全体に心地よいグリップ感があります。この塗装はクルトガダイブに施されているものと同じです。(クルトガダイブの場合、公式には自己修復塗料を使用しているとは謳っていませんが、メーカーに確認してくれた人が自己修復塗料で間違いないってことを教えてくれました)。

口金のガタは少なめです。比較するとクーペの方が若干狭い感じがします。しかしながら、筆記時にかちゃかちゃと音がするようなガタつきではないようです。

通常版は1500円で手に入るわけですが、コストパフォーマンスは高いと思います。通常色なら個人的にはホワイトが持ちやすいと思いますが、他にかっこいい色がたくさんあるので迷うところです。

 

プチプレミアムなゲルボールペンたち

今日はサラサナノを一日使ってみました。考えてみると、普及モデルをちょっと高級にしたようなプチプレミアムなボールペンが出揃ってきたなぁと思います。

  • サラサナノ 200円
  • ジュースアップ 200円
  • フリクションポイントノック04 250円
  • ボールサインiDプラス 350円
  • ユニボールワンF 330円

どれも200円から300円程度のボールペンで、口金が金属になっている点が共通しています。

重量も似ています。

  • サラサナノ 12.9 g
  • ジュースアップ 11.3 g
  • フリクションポイントノック04 11.9 g
  • ボールサインiDプラス 13.5 g
  • ユニボールワンF 14.1 g

あと、重心位置もペン先から65 ~ 70 mmであり、[ペン先から重心までの距離 / 全長]が0.45前後になっています。数字が小さいほど低重心ということになります。

上から、サラサナノ、ジュースアップ、フリクションポイントノック04、ボールサインiDプラス、ユニボールワンF

 

 

 

 

 

 

ゼブラ サラサナノ ダークブルー「どんなペンナノ?」

駅前の書店にふらっとよって、サラサナノを買ってきました。

サラサナノは一言で言えば、高級な0.3 mmのサラサクリップです。200円。

うるふわクッションという機構が実装されていて、筆圧に応じてリフィルが少しだけ動きます。この動きがショックアブソーバーとして機能し、0.3という極細のゲルボールペンにもかかわらず、カリカリとした筆記感を「うるふわ」にしてくれるという特徴があります。

口金が金属でできているため、ペン自体は通常のサラサよりも2グラム重い12.9グラムです。重心はこのくらいの位置になります。

比較的低重心です。

口金の精度もよく、実際に書いてみるとペン先が「乗る」感じがします。

さて、少し細部を観察してみましょう。

クリップはこんな感じです。ちょっとわかりにくいですが、左のサラサナノは2色の樹脂で整形されていて、透明樹脂にロゴが印刷されているのでロゴに影ができていてかっこいいです。

特徴のあるクリップも少し仕様が異なります。通常のサラサクリップのバネは板バネですが、サラサナノではコイルバネになっています。

クリップの使用感に大きな差はないですが、耐久性に差が出るかもしれません。

口金はこんな形状をしています。少しペン先がえぐれたような形状になっています。この形状のおかげで筆記面の視野が広がりすっきりとした印象を受けます。口金の重量は2.6グラムです。

簡単にバラせるところをバラしてみるとこんな感じになっています。

バネの形状が通常のサラサクリップと違います。

上:サラサクリップ、下:サラサナノ

簡易的な実験でバネの強さを比較してみました。

上の写真のようにノックボタンを正対させ、お互いに押し込んでどっちが早くノックされるかを複数回試してみました。100%サラサクリップの方が先にノックされる結果となりました。つまり、ノックする時の力はサラサナノが少し大きめです。とはいえ、感覚的には感じにくいです。

線の細さはこんな感じです。

上:サラサナノ。下:ジェットストリームエッジ(0.28)

上の線はペンを垂直にした時の線で、下の線は通常筆記です。若干ジェットストリームエッジ0.28の方が細いですが、実用的にはほぼ同等といってもいいでしょう。

天秤を使って簡易的に調べてみると、うるふわクッションは100グラム前後の荷重で動作していました。

ところで、実はサラサナノが発売されてすぐに店頭で試筆はしていました。

いくらバネで支持しても100グラムの筆圧は100グラムの筆圧だろう、こんなの子供騙しだよなぁ・・・と、購入には至りませんでした。

検証のため、今日は0.3のリフィルを通常のサラサクリップの軸に入れてみたり、サラサナノの軸に0.5のリフィルを入れて、普通のサラサクリップと書き比べてみたりしました。すると、明らかに差を感じました。最初に書いたように、うるふわクッションがあるとペン先が「乗る」ような感覚を受けます。

それを模式化するとこんな感じです。

縦軸にペン先にかかる力をとり、横軸に時間をとります。ペン先が紙にあたると、当然、ペン先に力がかかります。うるふわクッションなしを鋭く立ち上がっている方の線だとすると、うるふわクッションは丸みを帯びた方のような感じがします。

硬いペン先が紙面に当たると一瞬にしてペン先に力がかかります。上のグラフはペン先をトンと紙の上で叩いたようなイメージになっていますが、実際に筆記するときを書くとこんなイメージでしょう。赤い線で描きます。

ちょっとぐちゃぐちゃになってしまいましたが・・・・

鋭い方は一旦ピークを迎え、少し力が落ち着いた状態で筆記が開始されます。一方、うるふわクッションの方はピークを迎えたままおもむろに筆記が開始されます。この時の落ち着いた力がいわゆる筆圧です。

バネがあっても100グラムの筆圧は100グラムのバネの張力と釣り合うため、うるふわクッションが実装されても筆圧を軽減する作用があるとは思えません。しかしながら、過渡的に発生する衝撃力のピーク値を緩衝する作用はあると思います。地面に直接落下するより、トランポリンの上に落下する方が足が痛くないのと同じです。手の力によって振り下ろされたペンが一気に硬いところに叩きつけられるか、バネの作用でゆっくりと力を分散させながら叩きつけられるかの違いです。物理的な落下を考えると、上の尖った山と緩やかな山の面積は力積に相当しますので厳密には同じ面積で描かないといけないんですが、うまく描けていません。

これが私のうるふわクッションに対して感じた感想です。

ところで、サラサナノのリフィルはサラサと基本的に同じ大きさなので、サラサナノの軸にはいろんなリフィルを入れることができます。例えば、エナージェルとか。有名どころだと、ジェットストリームの単色ボールペンのリフィル(SXR-系)が入ります。試しにSXR-38を入れてみたところ、ペン先のガタつきがほとんどない状態になりました。うるふわクッションも普通に動作しました。

サラサナノの軸はジェットストリーム用の軸としてかなり優秀だと思います。

 

 

 

 

 

 

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