セーラーのデスクペン

たまたま古山浩一氏の11月28日のブログを見ていたら、セーラーのデスクペンのことが書いてあった。自分も何回かブログで紹介しているF-9ニブのデスクペンだ。ペン先の刻印が若干違うけど、間違いなく同じデザイン、同じニブのデスクペンに間違いない。

entotsu.seesaa.net

(下の写真はニブと黒い樹脂の間に隙間があるように見えるが、ニブに下地の紙の色が移ったもので、実際は隙間はない。)

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このペンは特に小さい文字で書かないといけない書類などの書き込みに使っている。源泉徴収の書類など、理解不能なくらい書くスペースが小さいので、通常のボールペンや万年筆だと結構つらい。インクは耐水性を意識して、カートリッジの極黒だ。

線の細さはカクノのEFよりも若干細い。

ステンレスニブだが、長くて細いニブがよくしなるので、紙とのあたりがソフトだ。ソフトといっても、金ペンの柔らかさと少し違う。金ペンの場合、ニブが柔らかく、力を入れるとペン先が開き、字が太くなる。このデスクペンのニブの素材はステンレスなので、基本的には固い。しかし、ニブが細長く先端の角度が小さい。ニブの湾曲も浅くエラもないので、全体的にしなりつつもペン先は割とがっちりとしていて開かない。だから細字をキープしやすい。EFの細さを生かそうと思ったらこのようなニブの特性はひとつの正しさではないかと思えてくる。また、細いニブは紙面の見通しがよく、文字を書きやすい。筆圧が高いとカリカリの書き心地だが、紙に引っかかるような感じはない。インクフローも適切で、ペンの自重だけで線を描くことができる。筆圧を程よく下げて筆記すると、なんとも独特な筆記感で気持ちがいい。時々引っ張り出しては使ってしまう。

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もう軸は傷だらけだし、決しておしゃれとか高級感のある見た目ではないが、細軸で味のあるデスクペンなのである。

最初はこのニブの形があまりかっこよくないなと思っていたんだけど、見慣れてくるとこれがなんとも言えない味に思えてきて、実は、次に欲しいと思っている万年筆はパイロットのエリート95Sだったりする。

 

パイロット 万年筆 エリート95S FES-1MM-B-EF 極細 黒

パイロット 万年筆 エリート95S FES-1MM-B-EF 極細 黒

 

 

ダイソーのメモ帳

ダイソーでメモ帳を二つ買ってきた。

ひとつめはBUENONAというカバー付きメモ帳。こちらはそれほど紙質は高くなさそうだけど、A7の大きさのカバーが意外と良くて、ニーモシネとかにつけて使うのが目的だ。

早速、メモを外してA7のニーモシネをセット・・・、できない?!

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写真のメモはProjectPaperのA7メモ帳だけど、比べてみると、ダイソーのメモ帳は微妙に紙が小さい。カバーはその紙に合わせて作られており、A7のメモ帳が、ギリギリ入らない。替えのノートも売ってなかったし、なぜこの大きさでメモ帳を作ったのが全く理解ができない。紙質はそれほど良くなく、万年筆のインクが若干裏抜けする。

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もう一冊はこれ。

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こちらは以前も買ったことがあるメモ帳だ。B7サイズのメモ帳で100枚綴り。100円なのでそれほど安いわけではない。しかし、紙質がすごくいいのだ。紙の色はライフのノーブルノートに近い乳白色で目に優しい。万年筆で筆記すると、滑らかで気持ちがいい。紙質もよく、程よい厚みがあるので手持ちのインクが裏抜けすることもない。ライフの紙かなと思い、光にかざしてみると、レイドがないので紙はノーブルノートとは違う。ちなみに、レイドというのは紙を作る段階で入る模様のことだ。

life-st.jp

蛍光灯などに透かして見ると、観察することができる。

↓ライフ ノーブルノートのレイド

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ダイソーの紙の方が滑らかさだけでいえば上かもしれない。万年筆での筆記感もいいため、万年筆を使った落書きにちょうどいい。

 

ライフ ノート ノーブルノート 方眼 A5 N33

ライフ ノート ノーブルノート 方眼 A5 N33

 

 

万年筆の筆圧とペンポイントの開きの関係、書き味

プロフィット21の書き味が比較的固く、ざらついていると感じていたのだが、最近、それは少し違うのではないかと感じてきた。

万年筆のペンポイントをルーペで観察しながら、紙が当たるように爪の先で少しだけペンポイントを押してみると、比較的軽い力でペンポイントが開いていくのがわかる。プロフィット21やM400のような金ペンは比較的軽い力で開き、鉄ペンは少し力が必要だ。ペンポイントの大きさ(いわゆる、EF、F、Mのような)とペンポイントの形状によってもその開き方の感じは違うようだ。

