パイロットライティブの完成度が思った以上に高かった。これはもう和製サファリだ。

パイロットのライティブを文房具売り場でよく見るので、なんとなく気にはなっていました。先日、Twitterで透明軸のコンバーターを取り付けた写真を見て、かっこいいなと思い、買ってきました。

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LIGHTIVEというのはLIGHTとACTIVEから作った合成語のようです。

コンバーターには何種類かありますが、CON-70がおすすめです。インク吸入量は1.1 ccで、カートリッジより多いです。あと、ライティブに入れた時の見栄えがいいです。

自宅に使っていないCON-70があるのはわかっていたのですが、せっかくですから新品を新調しました。自宅にあるCON-70と比べると仕様がちょっと変わっていました。新しいCON-70は正確にはCON-70Nという製品名です。

まず、ピストンの材質と形状が異なります。

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旧型はナイロンかポリアセタールではないかと思われる白い樹脂です。現行はゴムっぽい黒い材料になっていて(材質まではわかりませんが)、形も違います。

上の写真にも写っていますが、現行品には棚吊り防止用と思われる金属の筒が内部の軸に装着されています。

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棚吊りというのは、コンバーター内部でン芯の方に空気が溜まり、インクが上方にへばり付く現象で、この状態になるとインクがペン芯に供給されなくなるのでインクがあるにもかかわらず、筆記できなくなります。これを防止するために、コンバーター内部に鉄球や筒を入れたりします。

ライティブのニブとペン芯はカクノやコクーン、プレラ、ペン習字ペンなどと基本的に同じです。

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パイロットのこのタイプのニブは長年多く生産されているため品質が非常に安定しています。これまでハズレに出会ったことがありません(カクノのEFは例外的にハズレだったと感じていますが)。細字のFはカリカリしますが、紙を引っ掻くような嫌なカリカリではありません。特筆すべきはMで、かなり滑らかです。下手な金ペンより安定感がある分、扱いやすく、気持ちよく書けます。用途に応じてFかMを選ぶといいと思います。どっちもかなりいいです。

ライティブのキャップには新仕様のインナーキャップが仕込まれていて、気密性が上がっているそうです。

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写真を撮ってみましたが、よくわかりませんね。

キャップを取り付ける際、途中から抵抗力が上がり、最後にカチッと固定されます。プレラにキャップを取り付ける時の感じにちょっと似ていますが、同じではないです。高級感はプレラの方があります。どこで見たか忘れたのですが、ライティブのインナーキャップにはバネが仕込まれている画像を見たような気がします。それが正しいなら、プラチナのインナーキャップ(スリップシール機構)に近い構造なのかもしれません。プレラのインナーキャップも似たような形状ですが、バネは入っていません。

さて、ライティブにCON-70を仕込んだ姿をお見せします。

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これは2200円の万年筆には見えません。CON-70が700円なので、この状態にするのに2970円です。

ライティブの各部材の重量を計量しておきます。

軸:6.57 g

キャップ:5.55 g

軸+キャップ:12.14 g

CON-70:4.40 g

軸+キャップ+CON-70:16.55 g

軸+キャップ+CON-70+インク:17.67 g

キャップを取り付けない時の重量、つまり、軸+CON-70+インク(上の写真の状態):12.0 g

ここでサファリの重量を調べてみます。コンバーターにインクを入れた状態で17.36 gでした。私はサファリを使う時にはキャップをポストしません。キャップを取り外した時の重量はちょうど10 gでした。

ここでライティブの全重量とキャップを外した時の重量を見てみてください。サファリとかなり似ていることがわかるはずです。

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上の写真はライティブといつも使っているサファリ(EF)です。ライティブが見劣りしているようには見えません。

インクはパイロットのブルーブラックです。

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私が好きなインクのひとつです。パイロットの万年筆にはブルーかブルーブラックを使うことが多いです。没食子インクではないので時間経過とともに黒くなるとかそういう性質はありませんが、染料インクにもかかわらず耐水性があります。耐水性といっても、水をかけたらかなり溶け出しますが、筆記線が完全に消えません。また、没食子インクのように沈澱が生じないので、扱いやすいインクと言えます。

首軸付近の段差が小さいのでグリップした時の違和感は全くありません。筆記感はかなりいいです。インクフローは適切で、パイロットのMニブの良さが十二分に感じられます。心なしかいつものMよりしなやかさを感じます。

線はFより当然太いですが、一般筆記するのに太すぎると感じることはありません。滑らかさを重視するならMを選択した方がいいですが、少しでも細書きしたいと思うなら、Fがいいです。Fは感覚的にゲルボールペンの0.5と同じくらいです。Mはそれよりちょっと太いですが、余程小さな書き込みをしない限り、太すぎると感じることはないと思います。

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上のノートは6 mm罫線です。

パイロットの鉄ペンの中で一押しはプレラですが、プレラはキャップをポストしないと全長が短すぎて書きにくいです。しかしながら、ライティブはキャップをポストしなくても違和感なく書けます。

私はサファリを使う時、ちょい書きの時は、キャップをそのまま左手に持っています。書き終わったら左手に握ったキャップにペン先を収納できます。書く時には左手の親指と人差し指でペン軸を押し出しておき、右手でサッと取ります。こういうことです。


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ライティブは控えめにいって、かなりいいです。

 

 

 

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