パイロット 2020年限定 コクーンボールペン フリーダムブルーはコストパフォーマンス抜群のボールペンだった

コクーンはパイロットから発売されている筆記具のシリーズで、万年筆、シャープペンシル、ボールペンがあります。

コクーンというのはという意味です。ペンの外形が繭をモチーフにしているというわけです。

今回購入したのはアクロインキを搭載する回転繰り出し式の油性ボールペンです。2020年に東日本大震災義援金付きの限定品として発売されたもので、一本2000円です。通常品は1500円なので、差額の500円が日本赤十字社を通して寄付されるという仕組みのようです。2021年の1月にこのシリーズの義援金は既に505万7500円、支払われています。万年筆が4446本、ボールペンが5669本売れたそうです。限定品のカラーラインナップはラブレッド、ピースホワイト、リリーフグリーン、エナジーイエロー、フリーダムブルーで、今回私が手に入れたのはフリーダムブルーです。

コクーンの限定品が前回発売されたのは2015年でした。気がつくと限定色が出てくるシャープペンシルなどと違い、コクーンは滅多に限定色が出ません。

コクーンの通常色は7色展開されています。ブラック、ホワイト、シルバー、ブルー、ボルドー、チタン、メタリックグレーです。今日、店頭でそれぞれの色を手にしてひとつ気がついたことがあります。ホワイト以外の色はマットな塗装仕上げになっていますが、ホワイトは光沢仕上げになっています。マット仕上げの方が見た目的にはかっこいいのですが、私はグリップ力が劣ると感じます。マット塗装の方は手にした時にちょっと不安定な印象を受け、知らず知らずのうちに手に力が入るので少し疲れる感じがします。先日購入を見送ったのも、そういう違和感が若干あったんだと思います。

しかしながら、光沢仕上げのホワイトを手にした瞬間、おっ、これは悪くないなと直感しました。よし、白を買おう。そう思いながら店頭をぶらぶら観察していたとき、この限定色を発見しました。ボールペンはピースホワイトとフリーダムブルーの2色が2本だけ売れ残っていました。それを手にすると、光沢仕上げであることに気がつきました。手にするとやはりしっとりとしたグリップ感があります。筆記具は基本的に、黒か青を買うことにしているのでちょうどいいのが売れ残っていたわけです。

重量は31.4グラム、全長はリフィルを出した状態で約144 mmでした。重心位置は76 mmなので、バランス係数([ペン先から重心までの距離 / 全長])は76 / 144 = 0.53です。ペン先から重心までの距離が65 mmから70 mm程度で、バランス係数が0.5を切るくらいだと、低重心だと感じることが多いです。

リフィルはアクロインキのBRFN-10F-Bです。S20やクーペ、ドクターグリップのリフィルと同じです。ボール径は0.7です。

このリフィルは非常になめらかに書けるので好きです。

上の写真は左がグリップ側、右がクリップ側です。リフィルが入る部分には精度の高いパイプが配置され、リフィルが不用意にガタつかないようになっています。

ペン先とクリップのあたりを観察してみましょう。

クロームメッキの質が1000円クラスのペンよりもちょっといいです。ベースの部品の仕上げがいいのかもしれません。

クリップはシリーズで共通だと思います。

それほどコストをかけた仕上げではないですが、程よく剛性があり上質です。クリップとしては申し分ありません。パイロットの場合、この辺の設計は絶対に外さない安心感があります。

塗装の感じはクーペに似ています。コクーンのラメがちょっと細かく感じます。この仕上げはパイロットの筆記具によくあるもので、小慣れた技術が使われているんだと思います。

ここで少し、2015年の限定軸との比較をしてみましょう。

上から、2020年限定フリーダムブルー、2015年限定マーブル黒、通常色メタリックグレー

2015年の限定色は万年筆しか出ていません。マーブル模様が綺麗です。この塗装だったら+1000円出してもいいです。

ついでにペン先です。

マーブル模様のアップも示しておきましょう。

次に筆記した時の感想です。

まず、回転繰り出しの感触は上質です。スッと動き、最後は滑らかなクリック感と共にペン先が固定されます。戻すときは少し元に戻すように回転させると後はバネの力で初期位置まで戻ります。

コクーンは全体的にはちょっと太めのペンに見えますが、グリップする部分は直径11 mmほどです。この場合のグリップ位置というのは先端から40 mmほどのことを示しています。諸条件によって最適と感じるグリップの太さは変わると思いますが、おおよそ10 ± 2 mm程度が私は使いやすいと感じます。条件にもよりますが10 ~ 11 mmの範囲が最適と感じることが多いです。お気に入りのクーペもグリップ部分は11 mmです。

筆記するとクーペよりも重心が高いのがすぐにわかります。

クーペはペンを持った時にできる親指と人差し指の輪の中心に重心があります。一方、コクーンは重心が手に当たるくらいの位置までずれています。クーペは重量がコクーンよりも5グラム軽い25グラムです。書き心地はクーペは軽快コクーンは重厚です。上手な位置に重心を持ってくると、あたかもペンが手に吸い付くような安定感を感じます。万年筆っぽい持ち心地です。クーペもかなり好きですが、コクーンも悪くないです。優劣をつけるのは難しいです。

なんとなく似た書き心地のボールペンがあったなぁ・・・と思い、確認してみたら、これでした。ジェットストリームプライム回転繰り出し式シングルの限定版(ノーブルブラック)です。

重量はコクーン:31.4グラム、ジェットストリーム:30.4グラムで、1グラム差。

重心位置は下の写真の通りよく似ています。

軸の太さは違いますが、全長もよく似ているので筆記感が似ています。

ジェットストリームプライム回転繰り出し式シングルの限定版(ノーブルブラック)は表面が自己修復塗料が塗ってあり、塗装面全体に心地よいグリップ感があります。この塗装はクルトガダイブに施されているものと同じです。(クルトガダイブの場合、公式には自己修復塗料を使用しているとは謳っていませんが、メーカーに確認してくれた人が自己修復塗料で間違いないってことを教えてくれました)。

口金のガタは少なめです。比較するとクーペの方が若干狭い感じがします。しかしながら、筆記時にかちゃかちゃと音がするようなガタつきではないようです。

通常版は1500円で手に入るわけですが、コストパフォーマンスは高いと思います。通常色なら個人的にはホワイトが持ちやすいと思いますが、他にかっこいい色がたくさんあるので迷うところです。

 

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