全然、厳密な観察結果ではないけれど、今のところ、下の図のような感じで考えをまとめてみた。

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ペンポイントが開いた状態でニブを横にずらすように線を描くと、ペンポイントの内側のとがった部分が紙に引っかかる可能性がある。縦方向に滑らしながら線を引いても、引っかかる場所がないので、比較的滑らかなままだ。

(ペンポイントの上部が下部よりも開きが多いように描いているのは、実際に爪でペンポイントを押すと、たいていそのような変形をするからだ。逆に反対側から押すと、ほとんど開くような挙動は示さない。これはニブの湾曲した形状によるものだ。厚みのある半円筒状の物体の頂点に突起を付けて、押したときにどのように変形するかを考えるとある程度理解できる。今回は図示はしない)

内側のエッジ部分を滑らかに削っておけばそのようなザラツキは感じにくいだろうが、下の図のようになることは容易に想像できる。

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このような場合、少しペンを押し付けてインクを紙に付着させてあげないとインクは絶対に出てこない。ひとたびインクが付着すれば、毛細管現象によりインクは引き出される。しかし、「筆圧をかけずにペン先を紙に当てるだけで書ける」という状態にはならないだろう。このあたりの味付け具合が万年筆の個性になってくるのだと思う。

また、それなりの筆圧で書くうちにこの内側が紙によって研磨されてくると、滑らかになったように感じると思われる。筆圧が個人の固有のものだと仮定すると(時によってある程度は違うだろうが)、筆圧によりペンポイントが開いた状態で研磨が進むので、インクが紙に付着しにくい程には削れにくい。これが慣らしで滑らかに感じるメカニズムではないかと考えている。(実は、この慣らしというのが何ものなのかが知りたい)。だから、書くときに少々引っかかりがあったりする状態は、プロセスと考えるべきなのかもしれない。硬い金属が削れるまでは相当な時間がかかると思うので、それも個性と受け入れ、寛容な気持ちで受け入れることも必要だろう。当然、ペンポイントがズレ過ぎているとか、ニブが変形しているなんてのは別の話だ。

つまり、静的な状態で単純にペンポイントがなめらかに研磨されていればいいというものではない。使用時、筆記感に対して最も重要な部分が、物理的に変化してしまうからだ。この動的な要素を考えに入れないと、万年筆の状態を決めることはできない。

程度のいい太めの鉄ペンを使うのがもっとも手っ取り早く万年筆の良さを感じる方法だと思う。鉄のMニブあたりがなめらかに感じるというのはすごくあたりまえのことなのだ。ただし、金ペンの紙当たりの柔らかさやメリハリは少な目になる。

結論としては、材質やペンポイントの大きさ、形状に応じた筆記を心掛けることが大切だ。だから、プロフィット21も筆圧をかけずに筆記すると、すごく気持ちよく筆記することが可能なのだ。

細字の金ペンを快適に使いこなすのは意外と難しいのかもしれない。じゃぁ、太字ならいいのかというと、そうとも言えない。なぜなら、上の図にもあるように、万年筆はその性質上、ペンポイントの割面に存在するインクが紙に付着しないと一切筆記が不可能な筆記具であるので、太ければ太いほどちゃんとした持ち方で正しくペン先を紙に充てる必要が出てくる(と、思われる)。もっとも、万年筆というのは滑らかさを競う競技ではなく、あくまでも字を書く道具なので、目的から外れた太さの万年筆を手にしてもナンセンスだが。そういう意味からも鉄ペンのMというのはちょうどバランスがいいんだと思う。

プレラとM400の類似性

手持ちのペンから類推すると、パイロットのペン習字ペン、カクノ、コクーン、プレラあたりはすべてニブやペン芯の基本形状が同じだ。ニブは万年筆の心臓部だが、ニブだけでペンの価値が決まるわけではない。材質、色、形状、重量(バランス)等、デザインでその性質は大きく変化する。

一般的にはカクノやコクーンの知名度が高い気がするが、この中で一番好きなのはプレラだ。キャップの開け閉めの感覚が秀逸だし、ペン先の段差が小さいので持ちやすい。また、キャップを閉めた時にコンパクトなのもいい。ペンクリップのつくりもすごくいい。先端が少し反り返っているため、ポケットに入れたりするときにすごくスムーズなのだ。また、その形状から、ポケットに収めたときペンの飛び出しが最小限なのもいい。

最近、M400をもらったことは書いたが、M400とプレラがよく似てるのだ。

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キャップを閉めた時の長さは若干M400が長いが、ほぼ同等。

どちらもインクが半分ほど入っている状態で、重量はM400が16 g、プレラが17 gだった(実測値)。ほぼ同等だが、プレラの方が少しだけ重量感を感じる。

デザインはプレラの方がクリアで自然な感じ。M400は古典的な万年筆のデザインではないけれど、金色パーツが使われているのと細部まで作りに隙がないので、いかにもいいものを使っていますという感じにはなる。

クリップの形状を観察してみよう。

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この通り、よく似ている。

当然、高級感はM400の方がある。M400のクリップは全体がしなりながら開くが、プレラの方はM400よりもバネ定数が高い感じで、固定している根本付近だけが変形するイメージだ。

下の写真はキャップを外して尻軸にポストした状態。

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このようにするとM400の方が1.5 cm程長い。

重心はM400がキャップの金環あたりで、プレラは若干それより高い位置にある。実際に筆記してみるとプレラの方が後方に重心が感じられ、重量がリア側に集中しているような印象を受ける。一方、M400は重量バランスが均一でもった時の印象がいい。

よく最初の一本は、みたいなテーマがあるが、自分はプレラのFかな。コンバーターが最初から付いているので、好きなインクと一緒に使うと愛着も沸くはずだ。十分に細いので手帳への筆記にも使える。万年筆らしさを味わいたいならMもアリだと思う。ただし、プレラのMは使ったことがないので何とも言えないのだが、コクーンのMニブが付いているとするなら、プレラのMはかなりいいチョイスになる可能性が高い。

サファリのEFも常用ペンとしては使いやすい。ただ、サファリにはこれ以上細い選択肢がないので手帳筆記などを考えると万能とはいいがたい。また、パイロットのペン先のような滑らかさがなく、若干サリサリとした筆記感だ。インクフローは通常筆記に適切で、自分は筆記感も嫌いじゃないのだが、最初の万年筆体験としては、パイロットの方がいいかなぁと勝手に思っている。

パイロット 万年筆 プレラ 色彩逢い 透明ブルー 細字 FPRN-350R-TL-F

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LAMY ラミー 万年筆 ペン先EF(極細字) サファリ ブラック L17-EF 両用式 コンバーター別売 正規輸入品

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M400はペン先が乾きにくい

万年筆の欠点のひとつとして、長時間蓋を外したままにすると乾いて書けなくなるという点が挙げられる。比較的早いものだと、数分でインクが出にくくなる。出にくくなったとしても数分程度なら、ペン先を紙に数回押し付けたりするうちに書けるようになる。

ここ数日、M400を使っていて、ペン先が乾きにくいことに気が付いた。10分程度でも問題なく書き始めることができる。ペンの性質なのか、インクの性質なのかはよくわか

らないが、M400にペリカン純正ロイヤルブルーの組み合わせ。

ところで、最近のつくしペンケースの中身。

左から、

<左側>

エアプレス

サファリEF

プレスマン

マルチ8

SLENDY+(消しゴム)

OLFA CUTTER SILVER

<右側>

プレラF

プロフィット21改

キャップレスF

M400EF

アイオンM

コクーンM

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つくしペンケースはだいぶ布のコシが取れて、柔らかくなってきた。収納力がある割にすっきりと持ち運びやすいので気に入っている。

基本的には万年筆メインで、黒のボールペン、シャープペンシル、色関係はマルチ8のみで最近は多色ボールペンは使っていない。

通常筆記するときはサファリのEFが多い。国産のMとかM400のEFもだいたい同じくらいの太さだ。手帳に書き込んだり、小さな文字を書くのには適さないが、通常筆記だと一番使いやすい太さだと思う。ノートなどに細かい字を書く場合には、国産のFあたりが適してくる。下の写真だとプレラのF、プロフィット21(改と書いてあるのは、ペンクリニックで細くしてもらっているので何と言っていいかわからないからだ。国産Fから中細くらいの太さだと思う)、キャップレスFあたりがそうだ。手帳などに細かい字を書いたり、小さい文字で書類を筆記する必要がある場合には国産のEFあたりが適している。耐水性が必要な場合にはセーラーのデスクペンに極黒を入れたものを使っている。

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そうこうしているうちに万年筆を放置して14分が経過した。その結果がこちら。

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特に何もせずに淡々と書いた結果だ。

コクーンのMも健闘しているがひと文字目からスムーズに書けていない。M400は若干線が細くなっているがひと文字目からちゃんと筆記できている。このくらい乾きにくければ使用中ならいちいちキャップを開け閉めする必要はない。

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